「お茶」と「茶器」の素敵な関係――。「お茶」をおいしく楽しむことが、「茶器」のサステナブル化につながるとは?【PR】
日本国内には、「やきもの」の産地が複数存在している。2017年に日本遺産に認定された「日本六古窯(にほんろっこよう)」は、平安末期から現在まで生産が続く代表的な6つの産地(越前、瀬戸、常滑(とこなめ)、信楽(しがらき)、丹波、備前)の総称となる。また、「美濃(みの)焼」や「四日市萬古(ばんこ)焼」「有田焼」など、今も、各地の作り手は伝統を継承しながら、新たな道を模索している。
今の生活様式に即しつつ、「茶器」による“お茶の楽しみ方“を提案するのが、伊藤園だ。同社は昨秋から今年にかけ「茶器が選べる おいしいお茶時間キャンペーン」を2回に渡り開催し、各産地の紹介や作り手の想い、そして作品の良さを伝えることで、家庭でお茶を楽しんでもらえるように注力している。その契機となったのが、茶葉からPETボトルでお茶を飲むのが当たり前になるなど、変化したお茶の飲み方同様、消費者が求める「茶器」の在り方も多様化しているのではないか、という想いからだという。
作り手が抱える想いや伝統、課題そして未来への取り組みなど、「やきもの」産地の“いま”を深堀りすることで、各産地の地域活性化にもつながり、同産業のサステナブル化にも貢献できるのではないか、との想いを探る。
産地としての想い(1)「おいしくお茶を楽しむ」ために欠かせない「茶器」―。“いま”の時代に合わせた新しい伝統を作り出すことでサステナブルな存在へ
今回、「やきもの」産地や作り手の“いま”を伺うべく、日本陶磁器工業協同組合連合会(日陶連)の藤井健司副理事長(萬古陶磁器工業協同組合理事長・有限会社藤総製陶所代表取締役)に話を聞いた。
目指したのは「お茶がおいしく飲める急須」
藤井副理事長・私が急須を作り始めてから、目指したものは「お茶がおいしく飲める急須」だった。伊藤園が成し遂げた「お~いお茶」のPETボトル化によるイノベーション(技術革新)は、お茶を手軽にどこでも楽しめるようになるとともに、パーソナル化をもたらした。従来の家庭で「急須」を使用して飲むという「お茶」の飲み方そのものを変えた。その変化に、「茶器」がどう対応していくかが求められている。「茶器」を生産する我々が「急須はこういうもの」という想いを押し付けるのではなく、消費者は「どのような飲み方を必要としているのか」を探り、今の時代にあった飲み方を提案することが何より大切だと思っている。
急須でお茶をいれることが新鮮に ふたがついていない「急須」=「ひとしずく」による挑戦
一例として、PETボトルのお茶が当たり前の時代には、急須でお茶をいれることが新鮮に感じるという声もある。急須でお茶をいれた際に“茶葉が開いていく様子や水色(すいしょく)の変化”などが新鮮であることに着眼して、今回参加した伊藤園のキャンペーンで提供した「四日市萬古(ばんこ)焼「ひとしずく」セット」はふたがついていない「急須」となっている。この「ひとしずく」を使用し、お茶をいれると、好みのお茶の濃さや葉の開き具合、色などを目で見て楽しむことができる。急須のふたを無くすことで、自分好みの「お茶」の味わいを発見できるように工夫を施している。このように新たな楽しみ方の提案が「茶器」の新たな可能性につながると思っている。「茶器により、さらにおいしくお茶を飲める」という工夫やユーザーへのこだわりに応えていくことが大切になると考えている。
長く継承されてきた伝統は大事だが「伝統はただ、続けるだけではなく、新しく作り出すことも伝統」だと思っている。茶器も含め、陶磁器産業には色々な道具がある。それらをただ道具として作るのではなく、「消費者(使用する)側の利便性に加え、おいしさや楽しさなどをさらに追求していく産業になれれば、いつまでも続く(サステナブルな)産業になれる」と思っている。その意味で、伊藤園のキャンペーンに参加した今回の取り組みは、その一助となり、「お茶と茶器の素敵な関係」をさらに深めながら、お互いに刺激しあって、多くの人に新たな楽しみを提供できるように今後も取り組んでいきたい。
産地としての想い(2)行政としての“いま”の視点とは。「六古窯日本遺産活用協議会」。お茶と茶器の関係性に着目。各産地の伝承を継承しながら、「新しい取り組み」目指す
今回、伊藤園の企画に賛同したのが、六古窯日本遺産活用協議会による「日本六古窯」の「茶器」達だ。その一つとなる「備前焼」の岡山県備前市役所の産業部産業観光課観光推進係 片岡英史課長代理に話を聞いた。
片岡課長代理・2017年の「日本六古窯」の日本遺産認定後、六産地が協力して、情報発信を行ってきた。各産地による持ち回りでの巡回展の開催や年一回の「日本遺産サミット」への出展など、日本国内や海外へ向け、PRしてきた。
さらに「日本六古窯」の器の認知を高めるべく「お茶と茶器」の関係性に着目し、伊藤園と各産地での「陶器市」などで「お茶のいれ方セミナー」を開催している。参加者からは「器を使用したお茶のいれ方は簡単にできる事が分かった。今後は家でもお茶を茶器で楽しんでみたい」や「次回の開催を楽しみにしている」という声をよく聴くようになった。今後は、各産地の歴史や伝統に敬意を払いながら、「日本六古窯」による新しい製品の開発や海外への拡大など、各産地の作家や組合がつながっていけるような取り組みを協議会として進めていきたい。「六古窯の器」が全国の人に訴求できることは、ありがたく思っており、行政と民間の垣根を越えて今後も連携していきたい。
伊藤園の想い・地域密着による地域振興貢献へ 「茶器」と「お茶」の素敵な関係の橋渡し役に
伊藤園は、2020年10月5日~2021年2月15日まで「茶器が選べる おいしいお茶時間」キャンペーンを開催している。第1弾では「六古窯(ろっこよう)の茶器」が、第2弾では「伝統とモダンな日本の茶器」が抽選で各総計600名様に当たり、また、同社が開発した「理想の急須」などが絶対もらえる企画となる。各産地へのアプローチや今回のキャンペーンを主導した株式会社伊藤園マーケティング本部リーフブランドグループの渕上宜子氏に、その想いを聴いた。
渕上氏・今回の取り組みは、「お茶を楽しむ」がテーマ。「茶器を使ってお茶をいれる楽しさや、そこから生まれるコミュニケーションも楽しんでもらいたい」という想いから始まった。当社では2018年に、一般的な「急須」の不満点を解消した誰でも簡単にお茶をいれられるPCT樹脂(トライタン)を使用した透明な「理想の急須」を開発するなど、急須がもっと身近になれるような挑戦をすると同時に、「茶器」の頂点となる「陶磁器」の世界へのアプローチを模索していた。ある時「日本六古窯」が日本遺産であることを知り、「六古窯日本遺産活用協議会」や各産地との絆を深めていくことができた。そのブレイクスルーとなったのが当社のティーテイスターによる「お茶のいれ方セミナー」だ。最初の試みとなったのは福井県越前町が都内で産地PRを行うイベント時に、越前焼の茶器を使用したセミナーの開催だ。同セミナーを皮切りに、日本遺産サミットや各地の陶器まつりで「お茶のいれ方セミナー」を行った。急須でいれるお茶の楽しさやおいしさ、また茶器の使い勝手の良さを知っていただける機会を提供いただき感謝している。
一方で、「日本六古窯」以外の産地(笠間焼や波佐見焼など)へのアプローチを行う中、藤井健司萬古陶磁器工業協同組合理事長との出会いがあった。藤井理事長は日本陶磁器工業協同組合連合会の副理事長でもあることから、ご縁が拡がり、「茶器」や「お茶」への想いが絆を産み出すことになったと感じている。当社のティーテイスターが選んだ茶器が今回のキャンペーンの景品になったが、選ばれた作陶家からは、「伊藤園により、全国各地で宣伝してもらえることが本当に嬉しい」という声を聴くたびに、産地や作陶家の想いに応えていきたいという想いがますます強くなってくる。各産地を知れば知るほど、産地ごとの魅力を感じており、各産地の知名度を高めるべく、伊藤園はもっと貢献できると信じている。笠間市(茨城県)では、公式SNSでキャンペーンの告知を行っているなど、当社と各産地の想いが共鳴していることを実感している。
今回の「茶器」を通じたキャンペーンは2020年が元年であり、今後も各産地の作陶家や組合、行政、地域住民の方々との想いをつなげ、各産地の地域振興やサステナブルにつなげていきたい。それには、全国196か所にある事業所ネットワークが大きなツールとなると思っており、地域に密着した人に愛される「伊藤園」になっていきたい。
中世から続く「お茶」と「茶器」の素敵な関係は、各時代の変化やニーズに対応しながら、これからも、お互いを「切ってもきれないサステナブルな存在」へと高めあっていく。
株式会社伊藤園
https://www.itoen.co.jp/