〈Close Up!〉迅速検査キット「BacNavi」活用 品質劣化クレームがほぼゼロに ザ・ネクストワン 本社工場 【PR】
カット野菜を製造するザ・ネクストワンの本社工場では、以前から一部商品で微生物に起因する品質劣化の発生に悩まされていた。そこで昨年から簡便・迅速に総菌数を半定量評価できる旭化成㈱の迅速細菌検査キット「BacNavi™︎(バクナビ)」を導入。殺菌後の野菜の菌数測定と加工環境の拭き取り検査で同キットを用いたところ、品質劣化によるクレームはほぼゼロになったという。
BacNaviの活用でどのように現場改善を実現したか、同社の取り組みを取材した。

殺菌を徹底しても発生する品質劣化が悩みの種
静岡県産および国内産の野菜を利用したカット野菜を静岡県焼津市の本社工場で製造するザ・ネクストワンは、主に静岡県内の外食チェーンや食品メーカーなどに製品を出荷している。また、島田市の初倉工場では加熱品や味付きの加工品も製造しており、顧客の要望に応じて多様な加工方法に対応できる点が同社の強みの一つである。

洗浄・殺菌を経て計量・包装
原料野菜は地元農家やJA、近在の市場、野菜商社などから仕入れているが、2012年から自社農場の運営も開始し、キャベツや白菜、ニンジンなどを生産している。23年には有機JAS認証を取得し、有機野菜の加工も開始。循環型農業の実現を目指し、18年には養鶏事業にも着手した。
本社工場では、野菜を下処理後カット・脱水し、殺菌液(主に30~50ppmの亜塩素酸水。野菜の種類に応じて次亜塩素酸水やオゾン水も併用)に浸漬する。また、設備や器具からの微生物の二次汚染を予防するため、次亜塩素酸水での殺菌を徹底している。
一方で年に数回、一部の商品で品質劣化(変色や変質:野菜が軟らかくなる、ドリップが出る、など)が発生していた。原料の厳選や現場の衛生管理の徹底に努めてもなかなかクレームが減らず悩みの種となっており、改善手段を模索していたところ、取引先の外食チェーンから旭化成の迅速細菌検査キット「BacNavi」を紹介されたという。

簡便性・迅速性に優れ、総菌数を判定できる検査キット
BacNaviは、総菌数(生菌数と死菌数の合計)を測定できる検査キット。操作手順は簡単で、食材や食品製造環境などの検体から試料液を作製し、ストリップを浸して30分待つだけ。菌が存在する場合はストリップ上に紫色のラインが出現する(総菌数が約1万cfu/㎖未満はラインが出現しないので陰性と判定)。菌数が多いほどラインの色が濃くなるため、段階的に半定量的な評価(レベル1~9)も可能である。見本のカラーチャートと比較すれば誰でも簡単・確実に結果を判定できる。芽胞菌や嫌気性菌、損傷菌のような検査時の取り扱いや判定が難しい菌、低温細菌のような公定法ではリスクの過小評価が危惧される菌なども含め、包括的な微生物リスクを評価できるツールとして、今後活用の幅が広がると期待される。

30分後にストリップ上に現れる紫線の本数と色の濃さで判定

また、細菌が保有するリボソーム(細胞内でタンパク質を合成する場)抗原に反応する抗体をイムノクロマト法で検出するという、市販の微生物検査キットではほかに類を見ない原理を採用。リボソームの産生に関与するアミノ酸配列のうち「細菌に共通の部分」に対する抗体にイムノクロマト法を適用することで、細菌の有無や存在量を検出する。
簡便性・迅速性に優れるBacNaviは、食材検査、食品製造環境(まな板・包丁などの調理器具、製造加工装置の表面など)の拭き取り検査で導入する現場が増えているという。
導入によりクレームが激減
ザ・ネクストワンでは旭化成のスタッフと二人三脚でBacNaviの導入を進めている。まずは野菜の菌数測定と加工環境の拭き取り検査を実施し、問題点や検査の傾向を共有した。特に「ピーマンとパプリカのミックス」で変質が生じやすいことを把握していたため、使用するピーマン、赤・黄パプリカ、タマネギの殺菌後の菌数を測定し、毎日の検査結果を追跡した(季節変動も含めた経時的変化を把握すべく、現在も菌数測定を継続中)。その結果、パプリカとタマネギの菌数は低いが、ピーマンの菌数が高いことを突き止めた。つまり「ピーマンの殺菌が不十分で、その菌がミックス後に商品全体に広がっている」のが原因と推測された。
そこで、まずはピーマンの殺菌工程後にBacNaviによる検査を実施した。「検査結果」「数日後の商品の状態」「培養法による微生物数」などのデータを比較する中で、「総菌数でレベル2(104~105程度cfu/㎖)以上のピーマンは、翌日以降には菌数や官能評価で変質劣化が懸念される」という状況が確認されたことから、「殺菌後にレベル0~1であれば合格、レベル2以上は再殺菌」というルールを設けた。それ以降、クレームは年1~2回に激減し、状況は見事に改善された。現時点ではこのルールを適用しているが、定期的に野菜の菌数測定などを実施し、より効果的・効率的な検査体制を模索している。

羽田社長は「BacNaviは30分程度で結果が出るので、出荷前に合否が判定できる。弊社は微生物の自主検査は実施していないが、BacNaviを使えば微生物検査の知識や経験がない従業員でも客観的なエビデンスを得ることができる。自主検査を取り入れたことで、お客さまに品質を説明する際の説得力は増したと思う」と語る。
また、改善策が「再殺菌の追加だけ」という点も大きいという。「改善のために新たな作業を追加すると現場の負担になる。工程の変更で作業効率や歩留まりを低下させるわけにもいかない。どのタイミングで何を検査すれば最も効果的・効率的か、旭化成のスタッフから助言を頂きながら見直すことができた」(同)
BacNaviは食品製造環境の拭き取り検査にも有用だ。同社では現場のさまざまな箇所を検査する中で、「包装機の出口付近」に交差汚染の潜在的リスクがあると懸念された。包装機の出口は食品接触表面だが、包装資材がかかっており、かつ電気系統の関係で水をかけることができない。そのため、現在は重点的な衛生管理が必要な箇所の一つと認識し、拭き上げ後、週1回BacNaviで清浄度を確認するルールを設けている。
簡便に操作でき、「レベル2を超えたら再殺菌。合格したら出荷」とルールも分かりやすいので、現場は特に抵抗感なく受け入れ、基準が明確に可視化できるので、衛生管理への意識の向上にもつながっているという。羽田社長は「弊社は顧客の要望に応じて少量多品目に対応しており、新商品の取り扱いを始める際は特に衛生管理・安全性確保が重要になる。BacNaviは今後、多くの場面で有用性を発揮すると思う」と今後に向けた期待感を語った。
●工場概要
株式会社ザ・ネクストワン 本社工場
所在地:静岡県焼津市相川1241-1
操業:2002年5月
従業員数:54人(初倉工場も含む)
敷地面積:2600平方m(初倉工場も含む)
建物面積:800平方m(初倉工場も含む)
出荷製品:カット野菜・加熱済み調理品
https://www.the-nextone.com/

▼旭化成株式会社
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