〈GI産品でつなぐ、地域と未来〉伝統と革新が交わる制度の進化 登録で地域の宝の魅力や強みを見える化【PR】
湖池屋、高品質で希少性高い「今金男しゃく」で特別なポテトチップスを
国産のバレイショと真摯(しんし)に向き合い、スナック菓子の価値向上に取り組む湖池屋は、国産ジャガイモ100%を宣言。この宣言の下、国内のジャガイモ産地の生産者と対話を行い、生産者の賛同・応援を得て北海道や九州、関東で加工用ジャガイモの供給量を増やす取り組みを進めている。「今金男しゃく」は、北海道南西部の人口約5000人の今金町で栽培されている。今金町では約50年前から町内で生産するジャガイモの品種を「男爵いも」に統一し、今金町農業協同組合(JA今金町)と生産農家が一体となり、今金ブランドの確立に取り組み、「今金男しゃく」は2019年に「地理的表示(GI)保護制度」に登録された。湖池屋と「今金男しゃく」の出合いは15年。同社がオンラインショップをオープンし、記念となる目玉商品を開発する中、小池孝現会長の発案で高品質で希少性が高い「今金男しゃく」を使ったポテトチップス「今金男しゃくで作ったポテトチップス―のり塩」が誕生。こうして湖池屋と「今金男しゃく」との物語が始まった。
オンラインショップを運営するEC事業部次長の笠原剛氏は、湖池屋と「今金男しゃく」の出合いについて、「オンラインショップの開設を進めるに当たり、ポテトチップスの老舗である湖池屋が本気で取り組んだ、オンラインショップだからこそ提供できる商品開発に挑戦していた。その中で、小池会長から、ポテトチップスの老舗の湖池屋が新たな特別なことを始めるのであれば、原料にこだわった『今金男しゃく』という特別なジャガイモを使った特別なポテトチップスを開発しようという話があった」と振り返る。小池会長の英断は、現在のポテトチップス市場でトレンドとなっている、ジャガイモの品種にこだわった商品開発の先駆けとなった。
常務執行役員生産本部本部長・R&D本部本部長の柴田大祐氏は、「今金男しゃく」の特徴の一つに、ジャガイモに含まれているでんぷんの量を比重から算出する推計式で求めたライマン価にこだわり、基準を満たしたものだけを出荷していることを挙げる。その上で、ライマン価が高いジャガイモは、貯蔵段階で糖化が進み、ポテトチップスの製造工程である、フライ時に、焦げが発生しやすくなるなどの課題が発生することを指摘し、こうした課題を「収穫から工場までの物流や貯蔵条件などのオペレーションと、これまで長年培ってきた知見」(柴田氏)により解決したと説明。貯蔵条件・時間の管理が難しいことから、JA今金町から出荷され同社工場に納品されるタイミングから逆算して、毎年商品の発売日を決めている。

EC事業部次長・笠原剛氏
こうして、15年に発売した「今金男しゃく」を使用したポテトチップスは、毎年右肩上がりで売上げが上昇している。好調の要因を同社は、素材としての「今金男しゃく」の価値と同社の製造技術に加え、オンラインショップの会員に対し「今金男しゃく」の価値と同社のこだわりの製法などの物語を発信することで。一年に一度しか食べられない「伝説のポテトチップス」としての認知が広まったことを挙げる。また、原料の高品質さを担保するエビデンスとして、GIの果たす役割が大きかったと分析する。
湖池屋と「今金男しゃく」の生産者およびJA今金町は良好な関係を構築している。柴田氏は年間1~2回、定期的にJA今金町を訪問し、コミュニケーションを深めている。その関係性は、生産者に限らず、今金町の町民とも良好な関係性を構築できており、「今金男しゃくポテトチップス」が日本で一番売れるのは今金町だと思うとのことだ。
柴田氏は生産者と信頼関係が構築できた理由の一つに「丹精込めて栽培した『今金男しゃく』が、最終消費者にどのように届いているかということに対して、生産者さまの関心が高いことに加えて、ポテトチップスという特性上、比較的にメディアに取り上げられるケースも多く、結果的に消費者が喜ぶ姿が可視化されているため」と分析した上で、こうしたことが「栽培のモチベーションにつながっているとの話を聞く」ことはメーカー冥利につきると語る。こうした両者の絆を表すように「今金男しゃく」の取り扱いは当初10~20tから始まり、現在では数十倍まで拡大している。

オンラインショップで展開した「今金男しゃく」を使用したポテトチップスの取り組みだが、湖池屋のナショナルブランドのフラッグシップである「湖池屋プライドポテト」で展開を17年から開始した。この新たな取り組みについて同社は、オンラインショップではポテトチップスが「今金男しゃく」という品種を使用することでどこまでおいしくなるのかに挑戦した。「湖池屋プライドポテト」ブランドでは、「今金男しゃく」を使用することで生まれる価値を、湖池屋独自の製法により最大限に引き出して提供する特別な商品と位置付けていると語る。
食品メーカーとしてGIに期待することについて、柴田氏は、食品業界で「地域性」という価値の重要性が近年高まっていると指摘する。一方、通年で安定した品質の商品を大量に供給しなければならない大手メーカーにとって「地域性」は対応が難しい。食品メーカーがこの「地域性」という価値を消費者の方に納得してもらうための武器としてGIは高いポテンシャルを秘めていると高く評価した上で、メーカーとして大きな期待を持っていると語る。
注意!
地理的表示(GI)の先使用期間が終了します 商品名などの表示の変更が必要となる可能性があります
登録されたGIについて、生産者団体以外が生産した産品へのGI名称の使用は原則認められません。
例外として、GI登録される前から、そのGI名称を使用していた場合、他者のGI登録により突然、名称を使用できなくなり不利益を被ることがないよう、一定の条件を満たすと、名称の使用が認められる、7年間の先使用期間があります。
これは、その名称が使用された産品を取り扱う外食業者、卸売業者、小売業者についても同様です。
先使用期間は、2019年のGI法改正において、外国との協定を踏まえて規定されたものであり、改正法施行日(19年2月1日)前に登録された71産品の名称については、先使用が認められる期間が、一律、26年1月末までとなります。
現在先使用としてGI名称を使用している方は、26年2月1日から順次、表示の変更や注意書きの表示等の対応を検討いただく必要があります。先使用期間経過後に、そのまま表示を使用しているとGI法違反となるおそれがありますのでご留意ください。

農林水産省では、「地理的表示(GI)保護制度における先使用に関する手引き」を公表しています。登録生産者団体の構成員以外でGI登録の日より前からGI名称やこれに似た名称を農林水産物、加工品や飲食店のメニュー等に使用している方は、手引きを参照し期間満了後にどのような対応が必要かご確認ください。(農林水産省輸出・国際局知的財産課)

農林水産省 輸出・国際局知的財産課