世界のアマニから4 イタリア篇 レオナルド・ダ・ヴィンチの教え【PR】

「モナ・リザ」「最後の晩餐」「受胎告知」
…といえば、ご存じ、イタリアのルネサンス期(14-16世紀)代表する芸術家、
レオナルド・ダ・ヴィンチの作品です。
個人的な話で恐縮ですが、
「モナ・リザ」をフランスの「ルーヴル美術館」で初めて見た時、
楚々とした美しさに目を見張りました。
服装も黒色でシンプル、宝石などの装飾もありません。
それなのに、穏やかな微笑みや、
ふくよかでハリのある手から
“健康的な美”が絵から滲み出ていたことを今でも覚えています。

さて、レオナルド・ダ・ヴィンチの「ダ・ヴィンチ」とは、
生まれた村の名前で、イタリア中部 トスカーナ州にあります。
トスカーナ州と言えば、
“マンジャ・ファジョーリ(豆喰らい)”と呼ばれるほど豆料理をよく食べる地域なんだそうです。

イタリア地図

「えっ?豆?
イタリアといえばパスタやピッツァじゃないの?」と思われた方もいるかもしれません。
このイメージは実は南部 特にカンパニア州(州都 ナポリ)のもの。
イタリアは、細長い地形からも分かるように、土地ごとに環境が異なるため、
採れる食材やそれらを生かす調理法も異なってきます。

レオナルド・ダ・ヴィンチが生まれた中部 トスカーナ州では、
良い素材のものを焼くだけ・煮るだけ・揚げるだけといった、
潔いほどシンプルな農家料理が主流です。
使われる調味料も、塩・胡椒・オリーブオイルという
シンプルな組み合わせが基本なんだそうです。

実は、レオナルド・ダ・ヴィンチ。食べることも大好きで、
何を食べていたか、メモで残していました。
(レオナルド・ダ・ヴィンチ著「アトランティコ手稿」1515年)
好物だったひとつが、「ミネストラ(Minestra)」。
ズッキーニ、ニンジンといった野菜や豆に、
塩や胡椒を加え、コトコト煮詰めた、
シンプルなスープです。
「レオナルド・ダ・ヴィンチは菜食主義者だったのでは」
という推測があるほど、とにかく野菜を良く摂っていたようです。

このミネストラが進化したのが、
おなじみ「ミネストローネ(Minestrone)」です。
ミネストラよりもっとたくさんの野菜や豆などが入ったスープを指します。
<Minestra>+<one(オーネ、イタリア語で「大きいこと」)>
=<Minestrone>
つまり、「大きなミネストラ」「具だくさん」となります。

このミネストローネも各地によって素材が違い、
北部では、様々な野菜や豆に加え、穀物や「ローストアマニ粒」も入れています。
からだの芯まで温め、
野菜や、ローストアマニ粒などのパワーで
からだの調子を整えることから、
寒さが厳しい冬場には、マンマ(お母さん)が2~3日分を大鍋でたっぷり作るそうです。

レオナルド・ダ・ヴィンチは、例のメモに
「健康こそすべての基本。だから食べるものはとても大切」と残していたそうです。
ふと思いました。
あの「ルーヴル美術館」で感動した、モナ・リザの“健康的な美”のヒミツは……
もしかして、栄養たっぷりのミネストローネにあったのでは……
Ma dai!(まさか!)

平岡直也(ひらおか・なおや)

新聞記者、出版社、放送局を経て、2020年4月「株式会社hasso.」を立ち上げる。企業や大学、地方自治体に「はっ、そう!」と思ってもらえるPR戦略を立案するほか、これまでの経験を活かし、フリージャーナリストとしても活動。池上彰氏と「池上彰と考える『死』とはなんだろう」(KADOKAWA)も上梓した。趣味は、「食べること」。仕事や取材で行った土地の料理と、“温泉”を必ず楽しむのがモットー。