EUオンラインセミナーレポート【PR】
EUの農産品輸出 日本の消費者の関心に鍵 締めくくりのディスカッションで
東京とベルギーのブリュッセルをオンラインで結んでの日本と欧州連合(EU)の農産物貿易の専門家や関係者によるパネルディスカッションは、日EU貿易促進の今後の課題が規制や協定、基準の統一にあり、EUの日本への農産品輸出を広げる鍵は、日本の消費者の興味・関心を知ることにあることを浮き彫りにした。同パネルディスカッションは日EUの貿易を促進するため4月19、20の両日開催されたオンラインセミナー「EUはどのように農産品の高い品質と安全基準を確保しているか」を締めくくる企画として行われた。
日本時間20日午後5時15分から75分間行われたパネルディスカッションには、ブリュッセル在住のジャーナリスト、ブライアン・マクガイア氏を司会に、日本側からはフェルミエ取締役会長(チーズプロフェッショナル協会会長)の本間るみ子氏、明治屋商品事業本部海外商品事業部輸入食品部長の河原竜夫氏、スターゼン海外本部輸入ポーク部長の小池公一氏が、EU側から在日フランス大使館農務参事官のマリーエレーヌ・レ・エナフ氏、アドバンテージ・オーストリア副所長(駐日オーストリア大使館商務アタッシェ)のアーノルド・アカラー氏、グランシェフのドミニク・ジャン・ルイ・コルビ氏が参加した。
パネルディスカッションでは、日EU貿易の課題と機会について意見を交わした。貿易促進で欧州が理解しておくべき重要なポイントについて本間氏は「欧州各地の食べ物をその歴史的な背景も含めて日本人に紹介すること」と、日本の消費者の興味・関心がどこにあるかを知ることの重要性を示唆した。
EPAが関税引き下げの大きな第一歩だったとしたアカラー氏は「今、直面している大きな課題は規制や協定などさまざまな領域での統一化」と指摘、欧州の輸出業者に対しては「日本市場をよく知る必要がある」という。河原氏も日本とEUとの基準の違いが貿易促進での課題という。「欧州の伝統や文化を感じさせ輸入したいと思う食材があっても直面するのは農薬や添加物の基準の違い。そのままのスペックでは輸入できず断念するケースが結構ある。日本とEUのさまざまな基準の統一が貿易拡大には必要だと思う」とした。
エナフ氏はGI(地理的表示)の保護に言及した。すでに日本と合意済みとして「実装や運用に関して事業者の間で理解が徹底されていないということがあるかもしれないが、小さな課題でも一つずつ乗り越えていくことが大切」と指摘した。また、オーガニック製品に関する日本とEUの同等性は希望の一つとして「消費者が望むだけでなく環境負荷軽減の観点からも重要。オーガニック製品の貿易活性化につながると思う」と語った。
小池氏は、新型コロナウイルスのパンデミックによって世界の消費者は健康、環境志向へと急速に変化しているとして、欧州からも、日本からも持続可能な農業、畜産が求められ、注目度は高まるとの考え方を示した。その上で「欧州の安全・安心への取組みを日本の消費者によりよく知ってもらうこと、私どもも啓蒙(けいもう)活動をすること、これによってEU産が今後も市場に広まっていく」との考え方を伝えた。
日本在住が長く日本人の消費者とフランス人の消費者の違いをよく知るコルビ氏はシェフとしての立場から日EUの貿易促進でアドバイスできることについて「生産者とコミュニケーションをとることが大事」と語った。
セミナー公式ウェブサイト: www.euagrifoodsps.eu
パーフェクトマッチ!日本語公式ウェブサイト: www.foodmatcheu.jp