食品工場のスマートファクトリー化と省力化・自動化 2021 取り組み事例:群馬ミート(株)【PR】
テーブルミート用・加工用の精肉と調理冷凍食品の加工・販売を行う群馬ミートでは、2020年11月に現場改善プラットフォームの「カミナシ」(開発・販売:(株)カミナシ)を導入。HACCPの取り組みなどに伴う書類管理で業務負担が増大していた同社だが、この運用により大きな改善効果が得られた。
HACCPの取り組みで増大した業務負担を「カミナシ」の運用で大きく軽減
品質のブレがない商品作りを追求
1952年に創業した群馬ミート。同社では群馬県内のスーパーマーケットや精肉店には規格肉を、食品加工メーカーには原料肉を、またホテルやレストラン、病院、学校、社員食堂などにはスライス肉やポーションカットミート、冷凍調味生肉製品ほか、オーダーに応じた商品を出荷している。
業務用が中心だが、近年は「上州牛」や「ぐんま麦豚」「えばらハーブ豚未来」「クイーンポーク」といった地元が誇る安全・安心を追求したブランド肉の通販も行っている。
品質管理部次長の飯嶋愛氏は自社の強みについて、「日ごろから製造現場の問題点をピックアップし、厳しい目で管理基準を設け、スタッフの入れ替わりがあっても決して品質のブレることのない商品作りを追求しています」と話す。
「負」の仕事に悩まされる
HACCPや顧客の食品安全マネジメントシステムへの対応などにも早くから取り組んでいた同社だが、食品衛生法改正に伴い完全施行となるHACCP制度化(2021年6月)を目前に控え、生産や品質の管理業務は多忙・複雑化を極めるようになっていた。現場では特に次の課題に悩まされた。
①記録・保管用商品ラベルの発行に伴う業務量とコストの増大
②チェックシートの増大・複雑化と、それらに伴う記入ミスや記入漏れ
消費期限(または賞味期限)などを記載した商品ラベルは商品貼付用以外に記録・保管用に別途2枚を出力し、所定の用紙に貼付する必要がある。しかも、生産の開始時と終了時にこの作業を行う。
「製造部はラベルを品質管理部に依頼し受け取って書類に貼る作業で、どうしても多くの時間を割かれます。1日約80枚のペースで365日出力していれば、ラベルシールのコストも見逃せないものになります」(飯嶋次長、以下同)
チェックシートを含めた管理書類は、HACCP制度化や顧客のISO22000、FSSC22000、SQFなどに対応するため、マニュアルやルールを新たに設けるたびに増え、多い日で1日約130枚にも及んだ。併せてA4のシート1枚に収めるチェック項目も増え、複雑になっていった。
「チェック項目やチェックシートの種類は、この数年間で倍以上の数にはなっていたと思います。チェックシートは現場から手書きで上がり、製造部の管理者と品質管理部が生産終了後にそれぞれ1時間ほどかけて確認し、ファイリングします。菌数など一部の情報はExcelに入力します。納品先の監査が年々増えており、新たな指摘事項があれば都度チェック項目も増え、その結果シートが複雑になると、どうしても記入ミスや漏れが発生します。不備を指摘される側も負担になりますし、製造部の管理者や品質管理部も生産終了後の疲れ切った状態で書類を確かめるので、そこで不備や異常を見逃す可能性もあります。まさに『負』の仕事ばかり増える状況でした」
こうした状況を改善するため、飯嶋次長はウェブサイトの検索などで解決に結び付けられそうなシステムを探した。そんな中で見つけたのがカミナシだったという。
「コア業務」への集中を実現させるカミナシ
カミナシは、作業チェックや業務フローを書き込む帳票などの記録を全てデータ化しオンライン上で管理することで、ペーパーレス化や業務の効率化などが図れる現場改善プラットフォーム。各現場の記録はリアルタイムで可視化され、また一元管理化できるため、管理者は製造終了後に紙の帳票をチェックする作業から解放される。また入力項目の自動チェック機能があるため、管理者が後で付け合わせを行う必要がない。ネットワーク環境が整った管理用PCとApple社のタブレットPCだけ用意すれば、インターネットに接続後、わずか1分で搭載機能を使える。
現場スタッフはマニュアルと一体化したカミナシのアプリを通じて正しい手順やルールを教えてもらいながら、「実行すべきこと」を完了するごとにチェックや記録の入力を行っていく。入力データはマスターに登録され、フロー全体での横串の共有情報となり、その後の「確認」「分析・報告」「カイゼン」の各プロセスで自動的に反映される。現場業務の無駄が削減されることで、現場では利益を生むための直接的な「コア業務」に集中できる。
変化や改善に柔軟に対応
「カミナシの採用の決定打となったのは、食品メーカーでの導入が中心で、しかもコンビニエンスストアのサプライヤーのような、商品の入れ替わりが激しく管理も非常に厳しい会社での運用実績が多かったことです。実際に使ってみると、変化や改善に柔軟に対応できる帳票管理システムだと思いました」
カスタマイズを前提とした帳票管理システムでは、商品や製造環境に合わせてがっちりつくり込むが、その後はわずかな修正や変更でもエンジニアに依頼しなければならず、時間も費用もかかる。一方、カミナシは専門知識が求められるソースコードの書き込みが不要で、あらかじめ用意された多くの機能(ソフトウエア)を組み合わせることでユーザー自身がシステムを改善できる「ノーコード技術」を採用している。従って自由度が高く、フットワークの軽い運用が可能になる。
負担軽減と高いレベルのチェック機能を両立
群馬ミートでは20年11月からカミナシによるテンプレートの作成と改善を進め、21年1月に本運用を開始した。
「チェック項目の順番は、実際の作業手順に合わせられるよう、現場に確認して修正しました。記入よりもボタンによる選択方式の方がよい、文字よりも写真による報告の方がよいなどの現場からの要望もテンプレートに反映させました。数値情報は自動でExcelに落とせるようにしました」
現在、カミナシは品質管理部と総務部の各2台、製造現場6台の計10台のタブレットPCで運用している。
商品ラベルは、保管用を出力する代わりに、タブレットPCで写真を撮りカミナシ内のテンプレートの所定欄に直接貼り付けるようにした。
「写真に撮って保管するという発想は以前にもありましたが、保存フォルダからの画像の取り込みやリサイズ、加工などが煩わしく、現実的ではなかったのです。カミナシではアプリで写真撮影が行えるので、ほぼ一手間で貼り付けまで済み、さらに管理者や品質管理部によるチェックもアプリ内で完結できます。これらにより、商品ラベルの発行などに費やす1日約20分の作業時間を削減し、年間2万5000枚以上ものラベルシールの無駄な使用を削減する効果が得られました」
チェックシートについては、記入がカミナシに置き換わったことで年間1万枚以上の用紙が削減できたほか、品質管理部での仕分けやファイリング、Excelへのデータ入力などの作業が省略されたことで、月で約20時間もの業務削減効果が得られた。
さらに記入ミスや記入漏れは、ほぼゼロに近いレベルまで減っている。
「これは必ず回答を入れないと次に進めない仕組みや、異常値があるとアラートを出してくれる機能などがあるからですね。どこに抜けやミスがあるか、現場スタッフ自身で気付ける仕組みが有効に働いています。また、異常があった際には報告した管理者の名前を記入し、情報が確実に共有できるようにしたことで、報告漏れが防げるようにもなっています」
IT技術により、スタッフの負担軽減と高いレベルのチェック機能が両立しているというわけだ。
根拠に基づいた質の高い改善へ
モバイル端末に慣れた若いスタッフがベテランスタッフに使い方を教える場面も見られ、新たなコミュニケーションの在り方も発見できた。飯嶋次長は、今後はカミナシを通じて蓄積したデータを活用することで、さまざまなリスク対策に向けて展開していきたいと語る。
「ただひたすら集めていた記録が、これからは生かせるデータになります。例えば、照明器具の照度や温度計・計量器の精度、機械の劣化の状態などをデータ分析できるようにして予防保全や予知保全などに結び付けたいと考えています。また、細菌数を分析し、仕入れ先へ分かりやすく情報提供できるようになれば、改善依頼もしやすくなります。目指すのは、『根拠に基づいた質の高い改善』です」
群馬ミート株式会社・会社概要
- 本社・工場所在地:群馬県前橋市東片貝町415-2
- 創業:1952年
- 会社設立:1965年
- 本社・工場従業員数:約60人
- 事業内容:食肉卸・食肉加工・食肉販売(牛肉・豚肉)
- 取扱アイテム数:月産で約40アイテム
- お気軽にお問い合わせください
- E-mail:info@kaminashi.com