多忙でも読める外食ニュース

2023.08.07 534号 04面

 ●物語コーポレーション、カフェ新業態オープン

 「焼肉きんぐ」「丸源ラーメン」などを展開する物語コーポレーションが、カフェ系の新業態「果実屋珈琲」の1号店を東京・調布市にオープンした。同店はフルーツをテーマにしたカフェ業態。近年人気の高いフルーツサンドを中心に、サンドイッチやパフェなどのスイーツを提供するほか、店内でサンドイッチや食パン、フルーツゼリーなどの販売も行う。市場規模の大きな分野に他社との違いを打ち出して参入するという、同社の戦略から生まれた新ブランド。

 解説=外食市場の中で酒類を提供する居酒屋などの多くが低迷する傾向にあり、喫茶系市場への参入を計画する企業も増えている。しかし商品政策などで競合ブランドとの差異を明確に打ち出さないと、次第に競争は激化するだろう。

 ●トリドールが海外加速 英国外食企業を買収

 「丸亀製麺」などを展開するトリドールホールディングスは、英国の外食企業Fullham Shoreの全株式を取得し、子会社化する手続きを完了した。Fullham社は、欧州でピザ業態の 「Franco Manca(フランコ マンカ)」とギリシャ料理の「The Real Greek(ザ リアル グリーク)」という2ブランドを展開している。今回の買収で、「フランコ マンカ」72店舗と「ザ リアル グリーク」27店舗(いずれも6月末時点)が同社の傘下に入る。

 解説=トリドールホールディングスは店舗展開の海外シフトを加速している。現在、直営・FC合わせて700店舗ほどある海外店舗を、M&Aなどにより拡大していく計画。同社は国内外で1000億円のM&A予算を設定している。

 ●大戸屋の新業態 「蕎麦処」相次ぎ出店

 大戸屋が新業態「蕎麦処 大戸屋」の1号店と2号店を相次いで出店。従来の「大戸屋ごはん処」と2021年にスタートしたデパ地下の惣菜食物販「おかず処」に続き、同社では「処」事業の第三の柱として位置付ける新ブランドとなる。そばは店内で製麺し、注文後にゆで上げ。また、15年にアメリカ大戸屋が米国ニューヨークに出店し、7年連続でミシュラン一つ星を獲得した「天婦羅まつ井」のノウハウを受け継ぐ天ぷらを提供。今回の出店は東京・西東京市と神奈川・相模原市。

 解説=そばは、日本料理の中でまだ大手チェーンが専門店としては未開拓であった商品分野だ。しかし、すかいらーくが1月に「八郎そば」を出店、この大戸屋の展開次第では各社が注目する新たな成長分野として位置付けられるだろう。

 ●23年上半期倒産件数 過去30年で外食最多

 東京商工リサーチによれば、2023年上半期(1月~6月)の飲食業の倒産件数(負債1000万円以上)は424件。これは上半期としては20年の418件を超え、1994年以来過去30年で最多となった。コロナ禍の中では、20年に飲食業としては年間最多となる842件の倒産が発生したが、21年、22年は各種のコロナ対応支援策が実施され比較的低い水準にとどまっていた。このペースで推移すると、年間の倒産件数も過去最多となる可能性があるという。

 解説=規模別では、資本金1000万円未満が全体の85%以上を占める。倒産の理由としては、昨年後半からの食材、資材、エネルギーなどの高騰、および店舗運営人員の確保ができず営業機会を逃したことなどが挙げられるようだ。

 ●鎌倉パスタの新業態 独創的なだしパスタ

 サンマルクホールディングス傘下の鎌倉パスタは、新業態「おだしもん」の1号店を東京・足立区の「北千住マルイ」に出店した。同店は、店内で仕込んだ「おだし」をベースにしたパスタと和のスイーツを提供する新ブランド。パスタにだしをかけて食べる「かけパスタ」や、つけ麺のようにだしスープにパスタをつけて食べる「つけパスタ」など、新しい食べ方も提案する。スイーツは、抹茶やほうじ茶を使ったものが中心。また、パスタにはすべて食べ放題の自家製豆腐が添えられている。

 解説=既存の主力ブランドが低迷し、グループ内の組織再編などを行なってきたサンマルクホールディングスだが、昨年あたりからやや回復の兆しがうかがえる。今回の新業態はパスタを軸にしながら、カフェ系業態を意識したものか。

 ●コメダ珈琲店が7月 1000店舗を達成

 「コメダ珈琲店」は7月、国内外を合わせた店舗数で1000店舗を達成。運営するコメダは9月まで大々的な記念キャンペーンを実施している。同ブランド1号店のオープンは1968年。この10年間で約500店舗を出店。

 ●見出=「居酒屋 和民」が韓国に再上陸

 ワタミが韓国ソウル市に「居酒屋 和民」を再出店。韓国で最大手のフライドチキンチェーンを展開する外食企業ジェネシスBBQとの合弁による。ワタミは同社のFCジーとして、日本国内でフライドチキン店を出店している。

 ●クリエイトR おにぎりの新業態

 クリエイト・レストランツは、新業態のおにぎり専門店「おにぎり青田屋」を福島・郡山市の商業施設フードコートに出店。国産食材を使い、「スパイスキーマカレー」などの変わり種を含めて38種類の具材を用意した。2種類の具材が入ったものも。

 ●リンガーハット 創業1号店が閉店

 リンガーハットの創業1号店である、豚カツ専門店「浜かつ」本店が、建物の老朽化のため7月末で閉店。同店は、同社創業の地である長崎市鍛冶屋町で1962年から61年間にわたって営業を続けてきた。「浜かつ」は現在、80店舗超を展開。

 ●丸亀製麺が初のドライブスルー店

 「丸亀製麺」が初となるドライブスルー店舗を群馬・渋川市に出店。ドライブスルーによるテイクアウトと店内でのイートインに対応するほか、車以外での持ち帰り専用窓口も設ける。従来のメニューに加えて限定商品やセットメニューを用意。

 ●SRS「家族亭」が海鮮丼の新業態

 和食「さと」などを展開しているSRSホールディングス傘下の家族亭が、新業態「海鮮丼 家族庵」を新東名高速道路の静岡サービスエリア下り線に出店。フードコート店舗だが、販売カウンターに水槽を置きアジの活魚をさばいて提供などもする。

 ●ドミノ・ピザ、景表法で措置命令

 消費者庁は、ドミノ・ピザジャパンに対し景品表示法違反で措置命令を行った。昨年10月から今年春にかけて配布したチラシで、記載の価格に加えて最大7%のサービス料が加算されるが、その記載がごく小さいものだったため誤認を招くとした。

 ●ゴディバの新店 世界初のベーカリー

 ゴディバ ジャパンは、同社としては世界初となるベーカリー店「GODIVA Bakery ゴディパン」を東京・千代田区にオープン。「パン」を通じてチョコレートやカカオの魅力を伝える目的。出店はJR有楽町駅前の「東京交通会館」1階。

 ●三菱地所が竣工 横丁業態「ハシゴ楼」

 三菱地所が、東京・中央区でこだわりの飲食店を集めた商業ビルを竣工。同ビルは10階建てだが、1階から5階を飲食ゾーン「ハシゴ楼」として全国から話題の飲食店18店舗を集めた。コロナ禍で疲弊した飲食店を支援するため、内装工事なども大部分を三菱地所が負担。

 ●ロマンスカー施設に洋食レストラン開店

 小田急線沿線で多業種の飲食店を運営する小田急レストランシステムは、小田急線海老名駅に隣接する「ロマンスカーミュージアム」に洋食レストラン「ビナキッチン」をオープンした。定番の大衆的な洋食メニューを、ソファ席もあるカフェスタイルの店舗で提供する。

 編集協力:株式会社EATWORKS(入江直之、岡野恵子)

 http://www.eatworks.com/

 ※記事は一部の固有名詞を省略

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