メニュートレンド:ランチサラダで全客感動体験 スモーク装飾で認知度アップ!
ドライアイスのスモーク装飾はサプライズやインスタ映えの演出に好適。特別な料理や記念日の会食に活用されることが多いが、それをサイドメニューに採用し来店客全員に毎日提供しているユニークな事例がある。山梨県甲府市の「STEAK HOUSE WATAYOSHI」のランチサラダである。付け合わせのイメージが強いランチサラダをワクワクする仕掛けで付加価値アップ。客単価3800円という高価なランチを彩る名脇役を紹介する。
同店は飲食店の店員から独立した渡邊雄太店主が2017年10月に開業。立地は甲府駅から約3kmの県道沿い。店舗は18坪・30席。決して恵まれた環境ではないが、きめ細かなラグジュアリー志向が人気を呼び、小粋な高級店として評価を高めている。
その原動力は、厳選された黒毛和牛の「ステーキ&ハンバーグ」と、ドライアイスのスモーク装飾を施した「WATAYOSHIサラダTYPEヘルシー」だ。サラダはランチ全品にセットされ、前菜として最初に提供される。ランチの集客は1日平均30人ほど。1組4人の来店ともなれば、サラダの提供時、テーブルは雲海のような幻想に包まれる。
渡邊店主は「うちは新参の個人店。いくら高品質やおいしさをアピールしても、有名店や大型店の集客力にはかないません。なので、『食事の感動』をブランド化しようと考えました」と語り、「まずは感動を演出する仕掛けが必要。ならばドライアイスのスモーク装飾がうってつけ。多くのお客さまに体験していただくためランチサラダで実行しました」と説く。
スモーク装飾の手順はいたってシンプル。サラダを上皿に盛り付け後、下皿に熱湯を注ぎ、粉々に砕いたドライアイスを流し込み、スモークが吹き出した状態で客席に提供する。「ドライアイスを先に入れると皿にヒビが入ることがあるので要注意」(渡邊店主)とのことだ。
一方、サラダは単品でも提供しておりシーフードを加えた上級タイプもある。アラカルト中心のディナーでも名物の位置付けは変わらず、伝票にはサラダの注文が必ず記されるという。また、クリスマスやバレンタインなどの記念日には、下皿の底裏にLEDシールを貼ってカラフルな電飾を施すなど、さらなるサプライズ強化にも意欲的だ。何より演出の成功は料理のおいしさや接客サービスの実力が先立ってこそ。実力が人気を呼び、一昨年にはセントラルキッチンを兼ねたテイクアウト専門店を出店、今年10月には甲府の繁華街に旗艦店を立ち上げる予定だ。
ドライアイスのスモーク装飾は、わりと知られた演出方法であるが、来店客ほぼ全員に行き渡るのは珍しい。新参無名の個人独立店が認知高揚を図るには有効な方策だろう。
●店舗情報
「STEAK HOUSE WATAYOSHI 甲府本店」
経営=渡吉/店舗所在地=山梨県甲府市下石田2-17-22/開業=2017年10月/坪数・席数=18坪・30席/営業時間=11時~15時、17時~22時。無休/平均客単価=昼3800円/1日平均集客数=昼30人
●愛用食材・資材
「ボラボラ島の海の塩」 ジャパンソルト(東京都千代田区)
エキゾチックな付加価値を演出
太平洋の真珠と評されるポリネシア・ボラボラ島産のプレミアムソルト。「食感と風味が繊細。和牛の脂を引き立てる絶妙な塩味が魅力」(渡邊店主)と言う。同店では卓上塩として提供。素材の持ち味を尊重する決め手、味変化を楽しむ即戦力として重宝されており、定番料理にエキゾチックな付加価値を演出できるという。
規格=30g、100g(常温)