アパレルに学ぶ盛り付けのヒント:皮革製品も環境配慮へ 身近な材料や手法がカギ

2023.08.07 534号 06面
富田興業の「レッザボタニカ」を使った「ゲンテン+イトウエン」

富田興業の「レッザボタニカ」を使った「ゲンテン+イトウエン」

 食肉などの副産物である皮革製品でも、サステナビリティ(持続可能性)を意識した取り組みが進んでいます。皮革業界では2005年に設立された環境保護団体LWG(レザー・ワーキング・グループ)の認証が国際的に認知されていますが、日本の市場ではよりわかりやすく、消費者が身近に感じられる材料や手法が重視されています。

 富田興業の「レッザボタニカ」は、国内企業の協力で食品加工や製造現場で生じるワインやコーヒー、緑茶などのポマース(搾りかす)を使い、2次なめしを行っています。原皮も国内産の肉牛の副産物。特に、伊藤園が全面的に協力する緑茶なめしは、茶殻の品質が安定し、淡いベージュに仕上がるため、ファッション製品として染色しやすいといわれています。

 バッグや革小物メーカーを中心に受注もあります。価格は皮革の単位で1デシ(10平方cm)当たり100~110円とやや割高ですが「物作りの背景を重視して採用する企業が増えた」といいます。採用している、クイーポは「ゲンテン」で今春、伊藤園との協業をうたった「ゲンテン+イトウエン」を商品化しました。

 24年春夏に向けては、ドイツ企業が開発したなめし革「オリーブンレダー」も紹介しています。オリーブの葉から抽出したタンニンでなめした革で、クロムなどの金属、合成タンニンを含みません。グローバルブランドでも少しずつ製品化されているそうですが、市場での認知には時間がかかりそうです。

 (繊研新聞 取締役編集局担当 矢野剛)

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