2023年10月度、外食動向調査 フードコンサルティング

2024.01.01 539号 10面

 ●23ヵ月連続前年比増収も若干落ち着き

 日本フードサービス協会が発表した外食産業市場動向調査によると、2023年10月度売上げは、前年同月比108.8%となり、23ヵ月連続の増加を記録。客数は前年同月比3.6%増、客単価も5.0%増と好調だったが、前月までの2桁増の勢いは若干落ち着いた感がある。

 10月も気温が高い日が続いたことや、秋というよりも残暑の中の行楽シーズンが始まり、前月に続きファミリー層の利用が増えたことによる客数増に加え、食品や消費財の10月からの一斉値上げに合わせたかのような値上げの実施も客単価にはプラスとなり、多くの業態で増収につながった。

 その一方で、13ヵ月平均推移のうち前年比を下回った業態は、9月が1業態だったのに対して、10月は8業態となった。これは、相次ぐ値上げの心理的な抵抗感もあって、足が遠のく利用者が増えている兆候ではなかろうか。

 ●Exit時期迎える投資先

 先月号で、投資ファンド投資先の外食企業の大型倒産を取り上げたところ、ファンド投資先の外食企業に関して、特にファンドの売却(Exit)時期を迎えている外食企業を教えてほしいと、複数の先から問い合わせを受けた。

 ファンド投資先の売却時期を決めるのは、当然ながらファンド側であり筆者の知る由もないが、あくまでM&A情報などで確認できる情報の範囲では、投資ファンドにおける投資実行~Exitまでの期間は、おおよそ3~7年程度となることが多く、平均して5~6年程度の投資期間となるようだ。

 これは、投資ファンドの投資資金のベースとなるファンド(「〇〇投資事業組合3号」などと称される)の資金募集から解散までの期間が、多くは10年間に設定されていることからくるようである。

 そこから逆算していくと、今年度末から来年度(2024年)にExitにより売却時期を迎えそうな投資先外食企業は、今から5~6年前、つまり2017~2018年ごろに投資された外食企業が対象となるのではなかろうか。

 そこで今回は、2017~2018年にファンドが投資した外食企業のうち、現時点で投資中の先をピックアップしてみたい(左表参照)。

 実質的に居酒屋使いの海鮮料理(「いかセンター」ほか)を加えると、実に8社中4社の投資先が居酒屋となっている。

 個々の業績に関しては、コロナの甚大な影響を考慮する必要があるためにあえて触れないが、「なかなか」であるようだ。もっとも、外食業界ではコロナ前から居酒屋チェーンの売却案件は多かったのだが。

 投資ファンドは投資先の業種が偏らないようにバランスをとる「分散ポートフォリオ」を好む傾向にあるものだが、こと外食投資に限っては居酒屋業態が好まれるようだ。おそらく投資ファンドのエリートたちは、呑み助が多いのだろう。

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