食品業界で加速するDX化【PR】

WEBセミナー「企業間決済から始める外食産業DX」開催

業務用食材卸の成功事例に大反響!

アメリカン・エキスプレス・インターナショナル, Inc.(以下、アメックス)主催のWEBセミナー「企業間決済から始める外食産業DX」が5日に開催され、その内容が反響を呼んでいる。同セミナーはデジタル庁の村上敬亮統括官、埼玉県を拠点に外食卸を展開する関東食糧の臼田真一朗社長の講演と、臼田社長を主役にしたパネルディスカッションの三部構成で配信した。いち早く業務用食材流通のDXに乗り出し、アメックスと連携した企業間決済システムを導入した関東食糧の事例は、一つの成功モデルといえるだろう。食品業界でもDX戦略を推進する動きが加速している今、各氏が語る最先端事情から、ビジネスの明暗を分ける企業DX導入のヒントが見えてくる。

※講演内容を一部抜粋して掲載

◎講演①
「デジタル庁のめざすもの ~加速する行政DX・民間DX~」

デジタル基盤「共助」の時代に
―― デジタル庁 村上敬亮氏
村上敬亮氏
デジタル庁統括官 国民向けサービス グループ長 村上敬亮氏
1967年、東京都出身。90年、通商産業省入省。IT政策、クールジャパン戦略の立ち上げなどに従事。2014年、内閣官房・内閣府で地方創生業務に従事。20年、中小企業庁経営支援部長。21年、内閣官房IT総合戦略室内閣審議官。9月から現職
「サービス中心」の時代に

人口減少局面に入った日本は、これまでの「需要が供給に合わせる経済」から「供給が需要に合わせる経済」へ、「ものづくり中心の経済」から「サービス中心の経済」へと今後、変化していくでしょう。そこで必要となってくるのは、デジタル生活基盤を再構築する共助のビジネスモデルです。

「需要が供給に合わせる時代」から「供給が需要に合わせる経済」への転換について説明しましょう。交通を例にすると、これまでの「需要が供給に合わせる経済」では乗客がバス停でバスを待っていたのが、人口減少局面のこれからの時代は「供給が需要に合わせる経済」になり、オンデマンドで送迎の車が乗客の都合に合わせる構図になります。日常の買い物でも、消費者が店に買いに行っていたのが、必要な商品が消費者の自宅に届けられるようになる。需要に合わせたサービスの仕組みへの組み替えが求められてきます。

一方、「ものづくり中心の経済」から「サービス中心の経済」への変化について。自動車を例にすると、人口増加局面では購入の市場は必ず膨らみ、車の企画・設計から製造、販売のプロセスで確実な利益が出ていました。しかし、人口減少局面においては、自動車の販売台数の伸びはもう期待できず、企画・製造から販売のバリューチェーンにおける労働生産性は下がる一方です。これを、仮にカーシェアのビジネスモデルをつくり出せれば、従来よりも生産性の高い新しいサービス業などを創出する余地が生まれてきます。商品自体の付加価値だけで労働生産性を守るのが難しくなるこれからの時代は、シェアリングエコノミーの要素を持った「サービス中心の経済」へのシフトが必要というわけです。

共同でデジタル投資を

「供給が需要に合わせる経済」「サービス中心の経済」を実現するには、需給をリアルタイムで把握し、物やサービスを動かすデジタル基盤が必要不可欠です。とはいえ、各事業者が個別にデジタル投資をしていては回収が見込めません。それでも必要なデジタル基盤への投資を進めていくためには、各社で共用できる部分は共同で投資することを前向きに考えていかなくてはならない。各種サービスを支えるデータ連携基盤の運営や消費者の情報管理システム、自動走行インフラの構築、決済システムなどへの投資は、互いに共助することです。その上で、各社は独自のサービスや強みで競争する。「共助のビジネスモデル」こそが重要になってくるはずです。

かつては道路などの“公助”に限定されていた協調領域ですが、今後は公的支援が難しいような「特定多数の事業者」が使うデジタル基盤などを中心に“共助”の部分を増やし、協調領域を拡大する。そうした取り組みが極めて重要になってくるのではないでしょうか。

◎講演②
「関東食糧が創造するDX戦略と課題」

社員の負担軽減目指す喜ばれる会社づくりを
―― 関東食糧 代表取締役社長執行役員 臼田真一朗氏
臼田真一朗氏
関東食糧 代表取締役社長執行役員 臼田真一朗氏
大学卒業後、味の素社に入社し、家庭用営業職を経て関東食糧に入社。情報システム、仕入れ、物流の改善に努め、2013年、代表取締役社長に就任。NCF日本業務用食材流通グループ代表理事、日本フードアナリスト協会理事、JSA認定ソムリエ

「関東食糧式DX」は、デジタル技術を活用して業務プロセスと企業風土に変革をもたらし、自社の競争優位性を確立し、飲食業界の食空間創造に貢献していくことを目指すものです。

2011年にKANTO EXPRESS(以下、KE)を開設し、受注のオンライン化に挑戦してきました。その頃は、飲食店さんからの注文はFAXか電話が当たり前で、それらの注文をいかにさばくかが課題でした。しかし、飲食店にもIT機器が普及し、試行錯誤の上、14年に自社開発したオリジナルのシステムに切り替えました。スマホで発注でき、さらに商品の検索までできることがお客さまにとって一番便利だと考えたからです。

現在、当社の外商部の約50%のお客さまがKEを利用されています。訪問件数は21万8800人、セッション数は76万6908セッション、掲載点数は1万点です。

販促のオンライン化も進めてきました。以前は冊子で生鮮食材やメーカーさんの新商品を案内していましたが、コロナ禍で思い切ってWebマガジンに切り替えました。新商品情報もメーカーさんの協力を得て、オンライン化することで、より多くのお客さまに瞬時に情報をお届けできるようになりました。Web販促の認知度アップのため、SNSで積極的に情報発信しています。当社では1500軒のお客さまにLINE登録していただいています。

先日3年ぶりにリアル展示会を行い、ユーチューブの生配信にも初挑戦しました。インプレッションが6万を超え、5000人の方に観ていただけました。これまで、来場者にしか伝えられなかった情報が、生配信で多くのお客さまに伝えられるようになりました。

DXで営業の負担軽減

営業マンがお客さまのところへチラシや商品を持参し、「この商品はいかがですか?」という商売から変わってきました。

具体例を挙げると当社は水・日曜日休みで、祝日は営業日です。祝日の売上げは平日よりも少ないです。試しにKEで祝日限定の「休日特売」を行いました。食用油を、値上げ前の価格で特売したところ、4日間の告知ポップアップで256店から1202缶の注文をいただきました。営業マンを介さなくても、このような結果が出ています。

集金のキャッシュレス化も進めています。集金はお客さまの不在などもあり、労力がかかる仕事です。当社では、アメックスのカード決済をお客さまにお願いしています。当社にとっては営業マンの負担軽減になり、お客さまもアメックスのカードを使うことでポイントを貯められる、支払いサイトの余裕ができて資金繰りの改善につながるというメリットもあります。

DXは道具、最後は人

DX推進のためには、システム導入だけでなく働く人の意識改革、企業文化・風土の変革も同時に行っていかなければなりません。そのためにオープンな情報共有化を進めています。ベテラン営業マンやデジタルが苦手な社員の意識を高め、リスキリング(再教育)して今の時代に合わせていくことが大切です。

19年に新社屋にした時にフリーアドレス制にしました。フリーアドレス制はどこでも仕事ができる環境を整えることでもあります。この利点を生かし、もっとお客さまに近い場所で営業をしたいと考え、シェアオフィスを借りて営業所を開設しました。物流拠点は桶川の本社、営業拠点はシェアオフィスで行うことで、低コストでの営業所展開が実現しました。

また、全営業マンにタブレットを配布し、KEの受注サイトをどこでも見られ、お客さまの代理発注も可能にしました。商談で「この商品が欲しい」となったら、その場で受注処理ができます。見積もりもその場で処理できるようになりました。

お客さまへの情報の提供方法が変わったことで、営業1人当たり200軒の得意先が限界でだったのが、今回チャレンジしたら500軒持つことができるようになりました。今後は1人当たりの得意先軒数を見直し、生産性を高めていきたいと考えています。

DX化できることは増えていますが、DXは人が使う道具です。便利な道具を使って、いかにお客さまに喜んでいただくか。営業マンの生産性、会社の生産性をいかに上げていくかを考えて進めていくことが重要です。

会社の業務を今までの延長線上ではなくつくり変え、創造していかなければならないのです。「今までこうだった」ではなく、これからを考えなければならないのです。

DX推進の課題を考えると、やっぱり「人」にたどり着きます。責任感、胆力、リーダーシップを発揮するのは人です。DXを業務に取り入れ、便利で楽しい情報をお客さまに伝えられれば業界がよくなっていきます。DX化で生産性を高め、仕事のやり方を変えることでより多くの社員やお客さまに喜んでいただく。そんな会社をつくりあげていきたいと思います。

◎講演③ パネルディスカッション
「関東食糧が創造するDX戦略と課題」

「業務効率化」「既存顧客の売上げ増」
アメックス決済でWin-Win
パネリスト3名

パネリスト

  • 関東食糧 代表取締役社長執行役員 臼田真一朗氏
  • アメリカンエキスプレス・インターナショナル, Inc.加盟店事業部門 事業戦略本部 本部長 平野進氏
  • 2016年、アメリカンエキスプレス・インターナショナル, Inc.(日本)に入社。企業間決済におけるビジネスモデルと戦略策定および加盟店獲得とパートナーシップ構築を統括
  • 日本食糧新聞社取締役 「外食レストラン新聞」編集長 岡安秀一氏(司会進行)
  • 1992年、日本食糧新聞社入社。98年、外食レストラン新聞編集長に就任。新聞、書籍の編集のほか、食品メーカーの製品開発と販売促進にも携わる
人の手で行う業務をデジタル化

–関東食糧が実践しているDX化は業界からも評価が高く、注目されています。詳しくお話を聞かせてください。

臼田ITやデジタル化、自動化などのテクノロジーを使い、今まで人がやっていたこと、人でしかできなかった業務を再構築することが「DX(デジタルトランスフォーメーション)」と私はとらえています。例えばLINEで顧客に告知し、当社のサイトで受注し、さらにサイトのポップアップ広告からまた注文をいただき、そこでデータ化されたピッキングデータを物流に送る。この一連の流れを、人の手をほぼ介さずにできるようになりました。また、キャッシュレス化が進むと、営業から集金まで人手が介入することなく業務を完遂できるようになります。当社がアメックスの加盟店になったのも、キャッシュレス化を加速させる一環です。

–関東食糧は時代を読み、常に先手を打ってきましたが、DX化もその一つですね。ところで、一般の人にとってはアメックスとDXが結びつかないのではないでしょうか。

平野では、クレジットカードについて少し説明しましょう。クレジットカードは言うなれば、決済システムに最新の技術を取り入れた「DXができるプラットフォーム」です。お金を支払う人と受け取る人との受け渡しが、電子的に確実に実行される。何百kmも離れた遠隔地でも端末にカードを差し込み、操作すると、決済が完了する。クレジットカードのそうした仕組みが、DXの機能というわけです。

また、アメックスというと、少し高級感のある個人向けクレジットカード、というイメージですが、当社では実は企業向けの2種類のカードがあります。中小規模企業や個人事業主のオーナー向けのビジネス・カードと、中堅・大規模企業向けのコーポレート・カードです。この2種類のカードを業務上の支払いに使うことで、プライベートの支出と明確に分けた経費の一元管理ができ、「透明性のある経理」「経理作業の効率化」「キャッシュフローの改善」が見込めます。一方、お金を受け取る加盟店さん側も、カード決済の導入でDX化が図れます。与信枠も当社が確認しますし、入金確認や消し込み作業にかかっていた手間も自動化できます。関東食糧さんは仕入れのビジネスにカード決済を活用していただいていますが、多くの顧客に頻繁に商品を発送しているため、利便性もより高いのではないでしょうか。

集金業務を軽減し働き方改革にも

–仕入れにもアメックスのカードが使えるのですね。つまり、アメックスのカードによる支払いを受け付ける側である加盟店のDX化と業務効率化にもなる、というわけです。
では、関東食糧がアメックスの加盟店になったことで、どのようなDX化が進みましたか。

臼田当社の顧客は飲食店が多く、この業界は現金決済がまだ主流です。そのため、月末は営業マンが集金に回らなくてはなりません。訪問しても不在だったり、現金の用意がないと出直すなど、大きな負担でした。しかし、アメックスのカード決済を導入したことで、集金業務が効率化され、時間外労働も減るなど働き方改革にもつながっています。

–アメックスのカードの導入はスムーズに進みましたか。

臼田いたってスムーズでした。アメックスが使えるというのは顧客も魅力を感じている様子で、おすすめもしやすいですよ。

平野関東食糧さんの例では、顧客である飲食店のオーナーの皆さんに、アメックスのカードで商品の支払いをしていただく、という形になります。ですのでメリットを丁寧に伝え、カード会員になる飲食店さんが納得した上で、支払い方法を変更していただく必要があります。これは、関東食糧さんと二人三脚で取り組んでいます。結果、関東食糧さんの顧客によるアメックスのカードの利用が増えただけでなく、当社からの紹介が新規の顧客獲得機会につながったケースもあったのではないでしょうか。

カード支払いOKで既存顧客の売上UP

–食品業界でデジタル化を成功させる上で、重要なポイントはどんなことでしょうか。

臼田食品業界に限った話ではありませんが、現代の技術を活用してプロセス全般をどう見直していくか。これが一番のポイントではないでしょうか。時代の流れやテクノロジーを理解し、デジタル化できる部分はデジタルに置き換えること。こうした取り組みをすることが、自社だけでなく業界全体を巻き込み、前進させることにつながるのだと思います。

平野アメックスの企業間決済がその一翼を担えて、うれしいですね。DXは守りと攻めの両方で大いに活用していただきたいと思います。アメックスの企業間決済を使うと、集金の業務効率化や経理関連の管理費用の削減が期待できますし、生産性向上やひいては働き方改革にも寄与する。これが「守り」の側面です。

一方で、「支払いをまとめて効率化したい」「カードを使うとポイントが貯められる」といった、カード決済に対する潜在的なニーズは確実にあります。「カード決済ができる」という点を武器にして加盟店さんが営業を進めるのが「攻め」であり、アメックスの企業間決済を導入する一つのメリットと考えられるのではないでしょうか。

–今後のDXの展望とアメックスとの取り組みで関東食糧が期待することは何でしょうか。

臼田キャッシュレスによるカード決済のよい点の一つは、「ポイントが貯まる」ということ。顧客が仕入れや業務の支払いにカードを利用するだけで、ポイントが貯まり、そのポイントを従業員の福利厚生に使うこともできる。そうしたメリットを説明して顧客にアメックスのカードによる支払いをすすめていますが、「関東食糧さんはカードが使えるから、注文できる商品はすべて頼むよ」と、既存の顧客の売上げが上がった、ということも実際に起きています。新規の顧客も「支払いにアメックスのカードが使える」という説明をすると、アメックスのブランド力も奏功し、スムーズに取引が始まったこともあります。

また、アメックスはさまざまな業界に関わっており、われわれの食品業界、外食産業とは違った見方や情報をいただけるのもありがたいですね。まさに、アメックスとはWin―Winの関係性、と実感しています。

平野今後も決済手段の一つとしてだけではない「DX」という視点で、最適な提案をさせていただくつもりです。また、他業界で成功している情報やノウハウを、食品業界でも展開させていただき、加盟店の皆さんの信頼されるパートナーとして努めたい、と考えています。

アメックスのシステム導入に当たっては費用もかからず、「とりあえずやってみよう」という試験的な形で導入できるので、ぜひDX化を意識する多くの企業に体験していただきたいですね。

–アメックスの企業間決済を活用すると、まさにWin―WinのDX化が実現できるというわけですね。お二方とも、貴重なお話をありがとうございました。

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