メニュートレンド:だし&スパイスのカレー進化形
写真1:写真(奥)=「季節の野菜カレー」 900円(税込み)、(手前)=「味噌ホルモンカレー」 750円(税込み)
カレーのベースとなっている日高昆布。スパイスに負けない濃いうま味と、雑味が少ないことが選定の理由
日高昆布を水で戻したものに鰹節をたっぷり投入。毎朝店内でとるフレッシュさがおいしさの柱に
白と木目を生かした清潔感ある店内で、中央のキッチンを挟むようにカウンター席を配置。料理人の手さばきが見えるキッチンで、手作り品質のアピールもお客の支持につながっている
「だしの利いたカレー」と聞くと、そば・うどん店のカレーをイメージするだろう。それはそれで味わい深いが、東京・浜松町にある「日高昆布カレー専門店 和乃香」が提案する“だしカレー”は明らかに別物。日本料理の繊細さを感じさせるヘルシーなカレーに注目が集まっている。
●優しい味わいが女性に人気 トッピングも料亭クオリティー
「和食の土台であるだしの価値を改めてアピールしたいと考えた。そこで、だしとの組み合わせに意外性がありながら、日常食として親しまれているカレーを選びました」と小野優香店長。
印象的なのが、緑がかった独特の色合いのカレールウ。これは粉末状にした日高昆布と緑黄色野菜をルウに合わせることで生まれた色だ。また、とろみはつけず、サラサラとしたポタージュ状に仕上げているのも特徴だ。「和食の素晴らしさは、健康食として優れている点。それを守って、化学調味料や小麦粉を使わないヘルシーなカレーを目指しました」(小野店長)。スパイスもだしとのバランスを追求し、ローリエやクミンなど11種類のスパイスを独自に配合している。
まずカレールウだけを口にすると、最初はだしの優しいうま味が広がり、後からスパイスが追いかけてくる。最初こそあっさりした印象だが、食べ進めていくほどうま味と刺激が増し、最後まで食べ飽きることがない。食後感もお腹にもたれることなく、それが女性や年輩の客層に好評だという。
専門店のカレーといえばじっくり煮込むことがおいしさの理由とされるが、だしのカレーはむしろフレッシュさこそがおいしさのポイント。ベースとなるだしは、日高昆布を一昼夜漬け込んだ昆布だしに鰹節を加えた合わせだしを毎朝とっている。こうした繊細な料理を支えるのは、老舗料亭やホテルで腕を磨いてきた岡田隼料理長。伝統和食を知る料理人だからこそのカレーといえる。
トッピングや副菜にも日本料理の技術が生かされている。同店名物の「味噌ホルモンカレー」に盛り付けられるホルモンの煮込みは、ホルモンをゆでこぼすところから自家製。西京味噌で7時間じっくり煮込んだ後、1~2日熟成させている。また「季節の野菜カレー」の野菜は素揚げした後、おひたしにしてだし感を強調しており、「伏せ節」の手法を使って風味を高めるなど、ひと手間もふた手間もかけている。
●店舗情報
「日高昆布カレー専門店 和乃香」 所在地=東京都港区芝大門2-9-2/開業=2019年7月30日/坪数・席数=13坪・14席/営業時間=11時~22時。土・日曜休/平均客単価=850円
●愛用資材・食材
「和だし」 山長商店(大阪市中央区)
深みあるだしを簡単に
鯖節、イワシ節、鰹節、椎茸、昆布をバランスよくブレンドしただしパック。「簡単に深みのある味に仕上がる」と岡田料理長は評し、トッピング調理のベースなどに愛用している。山長商店は、安政元(1854)年創業の大阪の老舗だし専門店で関西の高級料亭・和食店御用達の店だ。
規格=100g×10袋
【写真説明】
写真1:ご飯には三重県産「紀宝米」を厳選。硬めに炊いてカレーとの相性を高めている。副菜のキャベツのピクルスはお代わり注文が入るほどの人気ぶり