乳業大手3社、脂肪対策揃い踏み 乳の価値再認識も期待

 乳業メーカー大手の明治、森永乳業、雪印メグミルクの3社は今秋、「脂肪」にフォーカスした商品の訴求を強めていく構えだ。長期化するコロナ禍でのライフスタイル変化に伴い、さまざまな健康課題が浮き彫りになる中、体形維持のための健康的な食事への意識が高まっている。各社乳飲料やヨーグルトでの新商品投入やコミュニケーション策を強化。機能性表示食品としての価値を武器に、それぞれ内臓脂肪や体脂肪へアプローチしていく。期中の11月には各社市乳類を中心にした価格改定を予定しているが、タイムリーな健康ニーズを獲得することで、乳そのものが持つ価値の再認識促進も期待される。(小澤弘教)

 コロナ禍の外出自粛やテレワークの増加で、運動不足の懸念は高まっている状況だ。ヘルステックベンチャー企業のFiNC Technologiesが2020年に公開した「コロナ禍におけるダイエット実態調査」によると、同社のアプリ「FiNC」を利用するヘルスケア意識の高いユーザー2770人を対象にした調査では、外出自粛の影響で「太った、体重が増加した」と約半数が回答。日本能率協会総合研究所の「健康ニーズ基本調査2020」でも、一般生活者の「気になる用語」として男女とも「体脂肪」を1位に挙げており、体形維持への関心は高い水準を維持しているといえる。

 一般に体脂肪とは、内臓周りに蓄積する内臓脂肪と、皮膚組織に蓄積する皮下脂肪に大別される。内臓脂肪は腹筋の内側や腸などの周りに蓄積するため見た目の変化は分かりづらいとされるが、「スキニーファット(痩せ形肥満)」はもちろん、多くたまると体形も変化する。そのためそれぞれ脂肪の付き方や対策も異なってくる。

 各社市乳類中心に「脂肪0」をうたうラインアップ拡充が進むが、機能性表示食品では特に訴求を強めていきそう。雪印メグミルクは今秋、「ガセリ菌SP株ヨーグルト」=写真(右)=での内臓脂肪対策に関するコミュニケーション策を強化する。消費者の「自分ゴト化」を進めるべくSNSキャンペーンなどを通じて情報発信していくほか、一部流通での6本入りアソートによるトライアル獲得を進める。

 明治は、新たなプロバイオティクスヨーグルトとして「明治脂肪対策ヨーグルト」=写真(中)=を10月から発売。体脂肪の蓄積を抑制することで、肥満気味の人のおなかの脂肪を減らす機能を持った「MI-2乳酸菌」を使用。TVCM投下などで集中拡販を行い、大々的な価値訴求を図る。

 森永乳業は、乳飲料「PREMiL」に、機能性表示食品「同Red脂肪0」=写真(左)=を10月から投入。BMIが高めの人の体脂肪を減らす機能があることが報告されているローズヒップ由来ティリロサイドを配合し、脂肪分を気にすることなく牛乳の2倍のカルシウムをとることができ、毎日の体づくりをサポートする。

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