ふりかけ・お茶漬け市場、苦境も新商品充実 永谷園、3年ぶり「だしごこち」発売

水産加工 ニュース 2022.08.24 12456号 01面
永谷園「だしごこち」(左)と丸美屋「とりたまご」

永谷園「だしごこち」(左)と丸美屋「とりたまご」

ふりかけ・お茶漬け市場は今22年度、共に縮小し、補い合う好循環が崩れつつある。特にふりかけがコロナ共存の行楽減のまま停滞。苦境だけに今秋は丸美屋食品工業の珍しい、肉系ドライタイプの「とりたまご」など、期待の新商品が充実した。お茶漬けは永谷園が3年ぶりに「だしごこち だし茶づけ」を発売。従来なかった粉末を使い、親しみやすいだしの味わいを広げ、くつろぎの時間を演出する。

ふりかけ、お茶漬けの両市場は今期、前年比3%減で推移し、少子化でメーンユーザーを失っている。ふりかけは大人消費を広げてきたが、一服感が漂う。毎日の弁当需要が回復しても行楽は失ったまま。お茶漬けは内食増のコロナ特需で伸ばし、以後の反落もゆるやか。永谷園が朝食に最適と伝える「めざまし茶づけ」で主用途を気付かせ、習慣化も果たした。

共に消費の裾野拡大を課題にし、トップメーカーの丸美屋はマーケティングを深化する。専門部署の人員は社員約400人の1割以上を充てて他を圧倒。4日発売の「とりたまご」は鶏と卵のそぼろ丼を想起させる。優しい甘さでうまみが広がる、子どもが好きな味わいに仕上げた。

肉系のふりかけは大人向きのソフトタイプに多く、市場の中心であるドライでは、焼肉といった好き嫌いの分かれる商材ばかりだった。「とりたまご」は家族で楽しめる新定番と流通業から支持され、好スタートを切った。ほか25日発売の「ちいかわふりかけ容器入」にも注文が殺到。成熟市場の成功例を示している。

お茶漬けトップの永谷園は9月5日から国産だしのお茶漬け、ふりかけの「だしごこち」シリーズを新発売。外食店や専門店などでのだし人気に着目し、丁寧に取っただしを味わい、ほっとする瞬間を日常に取り入れてもらう。素材感と新奇性のある細粒状の粉末で商品化し、香り立ちを良くした。お茶漬けは5種類のだしがご飯と具材のあられ、海苔の風味を引き出し、余韻を残して次を誘う。

温かく、食べやすいお茶漬けは「めざまし」のような気付けと、伝統的なレシピ、食材、加温などによる心身の緩和が特徴。トレンドのだしを切り口にしてお茶漬けのリラックス効果を伝え、新様式のゆとり、くつろぎニーズに応える。=関連記事「ふりかけ・お茶漬け特集」(吉岡勇樹)

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https://news.nissyoku.co.jp/special/867428

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