食の安全を守る微生物検査の注意すべきポイントとは【PR】

共働きの家庭や単身世帯が増加するなか、弁当や惣菜といった喫食前の十分な加熱を前提としない調理済み食品のニーズが増加しています。また食生活の多様化や健康意識への高まりから、様々な地域で製造された食料品がより多く流通するようになりました。そのような食品の安全と安心を守るため、日常的に原材料、製造環境、製品の検査が行われており、食品事業者は自社で製造、販売している製品の安全性を説明することが常に求められます。

食の安全を脅かすものには食中毒などを引き起こす微生物汚染があり、外見上から汚染状況が確認しづらいことが特徴です。それを把握するためには、汚染状況を可視化して数値化できる、微生物検査が用いられます。ただしその安全性の評価は、適切に行われた検査によって得られた、信頼できる正確な結果によりされる必要があります

先日開かれた『食の安全・安心を実現する微生物検査 〜専門家から学ぶ、寒天培地の扱いで注意すべきポイントと対処法〜』(講師:森哲也先生/一般財団法人東京顕微鏡院 食と環境の科学センター 微生物検査部)のウェビナーにおいて、正確な微生物検査を行うための検査工程や、起こりやすいミス事例と対策について学ぶことができましたので、その一部をご紹介させていただきます。

森哲也先生
講師:森哲也先生

培地温度例

1つ目は、調製した寒天培地の冷却の時間が足りず、培地温度が高い事例です。写真の左側は培地温度が50℃以下、右側が55℃で混釈平板を作成し、培養したときの結果です。培地温度が高い状態では、出現するコロニー数が大幅に減少しており、検査結果が正確でない恐れがあります。

この事例は、日々舞い込む業務を迅速に進めることを優先してしまい、培地温度への配慮が足りずに検査を進めてしまった、あるいは菌の発育に対する培地温度の影響を知らなかったことが考えられます。対応策と管理運営上のポイントは、培地温度の菌への影響についての周知、検査員への教育訓練があります。

また関連する事例として、調製した寒天培地を保温しておく恒温水槽の不適切な温度設定があります。他の用途で使用していた恒温水槽をそのまま流用することなどが原因です。食品衛生検査指針 微生物編には、50℃以下の寒天が固まらない程度のできるだけ低い温度(ISOでは44〜47℃)とあり、運用状況を考慮して恒温水槽の温度を決める必要があります。対策として実用温度計を用いた温度確認や、日常点検や定期点検の実施はもとより、恒温水槽に培地ビンを多く入れすぎない、培地ビンを入れる恒温水槽を決めておくことも重要です。

使用前に菌の発育が認められる

2つ目は、使用前の自家調製した平板培地に菌の発育が認められる事例です。この写真は使用する前の普通寒天平板培地の表面に雑菌の発育が見られたものです。雑菌が発育した平板培地を気が付かずに使用してしまうと、目的とする菌以外の菌が発育してしまい、その後の検査結果に影響する可能性があります。
このミスの背景として、培地調製時の不適切な操作、例えば培地の調製条件を遵守していない、無菌操作が不適切であった、検査室の環境管理が不十分であった、保管状態が適切でなかったことなどが考えられます。

対応策は、日常点検や定期点検などの適切な機器管理、定期的な検査室の環境検査、検査員の教育訓練と技能評価などがあります。点検に関しては見落としがちな部分もあるため、点検箇所や期間の見直しもお勧めいたします。

検査は安全を可視化、数値化できる唯一の手段です。適切な検査法を採用した上で、試験品の採取や輸送と保管、試薬や検査機器が目的の性能を発揮できるしっかりとした管理運営を行い、それらを用いた検査によって測定された、信頼される結果でなければなりません。そのためには検査員が適切な力量を持って検査業務に従事できるための、教育訓練や組織体制の構築も重要です。

一方で難しい課題として、検査員の人材確保、検査数の増加や検査時間の短縮依頼などがあります。検査員の負担を軽減させながら信頼できる検査結果を得るために、迅速簡便法を用いて培地調製の手間や検査時間を省略することも推奨され、日常の自主検査ではフィルム培地なども実用的です。

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フィルム培地として、3M™ ペトリフィルム™ 培地をご紹介します。3M™ ペトリフィルム™ 培地は培地調製が不要で操作手順が簡単なため、業務負荷を軽減しながら検査員による結果のばらつきを抑えた正確な結果を得ることができます。日本の食品衛生検査指針、各国の第三者認証機関に認められた信頼性の高い検査方法であることから、安全と安心を可視化する微生物検査の実現に役立つのではないでしょうか。こちらの製品にご興味がある方は、以下のリンクより製品の詳細をご覧ください。

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