絵本「チッピィからの贈りもの」の料理を現実に ローズチキンの開発と食育への取り組み【PR】
海外での出版が叶わなかった絵本『チッピィからの贈りもの』を出版し、作中に登場するレシピの再現や食材の開発、実際のレストランでのメニュー販売など、絵本の世界を広げているエムズパートナーズの宮武憲行氏。活動の原点には、「料理を味と見た目で食している人が多い中、食材の大切さに気付いてもらいたい」という原作者への共感がありました。
●絵本の料理を現実に
海外で出版が叶わなかった絵本の原作を翻訳した『チッピィからの贈りもの』が、日本食糧新聞社から出版されたのは2022年3月。作者であるローザ・ブライアント氏の遺志を継ぎ、宮武氏が日本での出版を実現しました。きっかけは19年5月ごろ、出版についての知人からの相談です。宮武氏は絵本の魅力を引き出すことができれば出版の可能性があると判断し、出版社と交渉することを引き受けました。
翻訳するに当たって、絵本の原稿のほかに送られてきたのは、書き込まれ使い古されたレシピノートや著者の父親が集めたであろうヒヨコ関連のピンバッジ等。レシピノートを解読するとフランス料理を基本とした家庭料理で76種類のレシピが書かれていました。それらの料理は現代の加工食品やファストフードのようにやみつきになる美味しさはありません。しかし、どれも素材の味を大切にし、慈しむような、豊かで深い調理法を用いており、料理人の素材の味を大切にしたいという気持ちを感じ取ることが出来ました。その思いに共感した宮武氏は、「料理を味と見た目で食している人が多い世の中にぜひ知って欲しい」と、絵本の出版と併せてレシピを再現しようと決めました。
プロジェクトは新型コロナウイルス感染拡大により一時中断しながらも続けられました。まず「ローズチキン」を商標登録することから始め、絵本に登場する「ローズヒップを食べて育ったローズチキン」を再現するために実験的に飼育してくれる養鶏場を探し出しました。養鶏場ではローズヒップを3~5%混ぜた餌によって育てたヒナ20羽と、ローズヒップを添加しない餌によって育てたヒナ20羽を約50日間飼育。専門機関で鶏肉の肉質検査を行った結果、ローズヒップを食べた鶏肉の方が、臭みがなくジューシーで、肉質が優れていることが実証されました。
また、絵本の内容や魅力を深く知ってもらうため、2022年4月5日には絵本の公式サイトを開設しました(https://www.roseken.com/)。絵本に登場する料理などを、現存するレシピノートから実際に作って公式サイト内で紹介していく予定です。
●レストランとのコラボレーションに至るまで
そして、いよいよ料理の再現にとりかかります。現存するレシピノートを基に、ロール状にした鶏肉料理「ガランティーヌ」を開発し、2023年1月から期間限定・数量限定のメニューとして、東京都品川区および横浜市の2カ所のレストランで提供してもらいました。
料理の提供に協力してもらうレストランは、飲食店情報サイト「ぐるなび」などを運営する株式会社ぐるなびに、絵本のイメージに合った2店舗の選定、参加依頼、店舗内ディスプレイなどイベント運営の協力を依頼。
ガランティーヌのソースなどは店舗独自のアレンジを加えてもらい、おしゃれでヘルシーなメニューとして提供されました。
2店舗とも好評で問合せも多数寄せられたことから、第2弾を行うことを決め、第2弾は、同年5月に東京・銀座にある「オステリア ダ アダ」(中央区銀座6-4-3-4F)の協力により、期間・数量限定のメニューフェアを開催することに決まりました。詳細については、絵本の公式サイト内の「お知らせ」に掲載されています。
また、第2弾でも提供されるローズチキンは、岐阜県高山市の「森の自然学校」の飼育によるものです。同施設は、木工スクールや自然に触れ合う体験プログラムから宿泊施設まで保有しており、当プロジェクトの内容に賛同しています。プロジェクトに賛同する養鶏場は引き続き募集しています。最終的には、絵本に登場するレストランをレシピノートの料理と共に出店するのが目標です。
●食育、SDGsへの思いと今後の展開
ここまで食材の開発、料理の再現、メニュー提供、とステップを進めてきましたが、「食材を大切にする」という理念は揺らぎません。SDGsの12番目のゴール「つくる責任」にも挙げられているように、いたずらに商品化を急げば食品ロスを発生させることにつながり、それは事業の本来の目的と合わないからです。今後の商品化については、絵本の読者や公式サイトの訪問者の意見を聞きながら考えることにしています。
ところで、絵本の読者からは「絵本に登場するチッピィを食べるんですか?」という意見が多く寄せられています。それに対して宮武氏は、「そう思うことが実は大切なことで、普段、料理を味と見た目で食している方が多いと思いますが、もっと食材の大切さに気付いてもらうことが作者の言わんとすることであり、当プロジェクトでも取り組みたい『食育』です。食材を意識することは、美味しさを増し残さず食べることにつながることを絵本を通じて感じてもらえれば」と力を込めます。
宮武氏プロフィール
- 2010年 英国国立ウェールズ大学 経営大学院 MBA 修了
- 2021年 国立東京海洋大学 大学院 食品流通安全管理専攻 修了
- ・株式会社藤屋 取締役
- ・一般社団法人江東みつばちプロジェクト設立 (2011年) 理事長
- ・株式会社エムズパートナーズ設立 (2014年) 代表取締役
- ・株式会社タン企画[赤坂璃宮]取締役 経営企画室室長