「異物混入を防ぐ監視システム」最前線 映像によって企業や工場の価値は上がっていく【PR】

食品工場にとって致命傷となりかねない「異物混入」。その防止策として、カメラを使った映像監視システムを導入するケースが増えている。とはいえ、導入にはさまざまな課題もある。映像監視システムを開発するパナソニック ネットソリューションズ株式会社の吉田太取締役副社長と、食品問題に詳しい垣田達哉氏が、その課題と映像監視システムの可能性を語る。

パナソニック ネットソリューションズ株式会社 取締役副社長 吉田太氏
消費者問題研究所代表 食品問題評論家 垣田達哉氏
 プロフィール  1953年岐阜市生まれ。77年慶應義塾大学商学部卒業。食品問題のプロフェッショナル。放射能汚染、中国食品、O157、鳥インフルエンザ問題などの食の安全や、食育、食品表示問題の第一人者として、テレビ、新聞、雑誌、講演などで活躍する。「ビートたけしのTVタックル」「世界一受けたい授業」「クローズアップ現代」など、テレビでもおなじみの食の安全の探求者。新刊『面白いほどよくわかる「食品表示」』(商業界)、『選ぶならこっち!』(WAVE出版)、『買ってはいけない4~7』(金曜日)など著書多数。

HACCP義務化を見据えて増えるカメラ導入 その設置における大きな課題とは?

垣田 異物混入が起きると、企業は大きなダメージを受けます。仮に商品回収が必要になれば、回収作業を行う際の人件費、減少した店舗売上げの補填、回収商品の輸送費、廃棄費が発生し、億単位の損失になることも珍しくありません。過去には、異物混入によって約2800万缶の缶詰が回収されたこともありました。

吉田 最近、異物混入を防止する映像監視システムの設備投資が増えています。食品の商品回収が起きた場合の損失に比べればコストが安く済み、また食の安全に対する消費者意識の高まりも影響しているでしょう。

垣田 6月から全ての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が義務化されることもあり、その動きはさらに加速すると思います。ただ、映像監視システムを設置する上で課題もあります。録画データの保存期間に限りがあることです。缶詰など、長期保存のきく商品は購入からかなりの時間がたってから開封されるケースがあり、異物混入が発覚した頃には録画データが無い可能性もあります。2800万缶の商品回収も、製造から時間がたって発覚したため、長期間に製造された商品を回収せざるを得ませんでした。

吉田 そうした課題があります。従来の記録装置は1カ月~数カ月のデータ保存が主流でした。また、保存が長期にわたると管理コストが増すため企業の重荷になります。データ破損の可能性もあるでしょう。

垣田 カメラによる防止策には他にも課題があります。撮影している映像に死角があり、見たい箇所が写っていないケースも考えられますよね。特に広い工場は、死角を全て埋めるのが難しい。

吉田 そうですね。全域をくまなく写すには、一つの工場でカメラが1000台ほど必要になることも珍しくありません。また、ネットワークを使ってデータを保存するカメラの場合、通信障害や回線不良はリスク。「肝心の映像が途切れている」というケースもあります。非常時にバックアップを取れるシステムが求められるでしょう。

データの長期保存と死角のないカメラ 費用対効果を上げるためのシステム

垣田 こうした課題を解決するために、何か方法はあるのでしょうか。

吉田 当社では「ArgosView」という映像監視システムを開発していますが、データ保存とカメラの両面で対策につなげています。まずデータ保存ですが、5年、10年の長期データ保存を容易にするよう、LTO(コンピューター用磁気テープ)を使っています。ビデオテープのような媒体にデータを書き込むため、それほど保管スペースを取らないのも特徴です。

垣田 データの長期保存が必要だからこそ、保存スペースを取らない点は重要ですね。一方、カメラの死角や通信障害への対策はどう考えていますか。

吉田 死角に対しては、360度の映像を撮影できる全方位カメラが有効です。カメラのレンズが魚眼レンズになっており、通常なら、ある区画の映像を撮影するのに四隅に1台ずつカメラを設置するところを、全方位カメラ1台でまかなえるイメージです。カメラの台数削減にもなり、通常のカメラなら2000台必要だった工場が全方位カメラ700台で済むといった効果が期待できます。

垣田 そのカメラは、見たいエリアにズームすることも可能なのでしょうか。

吉田 カメラレンズは固定ですが、後から細かく見たいポイントを拡大できます。映像の解像度が高いので、大きな虫などは確認できるでしょう。また、通信障害でカメラの映像が保存されないリスクに対しては、内臓SDカード録画機能付きの監視カメラにSDカードを入れ、通信が切れると自動的にSDカードからバックアップ録画を行う形をとっています。

垣田 こうしたシステムで気になるのは費用対効果ですよね。システムの導入費用やランニングコストを抑えることも重要になってくるのではないでしょうか。

吉田 その点は非常に重要だと思っています。ArgosViewに関して言えば、工場の既設カメラとも連携できる仕組みになっています。つまり、先ほど話した全方位カメラを必ず入れる必要はありません。ネットワーク通信を行う主要メーカーのカメラなら、どのメーカーの製品とも連携できます。

垣田 既設カメラを継続使用できるので、導入費用を抑えられるというわけですね。設備を一新するのではなく、今の設備に合わせてカスタマイズできると。

吉田 はい。記録装置としてLTOを選んだのもコスト削減が大きな理由です。テープが安価であり、長期保存になるほど、サーバーでの管理に比べてコスト面のメリットが出てきます。既に多くの企業に導入いただいていますが、まさに缶詰やカップ麺など、保存期間の長い食品を作る工場での導入が増えています。

消費者の安全意識が高まる今、映像監視システムはプラスの投資になる

吉田 カメラだけで異物混入を防ぐのではなく、センサーなどと組み合わせると、より工場の管理体制は強化できると考えています。例えば、センサーが製造ライン内で異物を感知したら、その時点からカメラ映像をさかのぼり、異物がどこから来たかを追跡する。そうした使い方も想定できます。

垣田 なるほど。こうしたシステムを企業が導入するときに感じるのは、その活動が消費者にあまり届いていない点です。どんな設備を持ち、どう管理しているのか、企業は食の安全への努力をもっとPRすべきではないでしょうか。

吉田 同感です。そうした取り組みを始めている企業もあり、工場見学で管理体制や監視システムを公開しているところも見られます。こうした活動は、異物混入という“マイナス”を防ぐだけでなく、消費者の安心を形成する“プラス”の取り組みをすることになるのです。食の安全というと、「産地」や「成分」が対象になることが多かったのですが、コロナ禍で安全意識がより一層高まる中、今後は「工程」も注目されると思います。

垣田 工場のカメラ映像を活用して業務改善につなげられる可能性もありますよね。映像から工場の従業員の動きを分析することで、生産性を高める配置や管理体制が生まれるかもしれません。

吉田 私たちも、監視だけでなく業務改善につなげていただきたいと思っています。映像から工場の従業員の動線を見ることで工場レイアウト改善のヒントが見つかるでしょう。また、立ち入り禁止区域に工場の従業員が入っていないかも詳細にチェックできるのです。

垣田 映像監視システムは、工場の生産性を上げることにも貢献できるということですね。

吉田 はい。守りのシステムとして機能するだけでなく、映像を起点に工場の価値を高めていけるソリューションではないでしょうか。


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