2022年食品値上げカテゴリ 購買行動の変化(上) IDレシートデータから見た現状

22年は食品の価格改定が続いたが、今年も値上げが予測される。今連載では、約3万人の生活者から収集した、店舗横断購買データ「IDレシートデータ」(フェリカネットワークス)を使用し、22年に実施された食品の値上げによる消費者購買行動への変化をみていく。

①値上げの行われたカテゴリ(小分類)の好調不調まとめ
②業態ごとの好調/不調カテゴリ(細分類)

値上げのあったカテゴリーのうち動きが顕著と想定した9カテゴリー中(アルコール飲料、パン・シリアル、調味料、肉加工品、乳製品、粉類、麺類、油脂、冷凍食品)における、22年10月までの一年間購入数の前年比月次推移を「SM・GMS」「DgS」「CVS」の3業態ごとに集計。値上げの実施月やその前後での購買数前年比の変化を見ることで、駆け込み購入や値上げ後の買い控え、業態間の流出入を分析した。

「SM・GMS」では、値上げ月も含めてほぼ90~110%の範囲内推移となり、大きな増減はみられなかった。値上げ対象カテゴリーが生活必需品だったこともあり、買わざるを得ない状況が要因と考えられる。強いて動きを挙げるなら、アルコール飲料(全般)は過去の好調から一転して22年10月に下降、粉類も22年3月以降から緩やかに下降トレンドとなっていた。

注目したいのが、DgSでの動きだ。分析した9カテゴリー中6カテゴリー(アルコール飲料、パン・シリアル、調味料、肉加工品、麺類、冷凍食品)で、値上げ月に110%を超えている。冷凍食品は、値上げ月にDgSが伸長する一方でSMが不調となり、値上げによる業態間流出入が起こっていた可能性がある。(※冷凍食品にフォーカスした記事は1月25日掲載予定。)

CVSについては、カテゴリーによっては扱い品数が少なく、またコロナ禍による来客数変化が継続して生じていたため、前年比較しにくい部分はあるものの、総じて前年を下回る傾向が表れた。特にアルコール飲料やチーズ、冷凍食品は、値上げ月をきっかけに顕著に下降傾向が見て取れた。定価販売を基本とするCVSでは値上げがほぼそのまま消費者の財布の圧迫要因となるため、値上げを機に買い控えもしくは購入チャネル変更という行動が起こったといえよう。

今回は主要カテゴリーでの変化を総合的にみてきたが、1月25日掲載予定の連載(下)では、動きが大きかったカテゴリーで要因分析に迫る。

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