EUの農業担当欧州委員ヤヌシュ・ヴォイチェホフスキ氏の訪日ハイレベル・ミッション・イベントに70人以上のビジネス代表団が同行 公式ディナー、B2Bマッチング、ビジネスセミナーなど開催 大阪万博も視野に【PR】

EU農業担当欧州委員ヤヌシュ・ヴォイチェホフスキ氏

7月2~6日、EU(欧州連合)の優れた食品・飲料のプロモーションを目的として、欧州の農業食品分野の生産者や組織の代表者70人以上のビジネス代表団が、EUの農業担当欧州委員ヤヌシュ・ヴォイチェホフスキ氏の訪日ハイレベル・ミッション・イベントに同行し来日した。3日にはパレスホテル東京で「WHEN EU FOOD MEETS JAPANESE FOOD  It is the perfect match!」をテーマに、ヴォイチェホフスキ氏主催の欧州連合公式ディナーを開催した。

会場には、EU代表団と加盟国大使、農務・貿易担当参事官、商工会議所、日本の大手輸入業者、小売流通業者、接客業関係者など200人ほどが列席した。齋藤正敏シェフが、EUの食材を取り入れた料理を提供、EUと日本の食品のパーフェクト・マッチの魅力をEUの上質なワインとともに味わった。

EUは2019年から「パーフェクト・マッチ」として日本でのプロモーション・キャンペーンを展開、EUの農産食品がいかに日本の食生活に適合し、その多様性に貢献できるか示してきた。B2Bマッチング、日本食研ホールディングス児玉一穂(いっすい)氏による京阪神地区でのビジネスの可能性に関する講演などを開催、参加者の関心を集めた。

昨今の円安ユーロ高にあっても、EUの酒類、食品メーカーの多くが日本市場に積極的に売り込みをかけたい考えで、2025年の大阪万博では、エキサイティングな食品・飲料振興プログラムを携えて参加する可能性を検討している。

「WHEN EU FOOD MEETS JAPANESE FOOD  It is the perfect match!」をテーマに、パレスホテル東京でヴォイチェホフスキ氏主催の欧州連合公式ディナーを開催した
公式ディナーのメインコース
アイルランド産ビーフテンダーロインのグリル/スペイン産リトルジェムレタス/イタリア産トリュフと茸のポワレ/山葵風味のマスタード
EU食品の日本向け輸出促進へ

今回は、EU加盟27ヵ国中20カ国から68の企業・団体が参加した。肉、乳製品、チーズ、ワイン、蒸留酒、果物、野菜、オリーブオイル、加工食品、ノンアルコール飲料、オーガニック製品、地理的表示保護(GI)の対象となっている特別な製品など、幅広い食品・飲料製品のカテゴリーを代表している。代表団の半数はすでに自社製品を日本に輸出、日本のパートナーとの協力関係を深めるための来日となった。残る半数は、日本へ輸出し始めようとしている。

ヴォイチェホフスキ氏は、このハイレベル・ミッション・イベントの目的について、高品質な欧州製品を日本市場に広めると同時に、欧州のメーカーと日本の輸入業者とのコミュニケーションを促進・支援することで、この特別な使命は、EUからの潜在的な新しいサプライヤーを紹介し、日本の輸入業者に新しい製品と関係を提供することだとしている。

EUは高品質な農産食品の世界最大の貿易国で、日本の消費者が長年評価してきた持続可能な方法で生産された食品や飲料製品を多種多様に提供している。

訪日代表団のうち 、ルーマニアで1874年から続く最も古いワイナリーのひとつでは、「ギハラ」という独自品種のブドウでロゼワインを生産している。別の品種のワインは日本に輸出しているが、ギハラはこれからだという。環境にも配慮し、短いコルクを使ったキャップを採用している。また、フランスで5代続くスピリッツの蒸留所では28カ国にコニャックなどの輸出実績があるが、今回初めて日本に紹介するという。日本食や日本のカクテルにも合い、若年層にもソーダ割などで楽しんでほしいという。

4日は帝国ホテルで、B2Bマッチング、ネットワーキングランチなどを実施し、日本の輸入業者はEUの新しいサプライヤーの新製品を試食・試飲し、製品、両者のトレンドについて語り合い、潜在的なビジネスパートナーと出会うことができたもよう。

B2Bマッチングでは新たなビジネスパートナーとの出会いが多く見られた
京阪神エリアでのビジネス環境と輸出

5日は同ホテルで、ビジネスセミナーとして、日本市場の中でも特に京阪神に焦点を当て東京、全国とは異なるトレンド、商流、消費者マインドなどを学び、新たなビジネスチャンスの可能性を探った。日本が農産物輸入に定めている法規則などについても学んだ。

日本食研ホールディングスマーケティング第二本部食未来研究室室長児玉一穂氏は日本市場について、1970年から人口は増えたものの07年をピークに減少に転じて少子高齢化が進み、人口が増えていたときでも婚姻数が減り、コロナによって一層減ったことなどを紹介した。子どもを持たない1、2人の世帯数が伸び、間もなく単身世帯が全体の4割になる予測だと述べた。40年前は子どものいる世帯向けのサービス、商品の提供でビジネスモデルが成り立っていたが、2040年には高齢の単身、夫婦世帯が増えて大きな割合を占め、食市場はシュリンクすると述べた。この環境下、単身世帯は中食、外食への支出が多い。ここ20年で鮮魚への支出が60%にまで減少した一方、中食は40%増加した。

全国の動向を踏まえた京阪神地方の特徴として、全国比で70歳代以上の単身世帯が多く、三世代世帯が少ない。10万人当たりのSM、CVSは少ないが、観光客相手の外食店が多いため外食店は全国比で非常に多い。世帯年収では、1位東京都、2位神奈川県、3位愛知県で、兵庫県20位、京都府29位、大阪府34位と、京阪神は世帯年収の高い地区ではない。共働き率も38位京都、45位兵庫、46位大阪と低い。

食品カテゴリーのうち、大阪府では肉の支出金額が全国比で高い。酒類も高い。京都府では京野菜の影響から野菜の支出が高い。外食、菓子も高い。兵庫県では外食の支出が京阪神の中で最も高い。

全国の2022年のSMでの食品購入は03年比で1・5倍になった。EUの商品については2・5倍で、コロナ禍で海外に出掛けられなかったことも含めて日本国民に受け入れられていると見られる。海外からの仕入れ金額では、1位は韓国で、伊、仏が伸びた。EU加盟国からの輸入品目はワイン、チーズ、パスタ、菓子、オリーブオイル、ワイン以外の酒類、ミネラルウォーター、調味料、缶詰、その他の順となっている。チーズの支出は東日本が高く、京都、神戸では高いが大阪は低く、大阪でのビジネスは伸びしろが期待できそうだ。また、全国市場で03年比3倍以上に伸びたのはシュレッドタイプで、その要因は、主に若年層が調味料として使うようになったことだと分析している。ワインの消費は、京都で支出金額が高く全国3位、大阪は同9位となっている。全国的にクリスマスイブが1年で最も売上げ金額が高くなっている。秋冬の需要が高いが、児玉氏は、夏場にサングリアの飲み方訴求を提案した。

京阪神地区の外食店における酒類動向については、首都圏に次ぐ規模となっている。京阪神ではビールが1位、ワインは3位。また、人気のつまみは1位刺身、2位焼き鳥でチーズも上位にあると述べた。

このほか、食品安全マネジメント協会副理事長・事務局長小谷雅紀氏が日本の食品安全規制について、神戸物産商品開発部門部門長藤田花奈氏が大阪エリアへの生鮮食品輸出について講演した。

日本食研ホールディングスマーケティング第二本部食未来研究室室長児玉一穂氏

ロゴマーク


バックナンバー