大・人材不足を乗り越える DXで創造的な時間を捻出 「人財」が成長できる工場に【PR】

カミナシは10月24日、ポッカサッポロフード&ビバレッジを迎え「大・人材不足を乗り越えるDX時代の食品工場現場改革」テーマでウェビナーを開催、日本食糧新聞社が協力し118人が視聴した。ポッカサッポロフード&ビバレッジSCM本部副本部長の近藤崇氏は「DX時代の食品工場現場改革」のテーマで同社の取り組み事例である工場の独自DX「dfX」を紹介、2022年から2030年までのロードマップなどを披露した。近藤氏とカミナシ執行役員ビジネス本部本部長の宮城徹也氏によるパネルセッションでは「人財」の重要性について語った。宮城氏は「現場力を引き上げるデジタル活用による業務効率化」のテーマで、工場の生産現場での紙を使った記録やその転記など煩雑な作業を、現場に合わせた自社アプリ導入でペーパーレス化して今後訪れる労働力の需給ギャップに備える提案を行った。

ポッカサッポロフード&ビバレッジ SCM本部副本部長 近藤崇氏

ポッカサッポロは、レモン、飲料、スープ、プランツミルクの4事業で2012年に設立、従業員は1000人弱で、群馬、名古屋、仙台に自社工場がある。群馬は飲料を中心とした大量生産型工場、名古屋は操業60周年でレモン飲料とスープ類を生産している。仙台はビール工場の中にスープ工場がある。

同社の経営理念である、お客様と向き合い、先を読みスピードを持って挑戦してヒラメキを実現させるというところをDXを利用しながら取り組んで、経営理念の実現に貢献するため会社、グループ全体で進めている。DX人材の育成に取り組み、26年までに基盤作りをして、積極展開フェーズは27~30年と見込んでいる。従業員のDX、IT分野のリテラシーを向上させるためeラーニングを取り入れて、DX、ITを推進できる人財を育てる。

生産工場では「dfX」プロジェクトに取り組んでいる。21年に群馬工場が操業30周年を迎えるに当たり、フラッグシップ工場、スマート工場、サステナビリティ工場という未来の群馬工場を打ち出した。中でもスマート工場への取り組みの背景には、熟達者の定年退職が増え、熟達者の知恵、ノウハウ、ナレッジが共有されておらず、若年層に負荷をかけてしまったことと、工場内の12時間交代勤務、暑い、寒い、重い、見て覚える、ということに対する働き方の変化などがあった。

デジタルを用いて情報共有、学習、成長の基盤を作り、全社と連動しながらも工場独自でトランスフォーメーションを起こそうと近藤氏が「dfX」を打ち出した。トランスフォーメーション(変革)を強く意識した工場(ファクトリー)のDXとし、デジタルはトランスフォーメーションのためのアナログから脱却する手段と考えたからだという。dfXの目的は、工場をオープンイノベーション状態とし、デジタル化を進め創造的な時間を捻出して、捻出した時間は自己成長を意識したものに活用する。DXイコール全自動化、省人化ではなく従業員がいかに安心して仕事ができて成長できるかだと、近藤氏は強調した。

多くの時間を占めている生産活動は、数年後までに人から機械への移行をさらに進め、保全活動、成長活動の時間に充てるという考えだ。実現したい変化としては、事後保全から予知保全でトラブルの先回り対策、帳票類のデジタル化、現場での監視から遠隔化など。ロードマップは、22年のデジタイゼーション(業務負荷の低減)から始まり、24年にはデジタライゼーション(改善活動活性化)で、ここで生まれた時間を26年からはトランスフォーメーションに変えていく。

次のフェーズ以降の進め方は、PJTオーナー、ステアリングコミッティが予算配分、会社戦略、事業戦略との実現に関与し、地図・羅針盤を明確にすることで、dfXを自走していく。

パネルセッションでは宮城氏がdfXへの取り組みで現在までに効果が出ている点について尋ねると近藤氏は「年間500、600時間削減できた。来年以降は相当スピードが上がる。数千時間見込めるだろう」と述べた。dfXの障壁については、実働部隊と上司との温度差があったという。近藤氏は、現場から反発の声はあまりなく、dfX推進が各自のスキルアップにつながると理解されてきたと感じているという。人手不足について近藤氏は「人は一番大事な資源。若い人たちが辞めない会社にしていきたい。生産だけでなく成長できる工場にしたいというのがdfXだった。(これからDXに取り組もうという企業には)人材と人財では大きな違いなのでデジタイゼーション、デジタライゼーションではなくトランスフォーメーションに重きを置いて考えていただければ」とアドバイスした。

カミナシ 執行役員ビジネス本部本部長 宮城徹也氏

カミナシ宮城氏による講演では、まずカミナシを紹介。設立から7期目で代表者が食品工場で働いていた経験から、離職者が多い一方、優秀な人も多く、こういった人たちが輝ける会社サービスを創りたいとカミナシを設立した。現場仕事の人たちは、職場で紙とデジタルカメラで記録したものをエクセルに転記して報告資料を作ったり集計作業をしたりと煩雑な業務が増えている。デジタル化によってノンデスクワーカーの煩雑な業務をなくして、より生産的な活動に注力してもらおうと考えて、自社で簡単にアプリを作り管理するサービスを提供している。食品製造業、ホテル、飲食店、物流など食回りのサプライチェーンで利用されている。

人手不足について宮城氏は「2030、2040年と、需給のギャップがどんどん開いていくというのは共通認識」と述べた。外国人が主戦力になる職場も出てくる中、どう一緒に良いサービスを作っていくかが課題となる一方、品質管理の水準は上がり、マネジメントコストも上がっていくと見ている。

マネジメントの負荷が上がっていたオイシス社で、若手メンバーがDXプロジェクトに取り組みペーパーレス化で現場も働きやすくなった事例を動画で紹介した。


バックナンバー