鰹節丼とおばんざい2品定食（卵付き）1,300円（税込み）同店では、（1）鰹節だけ（2）鰹節ご飯（3）鰹節＆卵がけご飯（4）だし茶漬け――という順番で食べる楽しみ方を推奨

ありそうでなかった鰹節ご飯にワサビを添える提案

節＋卵がけご飯は鉄板のおいしさ

だし茶漬けにショウガを組み合わせる提案も新しい

取材当日のおざんざいは、「湯葉刺し」と「しいたけのうま煮」。おばんざい1品付き定食（卵付き）は1,100円

　「ねこまんま」は日本のソウルフードといえる愛すべき日常料理だ。実はねこまんまは各地で少し異なり、一般に関東では削り節、醤油をかけたご飯を、関西では味噌汁などの汁がけご飯を指す。この関東タイプのねこまんま＝削り節がけご飯を外食店クオリティーにブラッシュアップし、行列をつくるグルメに仕上げたのが「節道TOKYO　神田淡路町店」だ。

　●さらりと溶ける究極の削り節

　「節道」は京都の1号店に続き2022年12月、東京に2号店をオープン。「毎日食べても体に負担がない食を提供したい」（神田淡路町店オーナー）と、鰹節丼定食だけで展開するこだわりの新業態だ。茶碗にたっぷりと盛られた鰹節の突き抜けたビジュアルが、話題を呼んでいる。西尾武尚マネージャーによると「鰹節がたっぷりのっている方がおいしいと、かき氷みたいに山盛りで提供したら、お客さんが大変喜んでくれて。調子に乗ってどんどん増やしていったらこうなってしまった（笑）」。

　同店の鰹節丼が行列をつくるほど人気を呼んでいるのは、ビジュアルの迫力だけが理由ではない。「最高級の鰹節をシンプルに味わえる一品」を追求し、土佐の最高級本枯節を薄さ0.01mmという精密に設定した削り節機を使い、削りたてを提供している。削り節を口に入れるとさらりと溶けていく食感が心地よく、鰹節の強いうま味が広がる。「0.01mmという薄さがポイント。手削りだと薄さ0.05mmが限界ですから」と、西尾マネージャーは言う。

　提供しているのは、この「鰹節丼」におばんざい1品または2品が付く定食の1メニューのみ。おばんざいは100％無添加の体によい料理を中心に、ほぼ週替わりで用意している。鰹節丼、おばんざい共に油を使っていないことから「普段の食事はどうしても油物中心になりがちで、たまには体によいシンプルな食を味わいたい、と考える人が今、多いのではないでしょうか」と、西尾マネージャーは分析している。「どんなに食べても罪悪感がない」として夜勤明けの若い男性客にも好評で、来店客の男女比は6対4と食欲旺盛な男性にも支持が厚い。

　質素な日常食でも究極の味を追求すると、行列をつくる一流グルメになり得ることを体現する好例といえるだろう。

　●店舗情報

　「節道TOKYO　神田淡路町店」

　所在地＝東京都千代田区神田淡路町1-15-12 エミザム御茶ノ水1階／開業＝2022年12月／席数＝14席／営業時間＝7時30分～15時。無休／平均客単価＝1100～1300円／1日平均集客数＝30～100人

　●愛用食材・資材

　「土佐　本枯節」　竹内商店（高知県土佐市）

　鰹節のおいしさで勝負！

　全国鰹節類品評会で農林水産大臣賞を受賞。昔ながらの製法でカビ付け、天日干しを4回繰り返して作った本枯節。「鰹節丼は鰹節のおいしさで勝負する一品なので、全国から探し抜いてこだわった。竹内商店の鰹節は塩味のバランスが強く、味がしっかりとしていて最高級のおいしさ」と、西尾マネージャーは言う。