日本弁理士会の知的財産講座 -種苗法の改正・地理的表示制度・知財ミックス-【PR】
地理的表示制度
GIは伝統と品質の証し
地理的表示制度とは、伝統的な生産方法や気候・風土・土壌などの生産地などの特性が、品質などの特性に結びついている産品の名称(地理的表示)を知的財産として登録し、保護する制度である。地理的表示(Geographical Indications)の頭文字をとってGIとも表現される。日本における地理的表示(GI)制度は、2015年に第1号の登録があり、そこから5年が経過した。2020年12月23日の時点で、40都道府県の104産品が登録されている。
また、登録にはおおむね25年の継続した生産実績が必要とされているので、どの産品にも歴史がある。従って「夕張メロン」や「越前がに」「下関ふく」などの有名な産品も多くある半面、伝統性があれば必ずしも知名度は求められないため、全国的にはそれほど知名度が高くない知る人ぞ知る産品もある。知名度が高くなくても、どの産品も長い年月をかけて確立した品質や社会的な評価を持っており、簡単に言うとどれもおいしい(品質がいい)。登録産品にはソバなどの穀物、ニンジンやゴボウなどの野菜、メロンや柑橘類などの果物、牛肉などの畜産物、シジミやカニなどの水産物、豆腐や味噌などの加工食品、そのほか、木炭やイグサなどがある。
GI産品にはGIマークが表示されている(義務ではないので表示がないこともある)ので、このGIマークが付けられている産品を買えば、GI産品を入手することができる。
また、産品を購入する際に、GIマークが表示されているものを選べば品質が保証され、産地の応援にもなり、ひいては農林水産業の発展に寄与し、消費者の利益が保護されることとなる。初めての旅行先でもお土産を購入する際などにGIマークを探してみれば、その土地の伝統的な産品を選ぶことができるのだ。
酒類のGIもあるので、GI産品をおつまみにGI酒をたしなんでみてはいかがでしょうか。
▽GI登録産品一覧
(https://gi-act.maff.go.jp/register/)
▽酒類のGI一覧
(https://www.nta.go.jp/taxes/sake/hyoji/chiri/ichiran.htm)
(日本弁理士会農林水産知財対応委員会・上岡將人委員)