食べ物の単位と漢字4 花 【PR】

エディブル・フラワーの話

 草かんむりに「化ける」と書いて、「花」。「化ける」といっても、いろんな化け方があるわけだが、「花」という文字で表される場合はたいてい美しく化けている。実際、葉が「化けた」のが花びらである。
 私たちは、花そのものを食べることがある。食用の花を「エディブル・フラワー」という。ブロッコリーやカリフラワーがそうだ。ふきのとうや菜の花は、春を感じさせる。他には……、菊だって、タンポポだって、毒がなければ、ほとんどの花は食べることができる。「エディブル・フラワー」なんて、いっぱいあるのだ。
 そういえば、「卯の花」も食べられる。
 これは、「卯の花」というリアルな花ではない。豆乳を絞ったあとの残りかす――おからのことだ。この「から」が「空っぽ」の「から」につながるので、主に関東ではこのように呼ばれるそうな。おからがウツギの花(上写真)の色に似ているので、「卯の花」。これで、ぱっときれいなイメージに変わった。
 関西では「きらず」と呼ばれることもある。そもそもが絞りかすなので、調理の際には包丁を使う必要がない。だから、「切らず」。「雪花菜」と書いて「きらず」と読ませることがある。こちらも一気にエレガントになった。
 寄席の世界では、客席が「からっぽ」では非常にまずい。だから、「おから」と呼ばずに「大入り」と呼ぶ。こちらは、対極の名前を付けたわけだ。おからは「炒る」こともあるので、そういう意味も掛けてあるのかもしれない。
 さて、「卯の花」のほかに「花ではないけど、食べられる花」はないか? そうだ、「波の花」というのがある。これは、「塩」のこと。
 では、なぜ、塩に別名があるのか? きっと、塩にも「塩を塩と呼べない事情」があるにちがいない。

星田 直彦(ほしだ・ただひこ)

1962年、大阪府生まれ。奈良教育大学大学院修了。中学校の数学教師を経て、現在、桐蔭横浜大学 准教授。実生活や歴史の話題を多く取り入れた数学の講義は好評である。幅広い雑学知識を生かして、「身近な疑問研究家」としても活躍。
おもな著書に、『単位171の新知識』(講談社ブルーバックス)、『図解 よくわかる単位の事典』(KADOKAWA)、『楽しくわかる数学の基礎』(SBクリエイティブサイエンス・アイ新書)など多数。
ホームページ:「星田直彦の雑学のすゝめ」
ブログ:「雑学のソムリエ」

ゴマの花を見たことがあるだろうか。春に蒔かれたゴマは、初夏に長さ3センチメートルほどの小さな釣り鐘型の花を咲かせる。花の色は白からピンク。その可憐な姿に驚く人も多い。花が散った後もゴマはぐんぐん伸びて背丈1〜2メートルにも達し、オクラを小さくしたような鞘をつけ、その中に、およそ100粒ものゴマがぎっしりと詰まっている。現在、日本で消費されるゴマの主な生産地はアフリカ、中南米、アジアの熱帯〜亜熱帯地帯。強い日差しに負けずに育つだけに、ゴマの一粒一粒は、強い抗酸化作用をもつ成分を含んでいる。

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