「トレハ」発売30周年――製菓業界との二人三脚で成長~和菓子の価値向上、海外展開への貢献目指す~【PR】
〈後編〉素材の力で世界に貢献を
東京製菓学校 梶山浩司校長 × ナガセヴィータ 濱野正康上席顧問

コミュニケーションツール「トレハブック」活用
濱野 当社は「糖のスペシャリスト」として、さまざまな食品のアプリケーション開発に取り組んでいますが、「糖は『トレハ』だけ使えば、おいしい和菓子ができる」ものではなく、「トレハ」は優れた機能を有する素材ですが、それを使えばすべての課題が解決できるものでもありません。糖類を見ても砂糖をはじめ、たくさんの種類があります。「トレハ」と他の糖類をどのような組み合わせで利用すれば、素材の特徴を最もうまく引き出せるのかを、考慮しながら鋭意検討しています。
われわれは、そうした知見やエビデンスを基に、「トレハ」の特性や機能、使い方、ユーザーの声などを「トレハブック(TREHA BOOK)」としてまとめています。「トレハブック」は、われわれとユーザーのコミュニケーションを促進するツールとしても高い評価をいただいています。
梶山 「トレハブック」の存在も、「トレハ」が和菓子分野で用途を広げてきた要因の一つでしょう。単一の素材にフォーカスを当てて、ここまで内容が充実している本は、なかなかありません。
「トレハブック」は「なぜでんぷんの老化やタンパク質変性を抑制するのか」といった科学的な解説にも踏み込んでいます。私は今は学校で和菓子職人を目指す学生の教育に携わっていますが、「トレハブック」は学生が熟読すれば良い一冊です。物性に関する原理を理解することは、現場にいる和菓子職人にとって非常に重要です。現象を科学的・理論的に理解していれば、例えば「この菓子でこういう効果があるなら、別の菓子ではこういう使い方ができるかも」といったように、商品開発のアイデアも広がるでしょう。
「トレハブック」では、プロの菓子職人が「トレハ」との出合いや使用している理由などを語っています。まだ「トレハ」を使っていない人にも、すでに使っている人にも参考になる部分は多いと思います。
濱野 「トレハブック」は、当社が日々「トレハ」の機能を探求し、当時の和菓子会の著名な20人に及ぶ先生方のご協力を得て、あるお菓子においては納得のいくまで何度も試作を繰り返し、先生の評価が得られれば、その後に客観的なデータ取りをして仕上げた、唯一無二のお客さまとのコミュニケーションツールです。

世界に向けて本物を広げる
濱野 将来に向けて「和菓子の価値を高める」「若い職人が夢を描ける業界にする」ことを考えなければなりません。和菓子のさらなる発展に向けて、梶山先生のご意見をお聞かせください。
梶山 例えば「『トレハ』の有用性は理解しているが、原料原価を考えると採用は難しい」という状況があるかもしれません。しかし、理想をいえば、職人は「自分がおいしいと思う和菓子を作り、その価値に見合った価格を設定する」という姿勢を貫くべきです。
「おいしい和菓子を作る」という思いを最優先に考え、「トレハ」のような新しい素材、それを使った新しい商品づくりに積極的にチャレンジできる職人が増えることで、「和菓子=価値あるもの」としてのイメージも広がっていくと思います。
濱野 「和菓子を作ること」=「価値をつくること」という考え方には共感します。われわれナガセヴィータのフードシステムソリューションズ部門が目指していることも、まさに「新しい価値の提供」ですので、親和性が高いと感じます。
「和菓子の価値を高める」という観点でいえば、今後は世界に目を向けた取り組みも必要です。現在、「トレハ」は世界各地で許認可を取得しており、米国・欧州・中国・台湾・東南アジアなどへ輸出が可能です。
和食がユネスコ無形文化遺産に登録され、日本の食文化の一つとして「和菓子」も注目されています。梶山先生は、欧州に「本物の和菓子」を浸透させるための活動も行っておられます。
梶山 海外では「和菓子=甘すぎる」というイメージを持たれがちで、そうしたイメージだけで和菓子を敬遠する外国人もいるようです。「トレハ」の低甘味性は、この課題を解決する上で役立つでしょう。
また、「トレハ」は保存性の向上(賞味期間・消費期間の延伸)にも有用です。「本物の和菓子」を世界に広げるための貢献ができる素材だと思います。
濱野 「和菓子から健康を作る」という視点も重要になるでしょう。例えば最近は、もちが低アレルゲンとして注目されたり、アズキが食物繊維の豊富さで注目を浴びるなど、日本とは異なる切り口で和菓子が受け入れられ始めている状況もあります。お腹の健康や健康寿命の延伸などに寄与する「健康面での機能性を有する和菓子」とうたうことができれば、世界でも和菓子人気が高まると期待しています。そのために必要なエビデンスの収集も、今後は力を入れる必要があります。
これまで30年の長きにわたり、「トレハ」を支えていただいたことに心から感謝申し上げます。当社は、今後も「トレハ」のさらなる価値向上と製品の品質向上に努めていきます。素材の力を通じて、人々の暮らしを支え、健やかで持続可能な社会の実現に貢献することを目指して、「トレハ」はもちろん、「トレハ」に続く素材の開発にも積極的に取り組んでいきます。

糖質の知見で課題解決


連載
