新型コロナ:POSデータ分析 1~4月食品購入金額、首都圏ピーク時は30%増

総合 ニュース 2020.06.17 12066号 01面

新型コロナウイルスの感染拡大防止へ向けた外出自粛要請で、人々の生活は一変した。SMなど小売業へ来店客が殺到し、一時は特定の食品が店頭から消えるといった事態も発生したが、業界の努力もあって供給はおおむね安定し、大きな混乱を引き起こすまでには至らなかった。しかし巣ごもり消費の加速に伴い、人々の食品における買い物志向に例年とは異なる変化が見られたことは確かだ。KSP-POS(KSP-SP社)による、1月からゴールデンウイークまでの食品購入推移(金額前年比)から見えてきた“コロナ消費”について振り返る。=後日詳報掲載(武藤麻実子)

●買い物志向に異なる変化

食品全体の金額前年比推移を見ると2月24日週から前年比超が顕著に見られた。首都圏は、2月24日週と外出自粛要請が本格化した3月23日週に購入金額ピークで30%増を超え、その後も全国平均前年比の10%増前後を上回って推移。

全国に先駆けて緊急事態宣言が行われた北海道では、2月24日週の約20%増をピークに、その後10%増前後で推移。近畿は全国平均に近い推移を示していたが、4月6日週が最大で前年比20%増近くとなった。客数の推移は金額ほどの上昇は見られず、家族など大人数での来店を控える傾向が表れた可能性もある。

食品細分類242カテゴリーのうち、外出自粛が浸透した期間である3月末~5月3日までの5週間において、金額前年比から特に伸びているカテゴリーは何か。約8割を占める191カテゴリーで前年比増という結果となったが、上位25カテゴリーは、プレミックスの前年比99%増からスキムミルクの40%増まで大きな伸びを記録。これらの特徴としては「手作り」(パン作り、菓子作り)、「簡便性・内食」(スパゲッティ、包装もち、ソースミックス、畜産缶詰、調理用スープ、調理済みカレー・シチュ-)、「経済性・ストック」(スパゲッティ、インスタント袋麺)といった3点が挙げられよう。

「手作り」に関しては在宅による“時間”消費、家での調理の楽しみ・出来たてのおいしさの浸透、「簡便性・内食」に関しては“共食増加”による昼食と朝食対応、「経済性・ストック」に関しては“社会不安増加”への対応、といった各ニーズが購買への高まりにつながったといえる。

しかし、売上げピークの山やその後の販売状況は、すべてが同じではなく、「手作り」がピーク後も伸長し続けているのに対し、「簡便性・内食」「経済性・ストック」は、2回のピーク後右下がりに転じている。とはいえ、前年比超えのコンスタントな販売状況であることには変わりない。

不要不急意識の浸透と将来不安から、付加価値型よりも基本的な価値のみを持つ商品の販売金額が増加したこともPOSからうかがえた。例えば、インスタント袋麺はカップ麺より伸長が大きく、前年比減である数少ないカテゴリーにはプレミアムアイスが挙げられたことから、この期間においては経済性に対応した商品購買が進んだことも明らかとなった。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら

書籍紹介