課題解決のためのDX実践法 アメリカン・エキスプレスの企業間決済イノベーションの可能性 業務用卸DX戦略成功事例に学ぶ【PR】

課題解決のためのDX実践法 アメリカン・エキスプレスの企業間決済イノベーションの可能性

業務用卸DX戦略成功事例に学ぶ

アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc.(以下、アメックス)主催のパネルディスカッション「【業務用卸最前線】経営者が語る業務効率化のヒント~人手不足対策・働き方改革・DX推進~」が8月30日、都内ホテルで開催された。関東食糧・臼田真一朗社長、UCCコーヒープロフェッショナル・橋本樹一郞副社長、協和物産・村野隆一社長の業務用卸におけるDX推進フロントランナー企業の経営者3氏と企業間決済イノベーションを推進するアメックス・平野進本部長によるパネルディスカッションの一部を紹介する。

※講演内容を一部抜粋して掲載

熱心に聞きいる来場者

DXフロントランナー3社経営陣熱く語る

関東食糧代表取締役社長執行役員CEO 臼田真一朗氏
関東食糧
代表取締役社長執行役員CEO 臼田真一朗 氏
UCCコーヒープロフェッショナル取締役副社長 橋本樹一郞氏
UCCコーヒープロフェッショナル
取締役副社長 橋本樹一郞 氏
協和物産代表取締役社長 村野隆一氏
協和物産
代表取締役社長 村野隆一 氏
WEB受注率アップがDX推進のスタート

–人手不足、原料高騰、2024年物流問題など業務用卸業界は山積する課題を乗り切るためDX活用による業務効率化が必要不可欠です。しかし、課題が多すぎて何から取り組むべきかわからないという企業が多いのが実情だと思います。DX推進のためには、何から始めるべきでしょうか。

橋本 まず、仕入先、卸、得意先の業務の役割分担をしっかり決め、ルールとして明文化することが必要です。サービスとコストがかかる業務の線引きを行い、ルールを作らないとDX推進の出発点にも立てないと思います。

村野 皆さんイメージしやすく、効果もでやすいのは受注のWEB化推進です。WEB受注のシステムは進化しており、使いやすくなっていますし、人的リソースが多く割かれる受注の入力業務が大幅に軽減できます。

臼田 まずはインプットの始点から始めることが大切です。業務用卸のインプットの始点は受注です。WEB受注でデータ化できれば、後工程もすべてデジタル処理できるようになります。

–どのようにWEB受注率をアップさせていったのですか。

村野 20年前からWEB受注に取り組んできました。顧客が要望する受注システムに対応し、現在11社の受注システムに対応しています。20年前はFAX、電話の注文が多く、10人のスタッフが早朝から入力作業を行っていました。売上げは当時の3倍になりましたが、現在はスタッフ2、3人で短時間で対応できています。

–11社のシステムに対応されている経験を元に、これから導入する方にアドバイスをお願いします。

村野 当社は、顧客の要望に合わせることを基本に進めてきました。当社から提案する場合は、コスト、操作性、基幹システムとの連携、システム会社のフォロー体制などを考慮して提案しています。
7年前までは、WEB受注率60%で足踏みしていましたが、LINE対応のシステムにより80%を超えました。
また、自社の都合だけではなく、顧客の業務改善になるというメリットもしっかり伝えることが大切です。

臼田 2011年からWEB受注をスタートしました。2年後、受注金額が月間1億円に達したので、独自サイトのKANTO EXPRESS(KE)を立ち上げました。販促も冊子からWEB化したことでSNSを使った案内も容易になりました。
電話・FAXの注文に関しては締め切り時間を前倒ししていき、WEBならすべて受けられます、販促や特売情報もWEBの方が速いといったメリットを顧客に伝えていきました。働き方改革という言葉が注目されていた時だったので、受け入れられやすい土壌もあって、WEB受注率は80%を超えました。

–関東食糧ではDXにより、営業マンの担当軒数増、新人が短期間で熟練営業マン並みの業務をこなすなどの効果を発揮したと聞きますが。

臼田 営業マンの担当軒数は増えています。これまで1軒1軒案内していた情報が、SNSで瞬時に伝えられるようになったという、販促のWEB化の効果が大きいです。また、自社の営業支援システムをつくり、業種別・商品別に何が売れているのかなど、熟練営業マンだから知り得ていたデータを共有化することで、提案の平準化ができました。KE担当者は、営業マンより売れるサイトを作ることをミッションにしてきたので、それがうまく繋がりました。

橋本 6年ほど前は、当社のWEB受注率は30~40%でした。自社サイトを開設し、受注締め時間をずらす、特売情報を発信するなどECサイトに誘導していき、その結果、80%を超えるWEB受注率になりました。
しかし、当社は歴史的に喫茶店の顧客が多く、半世紀以上もご愛顧いただいている個人店の顧客にまでWEB発注を無理にお願いする気はありません。新規顧客の場合は、契約書でWEB発注、回収は現金ではなく銀行振り込み、もしくはカード決済などと最初から取り決めています。

–WEB受注率が進んだことによる効果は何でしょうか。

橋本 WEB受注は顧客がデータを作成していることと同義ですので、受注入力業務のスタッフをより顧客にとって価値の高い業務に配置転換できるなどの効果があります。

手間・ストレス多い現金回収はなくしたい

–事前に3者にアンケートした所、「電話受注、現金回収等の有料化への考え」という共通質疑がありました。お考えを教えてください。

村野 現金回収はかなり減ってきました。しかし、一定数はあります。現金回収の人的リソースや担当者のストレスは大きいため9月までで現金回収を廃止することを進めています。

臼田 有料化は考えてないですが、緊急時以外の受注は、すべてWEB経由のみとして廃止する方針です。24時間稼働の受注センターも8月20日で閉鎖し、FAX受注については外注化を行い、1軒当たりのコストの見える化を進めています。電話受注は自社で受けますが、WEBに誘導を行っていきます。また、現金回収もなくす方向で考えています。

橋本 将来的には有償化が必要だと思います。海外での体験ですが、オランダではレストランの支払いは現金を受け付けてくれませんでした。なぜなら入金手数料がクレジットカードの手数料よりも高いからだそうです。
当社では各営業所で現金がある場合は、週に2回、責任者が銀行に入金に行かなければならないというコンプライアンスルールがあります。そういうコスト、工数がかかるということを顧客に理解していただける土壌はできつつあると思います。

アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc.加盟店事業部門 事業戦略本部 本部長 平野進氏
アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc.
加盟店事業部門 事業戦略本部 本部長
平野進 氏
日本食糧新聞社 常務取締役「外食レストラン新聞」編集長 岡安秀一氏
日本食糧新聞社
常務取締役「外食レストラン新聞」編集長
岡安秀一 氏
加速するキャッシュレス決済、国も後押し

–経済産業省は、国内のキャッシュレス化推進の一環として、2025年までに、法人クレジットカードの取扱高を、21年対比で5割増しにするという目標を立てているそうですが、キャッシュレスのトレンドについて教えてください。

平野 国内のキャッシュレストレンドは右肩上がりで推移しており、22年は36%がキャッシュレス決済になっています。
その理由の一つには政府の後押しがあります。18年にキャッシュレスビジョンを掲げ、25年までに40%、将来的には80%のキャッシュレス化を打ち出しており、その中には企業間決済のキャッシュレス化推進も挙げられています。
法人カードの発行枚数は、22年3月時点で1145万枚と5年前比で24%増加しています。特にコロナ禍が始まった20年以降、増加ペースが加速しています。
法人カードとは「企業・法人」単位で発行されるクレジットカードのことです。アメックスでは、事業規模に応じて、中小企業・個人事業主向けの「ビジネス・カード」と中型・大規模企業向けの「コーポレート・カード」があり、これらをまとめて「法人カード」と呼びます。現在は、経費精算での利用が中心ですが、仕入れや販管費の支払いも現金からカード決済にシフトすることでキャッシュレス化の加速が期待されています。

卸、飲食店ともにメリット大きいカード決済

–業務用卸が加盟店となり、取引先の飲食店がアメックスの企業間決済サービスを導入した場合、加盟店や飲食店には、どんなメリットがあるのでしょうか。

平野 B2Bにおける「加盟店」とは、アメックスと契約し、アメックスのビジネス・カードのシステムを通じて商品やサービスを販売する許可を得た法人・個人事業主のことです。
加盟店となった業務用卸のメリットは、与信審査・管理の手間とコストの削減、売掛金回収のリスクと手間の軽減、キャッシュフローの安定化、既存顧客の満足度向上、新規顧客獲得など多岐に渡ります。
業務用卸の顧客である飲食店のメリットは、経理処理の簡素化・手間軽減、コストの一元管理(コストの見える化)、キャッシュフローの改善(支払期間の延長)、入金漏れ・遅れの回避、ポイント・プログラムなどがあり、特にポイント還元で福利厚生などに使えることが喜ばれています。※メンバーシップ・リワード(R)のポイント

–関東食糧では、すでにアメックスの企業間決済サービスを積極的に活用されていますが、導入の経緯や実感しているメリットを教えてください。

臼田 営業マンや配送員の現金の取り扱いをなくしたいという方針の中で、振込、引落、コンビニ決済、請求代行業者など、顧客との決済方法の一つとしてアメックスのカード決済を取り入れました。アメックスは、ブランド力とステイタスがあり、ポイント還元という顧客に喜んでいただけるメリットがあるため導入を進めました。
また、アメックスの営業の方々とも情報交換や顧客へのアプローチなども情報共有することで協業ができるところが大きなメリットです。アメックスのカード決済が使えるということで新規のお取引となった事例も増えています。

–橋本さん、カード決済に対する感想をお聞かせください。

橋本 当社のECサイトでは、すでにカード決済を導入しており、カード決済の利便性や顧客のメリットは理解しているつもりです。しかし、歴史的に自社与信で進んできた会社であり、手数料を考えると大きく踏み出せていないのが現状ですが、社会のトレンドを考えるとそうも言っていられないので、アメックスさんからの提案をいただきながら前進したいと思います。

–前述の導入メリットの他の業務用卸に提案していることを教えてください。

平野 アメックスは加盟店様と協業して、加盟店様の既存顧客にカード払いにするメリットを丁寧に説明するとともに、経費管理や経理業務の効率化を実現する支援なども行っています。
 手数料は、加盟店様からは「思ったよりも導入しやすい」という声をいただいています。また、手数料は単なるコストではなく、業務用卸の業務効率化促進などの企画、数百名規模のアメックスの営業からのフォローアップなどに有効活用し、手数料以上の価値の提供を目指しています。

–村野社長、感想をお聞かせください。

村野 元々カード決済には興味があり、導入も考えていました。しかし、手数料の壁があってなかなか踏み出せませんでした。実際に話を伺うと検討する価値は大きいと思います。現実に顧客からの要望もあります。その要望に応えるのは我々の使命でもあるので、前向きに検討したいと思います。

–最後に平野さん、補足説明があればお願いします。

平野 商習慣や社内プロセスの変更などで企業間決済イノベーションに足踏みしている企業もまだ多いです。しかし、様々な業界で企業間決済イノベーションは着実に広がっています。関東食糧さんをはじめ、食品業界のフロントランナー企業は既に導入されています。
決済は様々な業務のプロセスと関連していて、企業間決済イノベーションは、人手不足対策・働き方改革・DX推進など業務用卸の抱える課題解決に繋がるものです。

登壇者

  • 関東食糧 代表取締役社長執行役員CEO 臼田真一朗氏
  • 1975年生まれ。大学卒業後、味の素社勤務を経て、2000年に家業の関東食糧入社。情報システム、仕入れ、物流の改善に努める。13年社長就任。NCF日本業務用食材流通グループ代表幹事を務める。
  • UCCコーヒープロフェッショナル 取締役副社長 橋本樹一郞氏
  • 1976年生まれ。大学卒業後、外資系化粧品メーカー勤務などを経て、2016年にUCCホールディングス入社。業務用事業に従事し、ECサイトの立ち上げや顧客満足と生産性向上を目指した各種事業のデジタル化推進。23年3月現職。
  • 協和物産 代表取締役社長 村野隆一氏
  • 1973年生まれ。大学卒業後、ヤマサ醤油勤務を経て、2004年に家業の協和物産入社。仕入れ担当を経た後、財務・経理や営業改善に注力。12年に社長就任。首都圏業務用食品卸事業協同組合理事を務める。
  • アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc. 加盟店事業部門 事業戦略本部 本部長 平野進氏
  • 2016年アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc.(日本)入社。企業間決済におけるビジネスモデルと戦略策定および加盟店獲得とパートナーシップ構築を統括。
  • 〈モデレーター〉日本食糧新聞社 常務取締役「外食レストラン新聞」編集長 岡安秀一氏
  • 1992年に日本食糧新聞社入社、98年外食レストラン新聞編集長に就任。新聞・書籍の編集に務める他、食品メーカーの製品開発と販売促進にも携わる。


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