電化厨房特集:専門店電化厨房最前線=スマイルズ「Soup Stock Tokyo 霞が関コモンゲート店」

2009.05.01 356号 09面
スープに加える野菜などの下ごしらえは、カットから加熱まですべてIHレンジの上で行われる

スープに加える野菜などの下ごしらえは、カットから加熱まですべてIHレンジの上で行われる

Soup Stock Tokyo 霞が関コモンゲート店・ストアマネージャー 渡辺慶子氏

Soup Stock Tokyo 霞が関コモンゲート店・ストアマネージャー 渡辺慶子氏

 「無添加、食べるスープ」をコンセプトとしたスープ専門店「スープ ストック トーキョー」では、駅ビルやオフィスビル、デパ地下をはじめとした商業施設に積極的に出店を進め、約10年間で50店舗以上を展開。現在は全体の9割以上の店舗で電化厨房を導入しているという。

 ●駅ビルや商業施設などへ積極出店

 「スープ ストック トーキョー」第1号店は、1999年開業の東京・お台場のヴィーナスフォート店。2001年に6号店目としてオープンした恵比寿三越店が、初の電化厨房導入店だ。現在は全52店舗中50店舗でオール電化厨房を採用している。

 (株)スマイルズでは、駅ビルやデパート、大規模商業施設など公共性の高い立地での展開を視野に入れており、こうした立地に多い限られた厨房スペースを、いかに効率よく活用できるかを考慮し、電化厨房の導入も早くから検討していたようだ。

 企画開発部ディレクターの平井俊旭氏によると、「恵比寿三越店は、いわゆるデパ地下で、ガスを使えない環境であったため電化厨房を採用したが、この導入は後の店舗展開にも影響を与えることとなった」という。

 ガスのように裸火を使う厨房では、消防法により防火区画を設けなければならないなどの制約のある場合も。しかし、電化厨房ならば比較的少ない制約条件での設計が可能だ。そして何より、店舗での作業内容ならば、IH調理器などの電化厨房機器で十分であった。

 それ以降オープンした店舗では、オール電化厨房を採用。電化厨房でオペレーションを統一し、パッケージ化したことは、10年間で50店舗以上出店という積極的な店舗展開を可能にした要素の1つとなったようだ。

 2007年開業の「霞が関コモンゲート店」では、IH調理器4口、スープ用保温ジャー9台、パッケージクッカー(湯煎機)、トースター、炊飯器などを使い、毎日約300食分のスープやカレーを調理し、販売している。

 現在の課題は、厨房機器をさらにミニマム化すること。「調理と保温ができるジャーを導入するなど、厨房機器をできる限り省いて厨房スペースを圧縮し、その分、客席を増やして売上増を狙うことも検討中です」(平井氏)

 ◆現場のコメント:Soup Stock Tokyo 霞が関コモンゲート店 ストアマネージャー 渡辺慶子氏

 店で扱うさまざまなスープを、その特徴を味や使われている食材といった面だけでなく、スタッフの間ではIH調理器の出力で「レベル3で焦げてしまうスープ」や「レベル5でもOKの不思議なスープ」などと表すこともあります。新人スタッフの教育時にも、例えば「レベル4で5分間」など具体的に指示でき、調理体験のない人でも分かりやすいようです。

 ◆使用機器紹介:三洋電機(株)「電磁調理器 TIC-D207K」

 本来この機種は、客席テーブルへの埋め込み用として使用されることが多い。しかし同店では、本体サイズ72mmという薄さ、そして自由自在に設置できるコンパクト設計のコントローラーを生かし、厨房内にIH調理器として設置し使用している。

 消費電力=単相200V/2050W

 ◆店舗メモ

 ●「Soup Stock Tokyo 霞が関コモンゲート店」/店舗所在地=東京都千代田区霞が関3-2-1 霞が関コモンゲート西館2階

 ●(株)スマイルズ/本社所在地=東京都目黒区中目黒1-10-23 シティホームズ中目黒203/事業内容=「Soup Stock Tokyo」52店舗を展開中。スープおよびカレールーの通信販売なども行っている。

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