NTTデータビジネスシステムズ「食品業界向け処方管理システム」 DX・デジタルで商品開発の課題を解決 変化に対応する“未来の仕組み”【PR】

DX・デジタルで商品開発の課題を解決 変化に対応する“未来の仕組み”

消費者ニーズが多様化し、商品の提供サイクルが短期化する傾向を背景に、わが国の食品・飲料業界では商品開発の高度化・スピード化が求められている。少子高齢化に伴う国内市場の縮小、国際情勢による原材料高騰など厳しい環境変化に直面する業界の中で、商品開発はまさに屋台骨に位置付けられるが、品質の要求水準が高まる中で複雑性の高い開発業務の生産性を大きく向上させるには、多くの課題を抱えている。

商品開発の従来までの課題や悩みを解決し、ヒト依存度が高い業務のデジタル化を通じてより効率的な商品開発を支援するのが、NTTデータビジネスシステムズとNTTデータが共同で構築する食品業界向け商品開発DXソリューション「処方管理システム」だ。

キリンビールと共同でRTD製品向けシステムを構築、注目を集めている
(写真左からキリンビール田墨氏、同平野氏、NTTデータビジネスシステムズ中島氏、鈴木氏)

同システムでは、商品開発における試作・配合に不可欠な原料やコスト、工程などの処方開発情報をデジタルデータとして「一元的」に管理。かつ関連部署とのデータ連携や開発ノウハウの形式知化、業務の高質化をユーザー視点で支援するもので、商品開発における大幅な稼働時間の短縮や業務効率化、さらには高精度化を可能にする。

さまざまな商品開発の課題を解決する要注目の同システムだが、キリンビールと共同で缶チューハイなどRTD製品向けシステムを構築し、6月から本格運用を実際に開始した。システムの概要と開発力強化へ向け、先んじて導入・活用しているキリンビールの取り組み例、同システムの社会的意義を紹介したい。


●求められるデジタル化 処方開発の効率化とノウハウの形式知化、業務品質の向上を支援

世界屈指の品質・安全性を誇るわが国の食品・飲料業界だが、R&D領域(研究開発、商品開発)のデジタル化においては製薬、化学業界と比べて遅れをとっている。中でも商品開発現場では、例えば処方業務においてはヒト(熟練者)による経験・知見によるところも大きく、膨大化するデータ管理に対してはこれまでExcelやノート記録による入念な組織確認などで対応するのが一般的といえる。今後もさらに確実な複雑性・正確性が求められ、根本解決につながるデジタル化が急務の状況にある。

この課題は、貴重な開発ノウハウを組織知化することで業務を効率化し開発期間短縮の障壁となっていることはもちろん、例えば表示や食品規格・法令遵守などの面で決定的なミスにつながる危険性も指摘されている。多様化するニーズに対し、商品開発は今後さらに膨大な業務量が不可欠になるとされるが、現状の業務形態では限界が近い、と考えられる。

ニーズの多様化や商品サイクルの短期化の背景に、
食品・飲料業界では商品開発の高度化・スピード化が進む

「処方管理システム」はNTTグループの長年の技術資産を活用し、デジタルデータとして蓄積された処方開発情報の検索・参照・引用性を飛躍的に高め、蓄積したデータを活用し機械学習・生成AI技術などの先進的テクノロジーを組み合わせることが可能となる、新機軸のソリューションシステムの一つ。

商品開発における処方開発業務は、新商品に使用する原材料と配合を検討する配合検討業務、検討した処方配合をもとに試作・試飲を繰り返す試作業務、原価を計算するコスト検討業務、検討した配合をもとに商品パッケージの原材料・栄養成分表示を検討する表示検討業務に大きく分かれる。同システムでは、帳票の電子化によりデータを一元管理するとともに、業務で利用する複雑な業務ロジックのシステム化を図ることで、全包囲的な効率化とノウハウの形式知化、業務品質の向上を支援する。

複雑な業務ロジックのシステム化を図ることで、
効率化とノウハウの形式知化、業務品質の向上を支援する

帳票の電子化によるデータの一元管理では、従来までの変更ごとでの複数帳票への転記や確認作業に伴う莫大な稼働時間を大幅に短縮。さらに、過去の記録情報を、個別のレイアウトに依存することなく一元的に閲覧できるようすることで、新商品開発や開発担当者の育成に必要な高度な技術知見の「伝承」に活用することが可能となる。

複雑な業務ロジックのシステム化では、取扱い原材料とその配合情報・試作結果、さらに商品パッケージの原材料・栄養成分表示など正確・確実性が要求される各情報の計算ロジック・業務ロジックをシステム化。膨大な時間を要していた従来までのExcelなどでの確認作業を効率化・正確化し、大幅な時間短縮と商品開発業務の品質向上を実現する。

導入したキリンビールの場合、効率化を通じた目標削減業務時間は、実に年間2000時間。さらにシステムは現場ニーズに合わせてアップグレードも可能で、さらなる商品開発力の向上・高度化も可能となる。


●「期待を超える商品を」―導入したキリンビール開発陣、さらなる高みへ

「処方管理システム」を6月から本格運用しているキリンビールは、同システムの導入以前、数多くの種類の原材料をもとに数十パターンの処方を、Excelを用いて検討の上、試作・試飲を繰り返して処方を確定していく処方開発(同社では“中味開発”と呼ぶ)を行っており、各情報の活用や共有・継承が難しく、さらに情報管理に伴う業務の生産性向上が課題となっていた。キリンビールマーケティング部商品開発研究所の平野誠主務は「効率化に加え、メーカーとして正確性の高い情報管理力の必要性も切実に感じており、さらなる強化に向けた一手を検討していた」と当時を振り返る。

こうした中、同社ではいくつかのITベンター候補の中で、最適なソリューションシステムを検討。酒類RTD(Ready to Drink)開発への適性はもちろん、オリジナルのシステムを一から作り上げることも可能という柔軟なカスタム性も決め手の一つとなり、「処方管理システム」の導入を具体的な形で検討する。NTTデータビジネスシステムズ・NTTデータとともにロードマップの策定や使用データの選別を重ね、2022年から両社との本格共同開発に着手した。

システムを共同構築したキリンビールでは多くのヒット商品を展開する
(撮影=一部商品)

酒類RTD開発では、独自の、例えば酒税や各法令遵守など専門的なデータ管理も必要となる。共同開発では時として発生した不具合なども含めた問題点を一つひとつ解消・解決する形で、システムを着実に構築してきた。現場指揮に携わる同社マーケティング部商品開発研究所中味開発グループの田墨恭子氏は「計算・管理などの各システムにおいて整合性を一歩ずつ高める中で、優れた情報力・データ構築力はもちろん、対応力の速さ・的確さに助けられた」と説明する。

24年10月現在、キリンビールのRTD開発現場では、同システムの本格運用を経て活用段階に入りつつあり、「6月の導入当初から徐々に慣れ始め、さまざまなメリットが出始めている」(田墨氏)状況。「機能追加や使い勝手の向上もあり、非常に効率的かつ正確性の高い業務が遂行されている。中でも確認や単純作業をシステム化できた点は大きなメリットと考えている」(同)という。今後は「まずはRTD開発における活用の幅を広めるが、生産や品質保証など関連部署と連結することにより、効果を波及させていきたい。将来的には他ジャンルでの応用も検討材料に入れていく」(平野主務)と意欲的だ。

「処方管理システム」の活用により、さらなる高みを目指すキリンビール・中味開発陣

「氷結」や「麒麟特製」など多くのヒットブランドを生み出した同社は、導入前の時点においても国内屈指の開発力を持っていたことは間違いない。「処方管理システム」により、従来以上の業務効率化・高質化を果たすとどうなるか。当然ながら、次なるステージがみえてくるはずだ。「お客さまを主軸とした商品開発を“どんどん”進め、創造性のある商品を世に送り出すことが、われわれのミッション」(平野主務)、「お客さまの期待に応えるのではなく、期待を超える商品を創りだせる商品開発を目指す」(田墨氏)―――同社開発陣はさらなる高みを目指す。


【記者の目】

●ヒトの力による業界発展に期待大 強力「応援団」に
「処方管理システム」は、商品開発現場における現行の課題や悩みを解消するが、その最大意義は、効率化・時間短縮化の先にあるヒトの力による新市場創造、ひいては食品業界全体の発展の可能性、だろう。食品・飲料の商品開発現場では絶対的なコマ不足もあり、優秀な人材が管理データの確認や修正などに追われるケースも珍しくない。端的にいえば、高度社会化の中では、開発従事者は単純作業に属する管理や確認ではなく、新しい何かを産み出し、創出する役割を担うべきだ。このことは、ニーズが多様化し、開発のスピード化がさらに求められている現状下において、すべての食品メーカーに共通する最優先のミッションだろう。

NTTデータビジネスシステムズ・ITソリューション企画営業部の鈴木一嘉統括グループマネージャーは「本システムは現状、『商品開発』に着目しているが、今後は営業、マーケティングや商品企画、販売などのデータを統合的に活用できるプラットフォームを提供したい。バリューチェーン全体を最適化し商品開発に関わる一連の意志決定スピード向上に向け、“未来の仕組み”を作ることがわれわれの使命」と意欲を示す。

世界屈指の品質・安全性を誇るわが国食品・飲料業界は、環境変化の中でも世界的な注目を依然集めている。増加する訪日外国人がわが国で最大の関心を示すのは、間違いなく「食」だ。

開発を主導する第二ITソリューション部の中島篤史統括グループマネージャーは、「日本の食品メーカーは、国際的に評価の高いメイドインジャパンの食を支える重要な役割を果たすが、例えばグローバル食品企業と比べて利益率が低いことが課題なように、必ずしも正当な評価を受けていない。IT・デジタルを生かし、国内食品・飲料業界の向上・活性化を全力で支援し、地位を高めるとともに、日本の食への海外のファンの増加にもつながれば」と強調する。

食品・飲料業界の屋台骨である商品開発の本分である、ヒトにしかできない創造性を活かした商品開発業務に対して、効率性と生産性向上によりバックアップする「処方管理システム」。さまざまな難題に直面するわが国の食品・飲料業界の、頼もしい「応援団」となりそうだ。



株式会社NTTデータビジネスシステムズ

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