「無知」からの糖質敵視 東京農業大学客員教授・東洋ライス株式会社 代表取締役雑賀慶二

昨今、「米食は健康に良くない」との説を耳にすることがある。しかしそれは、無知によるものである。「高精製度のコメ」が健康に良くないだけである。すなわち、穀物の果皮と胚乳の境界(深層糠)には、未知の栄養素が存在し、それを除いた胚乳のみを長年に亘り摂取していると不健康になるゆえんである。

わが国の年間医療費はすでに40数兆円に達している。なぜこれほど病人が多いのか―。それは、昭和30年ごろに「噴風式精米法」と云う革命的な精米機が登場し、それまでのコメの精製度が一挙に高くなり、高精製度の「過精白米」が普及しはじめ、今日に至っているからである。そのことは、昭和30年ごろのわが国の医療費がほぼゼロであることによっても裏打ちされるだろう。

要するに、高精製度の過精白米を摂取するから、糖尿病や肥満になるのであり、低精製度のコメを適量摂取すれば、これほど日本人の健康に良い食物はないだろう。

問題は食味であるが、私は精製度が低いにもかかわらず、通常の白米より美味な『金芽米』を17年前に発明し、東洋ライス社の社員が常食したところ、平均年齢が高いにもかかわらず、年間医療費が全国平均の約6割となったのをはじめ、直近では、他企業2社でも金芽米を常食すると、わずか1年で医療費が約半額にまで下がるという事例も出ている。

さらに、糖尿病を始めとする数々の私の病もことごとく治癒し、87歳の今日でも第一線で働けている。そのように私の説はことごとく「実証」されているのである。

糖質をカットすると、糖尿病は治るし、肥満も解消するが、炭水化物以外の栄養素だけでは内臓に負担がかかり短命になることは、糖質を摂取出来ないイヌイットの寿命が示している。

特にコメを主食としてきた日本人にはそれに応じた腸内菌が形成されていることからなおさらである。つまり人間にとって、活動エネルギーの供給源として、炭水化物(コメ)は極めて効率が良く、問題は低精製度のコメを摂取することと、摂取し過ぎないことである。

先進国では、高精製穀物を避け、低精製度穀物を推奨しているが、残念ながらわが国は遅れているのが実状である。

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