工業団地探訪・宮崎フリーウェイ工業団地【PR】

霧島連山の麓、宮崎県高原(たかはる)町の「宮崎フリーウェイ工業団地」は、大自然の恵みを通じて得られる良質な水や豊かな農畜産物、高速道路網を生かせる良好な交通アクセス、そして充実した優遇制度など、新たな進出先を探す県外の食品メーカーにとっても注目できる工業団地だ。記者は現地に飛び、関係者の話を通じて同団地の魅力を探った。

霧島連山と高原町
霧島連山と高原町。写真中央下に宮崎フリーウェイ工業団地が見える
 REPORT 

宮崎牛の一大生産地を形成する高原町

宮崎ブーゲンビリア空港からは宮崎自動車道を使うと車でおよそ50分。ここは宮崎県南西部の高原町だ。頂上に天逆鉾(あまのさかほこ)が突き立つ高千穂峰や御池(火口湖)を擁する霧島連山の麓に位置する高原町は、「日本書紀」により「神武天皇の御生誕の地」と伝えられ、ゆかりの地名も数多く残る。また、高千穂峰は日本最古の歴史書である「古事記」にも「天孫降臨」の舞台として記されるなど、こうした古代ロマンも地域の魅力を高めている。

日本で初めて国立公園に指定された霧島連山から豊かな湧水の恵みを受け、良質な水を用いて育てられた農畜産物は品質の高さが自慢です。高原町は農業算出額全体の約6割を肉用牛が占めており、特に宮崎牛の一大生産地を形成しています。繁殖から肥育までの地域内一貫生産体制を確立しており、酪農についても技術や乳用牛の資質、能力ともに県内トップレベルです」(宮崎県高原町産業創生課産業観光係主任主事 平部真也氏、以下同)

近隣には乳製品加工事業者が複数あり、高原町産の牛乳を生かした乳製品も九州各地に出荷されている。

湧水
高原町内に点在する数多くの湧水
宮崎牛
高原町は宮崎牛の一大生産地を形成。繁殖から肥育までの地域内一貫生産体制を確立している

良好な交通アクセスにより物流面で大きなメリット

高原ICを出て約5分、国道221号線に沿った高台に宮崎フリーウェイ工業団地がある。県西地域への産業集積を目指す工業団地として1999年3月に完成した同団地には現在、分譲総面積約28・05haに及ぶ広大な敷地に木材加工や物流、食肉加工、農産加工、惣菜加工などの9社が進出、残る3区画(計3・99ha)が分譲販売されている。

内陸部に位置する工業団地だが、高速道路を生かせることで特に物流面でのメリットが大きい。団地からわずか1・5kmの距離にある高原ICから宮崎自動車道に入れば、宮崎市内には約50分、鹿児島市内には約75分、熊本市内にも約100分でアクセスできる。実際、高速道路網を生かした物流体制により、ここから商品を全国に出荷している食品メーカーもある。

譲販売中の区画の一部
分譲販売中の区画の一部。広い道路が整備されており、大型トラックの乗り入れもしやすい

港湾についても、宮崎港には約50分でアクセスてでき、加えて現在建設中の「都城志布志(みやこのじょうしぶし)道路」が開通すれば、重要港湾および中核国際港湾に指定されている志布志港(鹿児島県)も、より近くなる。

「高原町を含むこの地域では、年間を通じて豊富で良質な農畜産物が得られます。そうした資源と良好なアクセスを特に生かせるのは、例えば缶詰やレトルト、冷凍食品などを出荷するメーカーだと考えます。こうした企業に進出いただければ、地域経済の活性化との相乗効果も期待できそうです。また、高千穂峰や御池、温泉などを絡めたキャンプやワーケーションが近年は盛んになってきており、観光客も増加しています。そこをターゲットとしたキャンプ飯やお土産品などの商品販路にも可能性があると考えます」

なお、高原町は新燃岳の噴火災害を経験しており、災害に対する備えにも関心が高いという。また、高原ICや陸上自衛隊えびの駐屯地が近く、南海トラフ地震などの際、防災物資の備蓄・搬送拠点地に十分なり得る。そのため、同町では災害に備えて全国の被災地へ搬送しやすい災害支援食糧物資品の製造も視野に入れている。

手ごろな分譲価格と充実した優遇制度

これから同団地への進出を検討する企業にとって特に注目なのは、手ごろな分譲価格と充実した優遇制度だ。1m²当たりの分譲価格は、高原町の用地取得補助制度(5000m²以内の分譲で一律550円/m²の補助)により2950円/m²と、全国各地の工業団地平均のおよそ3分の1以下に抑えられる。さらに大規模一括購入(5000m²以上)の場合、面積区分に応じた補助(補助率30~50%)により実質分譲価格は2450円/m²以下まで下げられる(表)

加えて投下固定資産総額500万円以上、追加従業員数11人以上の製造業に対しては、新規雇用者数×15万円の雇用奨励金が支払われ、固定資産税は3年間免除される※。

初期投資負担を抑えたい場合は年額198円/m²(10年以上30年未満)でリース制度を活用でき、このうち年額98円/m²は5年間にわたり高原町より補助を受けられる。

宮崎県独自の優遇制度も充実しており、補助金の限度額は九州で最高の50億円。宮崎県と高原町の補助金は併給が可能なため、宮崎フリーウェイ工業団地への進出企業はかなり手厚い優遇が受けられるといえる。

※資本金額などが5000万円を超え1億円以下である法人は投下固定資産総額が1000万円を超える必要があり、資本金額などが1億円を超える法人は投下固定資産総額が2000万円を超える必要がある。

「地域商社」の設立を通じてブランド開拓

高原町の今後のビジネスチャンスの可能性を広げる取り組みとして期待されるのが、「地域商社」の設立だ。地域商社とは、民間事業者を含めた関係者を巻き込み、地域の農産物や特産品などをブランド化、そして生産・加工から販売までを一貫でプロデュースし、地域内外に販売する組織である。同町によると、22年5月までに設立を目指し、まずはふるさと納税のさらなる推進、新たな特産品の開発を進めたい考え。

「高原町には宮崎牛だけでなく、キャビア、はちみつ、もち麦、ブドウ、マンゴー、米、枝豆など数多くの自慢できる特産品があります。しかしながら、町のシンボルとなれるブランドはまだ存在していません。今後はどこにも負けないブランドを開拓し、さらには海外輸出も視野に入れた展開を描いています。ぜひ、この地域に新しい風を吹き込んでいただける企業さまの進出を期待しています」

高原町の特産品
高原町の特産品の一部。左からキャビア、宮崎牛、もち麦、はちみつ
 大規模一括取得補助による実質分譲価格
平部真也氏
宮崎県高原町 産業創生課 産業観光係 主任主事 平部真也氏

 進出食品メーカーの声1 

豊富な国産野菜が得られ、加工も同じ地域内で完結できる
農業生産法人 ㈲四位農園高原工場

四位農園 高原工場
農業生産法人㈲四位農園 高原工場の全景。全事業所でISO 22000の認証を取得している

収穫した野菜を1~2時間以内に加工場に運び入れ、直ちに冷凍

弊社は1965年に創業した農業生産法人で、本社は隣の小林市にあります。当初はごぼうや里芋などの契約栽培を行っていましたが、2006年に本社敷地内で農産加工場の野尻工場の操業を開始した後は冷凍(ブロック凍結、バラ凍結)野菜の製造・販売が主な業務となっています。また、08年には小林市内で茶工場の操業も開始し、有機JASの碾茶(てんちゃ)の栽培、加工も行っています。

現在はほうれんそうやごぼう、小松菜、枝豆、からし菜、里芋、ブロッコリーなど約10品目を取り扱っています。納品先のニーズに合わせて商品を企画し、オーダーメード野菜として直営農場での栽培から収穫、加工・出荷までを一貫して自社で行うのが弊社の強みで、鮮度の高い冷凍野菜を全国の冷凍食品メーカーや外食レストラン、量販店、また給食用に地元の学校などにお届けしています。

独自のルールに基づくコールドチェーンシステムを確立しており、収穫した野菜は1~2時間以内に加工場に運び入れ、直ちに冷凍します。これにより高原町とその近隣で収穫された良質な野菜を極めて鮮度の高い状態で全国に届けられるため、納品先からは「素材本来の持ち味が発揮されており、おいしい」との評価を頂いています。

直営農地
599枚の直営農地は機械化が進んでいる。2009年にはGLOBALG.A.P.の認証を取得した
目視検査
収穫して1~2時間以内に冷凍。写真は冷凍後の目視検査

大型トラックの受け入れや一時待機、往来が安心して行える

高原工場はバラ凍結の生産能力を高めるため、12年に操業を開始しました。弊社が直営している農地は現在599枚にも及びますが、高原町とその付近に多く分布しています。また、野尻工場がある本社近辺は住宅地が多く、そこで工場の拡張または新設を行い、よりトラックの往来が多くなれば迷惑が掛かるのではないかとの懸念がありました。そこで、分譲中だった宮崎フリーウェイ工業団地内へ高原工場を置くことにしました。

この工業団地は農地からのアクセスが非常に良く、野菜を収穫してから短時間で冷凍加工したいという弊社の要求にマッチしています。工業団地の出入り口や道路が比較的広く整備されており、大型トラックの受け入れや一時待機、往来が安心して行えることも助かっています。

そして、工業団地の近隣に湧水池があることが示すように、良質な水が得られることも大きなメリットです。弊社では2本の井戸で地下水をくみ上げ、ろ過・殺菌して使用しています。

年間を通じて豊富な国産の野菜などが得られ、加工も同じ地域内で完結できるということに、宮崎フリーウェイ工業団地の高い価値があると考えています。今後も人材教育を含め、組織としての強化を図りながら、新しいことにも挑戦していきたいと思います。

四位栄介氏
代表取締役社長 四位栄介氏

 進出食品メーカーの声2 

恵まれた自然環境ときれいで豊富な水が安全・安心な食品の製造に生かされる
㈱鹿祿(しかろく) 宮崎工場

鹿祿宮崎工場とスタッフ
㈱鹿祿 宮崎工場とスタッフの皆さん

料亭やホテルで腕を磨いた料理職人が技術と経験を発揮

徳島県徳島市に本社を置く弊社では、原材料からの仕込み、魚の下処理やカット野菜の一次加工、ドレッシングなどの各ソース類、前菜からメイン、デザートに至るまで、お客さま(クライアント)のブランドや個性を理解し、PB商品として製造・納品しています。

日本各地の料亭やホテルで腕を磨いた料理職人が培った技術と経験を最大限に発揮させながら、厳密な製造工程表に沿ってレシピ通りに再現し、一品ごとに仕上げられるラインを提案できることが弊社の強みです。

生産は本社工場と静岡工場(静岡県島田市)、そして宮崎工場の3拠点で行っており、主に出荷アイテムで役割を分けています。

この宮崎工場では冷凍和惣菜を中心に「じゃが芋金平鶏そぼろ」「大根と人参の甘酢和え」「野菜ビーフン」「おさつサラダ」など21アイテムの病院給食向け商品を1日約3000パック製造し、全国の病院や福祉施設などに出荷しています。

地元産の野菜や一次加工品が安定して得られる

宮崎工場は前々所有者の惣菜メーカーが新設し、その後、病院給食メーカーへ引き渡され、2010年に弊社の借り上げになりました。宮崎フリーウェイ工業団地は霧島連山の下、素晴らしい自然環境に恵まれ、ここで得られるきれいで豊富な水は、まさに安全・安心な食品の製造に生かされています。

交通アクセスの良さも大変に気に入っています。弊社の商品はいったん物流センターのある福岡県内に運ばれ、そこから1日以内に全国各地の納品先に配送されます。この工業団地からは数分で宮崎自動車道の高原ICに入れますので、県内外への物流においても大きなメリットが得られています。

また、宮崎自動車道、一般道路ともに年間を通じて比較的すいており、駐車場も確保しやすいため、自動車通勤をする従業員にとってはこうしたメリットも大きいといえます。

宮崎工場で使用する原材料は国内外の各地から仕入れていますが、例えば白和えで使用する豆腐やキュウリ、ニンジンなどは地元産のものを使用しています。魅力はその安定した量です。高原町や小林市を含むこの地域では、特に良質な野菜が豊富に仕入れられます。このことは、生産計画やレシピ開発などにおいて大きな強みになっています。

工場は24歳から77歳まで、元気で朗らかな方々に恵まれています。今後はこの地に戻った若者に喜んで働いていただける工場づくりを目指したいと思います。

包装作業の様子
包装作業の様子。写真左に袋への投入機、同右に真空包装機が見える
金属検出
包装・シール後の商品はX線異物検査と金属検出を経て冷凍される
石川九州男氏
宮崎工場 主任 石川九州男氏

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