メニュートレンド:まぜそばでも、油そばでもない パスタと煮干しの革新的なコラボ
パスタ専門店は多い。だからこそ他店にはない「何か」をアピールしないと埋もれてしまう。パスタと煮干しという、これまでにはない圧倒的な独創性で注目を集めているのが、「sisi煮干啖」の「にぼたん」だ。
「にぼたん」というメニュー名が印象的だ。カルボナーラ、ペペロンチーノ、ボンゴレなどパスタソースの種類はさまざまあるが、同店ではパスタを煮干しソースで和えたものを「にぼたん」と命名。「sisi煮干啖」は、「にぼたん」発祥の店だ。
ラーメンやつけ麺ならともかく、パスタとは一見、縁遠いと思われる煮干しを抜擢した理由は、「肉料理に合わせる煮干しソースを作った際、ソースに使わない煮干しの頭とワタをフレークにしたところ、パスタに合いそうと発見したこと」と高山いさ己オーナー。
パウダー状にした煮干しに醤油、みりんを加えてフライパンで空いりして水分を飛ばし、さらにバターとガーリックオイルをプラス。これが「にぼたん」の味のベース。こだわりは煮干しだけではない。麺は「浅草開化楼」の「カラヒグ麺」。低加水、ストレートの中太麺でモチッとした食感。時間が経っても伸びにくく、くっつかないのが特徴だ。
トッピングのチャーシューは豚ばら肉を低温調理したもので、チャーシューというより上質なハムに近い。有明海苔は海産つながりで煮干しとの相性は申し分なく、赤玉ネギのみじん切りは彩りと味のアクセントに、そしてちょこんとのったウズラの卵が愛らしい。
「にぼたん」はここでしか食べられないのはもちろんのこと、「もう一度食べたい、人にも教えたい」と思わせる“無敵”のメニューといえるだろう。
●店舗情報
「sisi煮干啖」
所在地=東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ビジネスタワー3階/開業=2020年6月/坪数・席数=6坪・12席/営業時間=11時~15時、17時~22時、土曜・祝11時~22時。日曜休/平均客単価=昼1000円、夜3000円/1日平均集客数=100人
●愛用食材・資材
「銀鱗いりこ」 カネモ(愛媛県松山市)
うまみが抜群
瀬戸内の速い海流で育った愛媛県産のカタクチイワシの煮干し。漁獲後、魚を傷めないように手ですくい、塩ゆでした後に冷風乾燥。「内臓や頭を取らずに丸々使っても、苦味やえぐみがまったくありません。うまみの凝縮ですね。『にぼたん』には、この煮干しが欠かせません」と高木辰則店長。
規格=150g