ひと味 雪印乳業・正野勝也社長 フレンチレストラン「シュノンソー」

1992.05.18 4号 20面

乳業界トップメーカー、雪印乳業㈱社長・正野勝也氏の日常は超多忙。日本乳製品協会会長など多数の公職も含め、周囲が気遣うハードスケジュール。当然“外食”が月の半分を超える。社内では社長就任四年余、平成七年の創立70周年をめざし国際化対応の最只中。「顧客志向と収益の構造改善」を当面の経営最重点にかかげ、過去にないカジ取りに挑戦している。社内外から「人の話をよく聞いてくれる」と温和な人柄が評判だ。かと言って乳業経営、過去の横並びから凹凸を出さざるをえない昨今、「英断」を下す場面も増え、国際化時代の乳業経営をどう開花させるか、リーダーへの期待も高まる一方だ。

ビジネスが厳しければ厳しいほど「くつろぎ」が求められる。常に沈着冷静を保つためにも……。

正野社長、行きつけ、なじみの店は高層ビル立ち並ぶ、東京・新宿センチュリーハイアット27F、フレンチレストラン「シュノンソー」(仏ロワール川ほとりの城の名)。リラックス、気分転換が出来るばかりか、料理とワイン、窓越しの夜景、音楽、シェフなどいずれも“超一流”が満喫できる。いい人といい話、いい味が楽しめるとかなりのお気に入り。

手作り料理が好きな奥様から「美味しい店で食べてみなければ、今以上に美味しいものは作れません」と促され(?)日程が許せば、つとめて家族サービスに努めているという。この夜も幸子夫人、長男琢也氏(ニッカウヰスキー・東京支社営業開発第一部主任)婚約者(美人)が同席する、まさに水入らずのファミリー会食。メニューはグルメに憩いと音楽をそえて「フルコースメニュー・北陸初夏の海だより」を賞味。琢也氏は仏ボルドー大学テイスティングコースに留学したほどのワイン通。正野社長も「シュバリエ」(きき酒の騎士‐89年仏より受章)「チーズの鑑評騎士」(90年)の資格を持つプロだけに親子の会話は弾む。当夜のワインは「87年モラッシェ・マルキド・ラギッシュ候爵畑産」という“偉大”な高級品。前回は「ジョセフ・ドルーアン」とか。また同ホテルのシェフで日本ソムリエ協会副会長・小笠原信之氏がメニュー、ワイン解析に加わるなど人、メニュー、ワイン共々超一流揃い。

「さりげない気配り、雰囲気、季節毎の美味しいメニューと吟味した素材の良さ」がこの店のひと言推薦状と正野社長。仏料理だけでなく時々和食会席の「今半」もご愛用。

何と当夜の二次会は長男琢也氏の婚約を祝ってか、行きつけのメンバーズカラオケで自慢の喉を披露。持ち歌は「知りたくないの」(菅原洋一)「霧の摩周湖」(布施明)などレパートリーは豊富。

ハードなビジネスをこなす食品界トップ経営者。くつろぎと憩いも限りなく大切にする。こうした明日のエネルギーが、公私せい一杯の源のようだ。 (今)

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