食品業界人のための3分で分かる改正農業基本法【WEB独自企画】(6)

改正農業基本法のもとで進められる具体的施策

農業の持続的発展

改正農業基本法は「農業者の減少が生ずる状況においても」「食料の供給機能が発揮され」「農業の持続的発展が図られなければならない」旨を基本理念に掲げている。
当該理念に基づき、政府は農業の機械化・システム化、農地の有効利用、企業の農業参画などをバックアップする。
24年以降、その根拠法が矢継ぎ早に制定されている。

(1)農業振興地域の整備に関する法律(農振法)の改正 24年6月公布 25年4月施行

食料の安定供給に必要な農地面積目標を自治体ごとに定め、これに支障を及ぼす転用を規制する新制度を導入。

(2)農地法の改正 24年6月公布 25年4月施行

農地転用の手続きを厳格化。
新たな農地権利取得者の適正な農業利用を促す仕組みを導入。

(3)農業経営基盤強化促進法の改正 24年6月公布 25年4月施行

農地所有適格法人(旧・農業生産法人)の出資比率要件を緩和。従来は農業関係者が株式総数の50%超を保有する必要があったが、改正後は農業関係者と提携事業者(当該農地所有適格法人が生産する農産物を原料として用いる食品事業者、地銀ファンドなど)の合計で50%超であれば良しとする。ただし、この場合も農業関係者が3分の1超(33.3%超)を保有しなければならない。
この要件緩和により、法人設立に係る農業関係者の出資負担が抑制されるとともに、食品メーカーらの農業進出が加速する可能性がある。

(4)スマート農業技術活用促進法の制定 24年6月公布 25年10月施行

スマート農業技術を活用する農業者や当該技術を開発・提供する事業者を助成。就農人口の減少に耐え得る生産環境の実現を目指す。
法人経営の大規模集約農業だけでなく、合理化の難しい中山間地域向けの技術開発も支援する。

この他の
重点施策

  • 食料の円滑な入手の確保(食品アクセスの改善)
  • 輸入の安定化(輸入相手国の分散・多様化、相手国への投資)
  • 輸出促進
  • 農業経営の安定(伝染性疫病の発生予防、生産資材の安定的な確保)
  • 人口減少下における農村地域社会の維持

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