世界のアマニから5 イギリス篇 日本と似て非なる“お粥”【PR】
海外に行った時、“日本食”を見かけると、
つい口にしたくなるのですが、
「思っていた味と違う!」と驚くこともしばしば。
例えば、中国・上海のコンビニエンスストアで買った緑茶。
一口飲むと、強烈に甘く、パッケージを確認すると、やはり緑茶。
原材料欄を確認すると「砂糖」とあり、
友人に聞くと、「ここでは緑茶は、加糖が普通だよ」と教えられました。
そして、イギリスを訪れた時。
1週間ほど経ち、そろそろ日本の味が恋しくなっていた頃、
お世話になっていた家庭で朝、「お粥をどうぞ」と出されたのが、
ポリッジ(porridge)です。
お粥と言えば、日本では、
水や出汁、塩などでお米を炊き上げる
シンプルかつ胃に優しい料理。
果たしてイギリスのお粥はどんな味つけなんだろう…
ワクワクしながらいただくと。
あ、あ、あまい!
思わず口にして、
お母さんにびっくりされたことを今でも覚えています。
ポリッジとは、イギリスでは家庭や、街角のカフェでも定番の朝食メニュー。
アイルランドでは、このポリッジの味を競う
コンテストも毎年開かれているそうで、
お湯や牛乳でふやかしたオートミール(オーツ麦)を皿に盛り、
砂糖や蜂蜜などをかけ、お好みで果物やナッツ類を加えたものです。
イギリス版“お粥”の主役は白米ではなく、オートミール。
ここに、香ばしさを加えたい時、ローストしたアマニ粒を入れる家庭やお店があります。
オーツ麦の豊富なカルシウム、鉄分に加え、
ローストアマニ粒のオメガ3脂肪酸がプラスされ、まさに栄養満点。
何より、オーツ麦と、ローストアマニ粒から
食物繊維が、たっぷり摂れることから、
身体環境を整えるのにぴったりで、
だからこそ、<朝食の定番>となっているようです。
ただ、イギリスの朝食と言えば、
トースト・卵・ベーコン・ベークドビーンズ・ソーセージ・マッシュルームなどが乗った
「イングリッシュ・ブレックファスト」を
思い浮かべる方も多いと思います。
お母さんに尋ねると、
「あれは週末、時間があって、仕事がない時じゃないと食べないわよ」と
微笑みます。
理由はこうです。
イギリスでもっとも大切にされる時間は<サパー(夕食)>。
午後7時ごろから、家族や友人と語り合いながら時間をかけて食べるため、
“逆算”して1日を行動します。
仕事を抱えている場合、頭がすっきりして動く、午前が勝負。
ゆえに、その午前の活動を邪魔せず、
後押ししてくれる朝食が大事。
だからこそのポリッジなんだそうです。
イギリス人の“人生観”が反映されたポリッジ。
ただ“あまい”だけじゃありません。
平岡直也(ひらおか・なおや)
新聞記者、出版社、放送局を経て、2020年4月「株式会社hasso.」を立ち上げる。企業や大学、地方自治体に「はっ、そう!」と思ってもらえるPR戦略を立案するほか、これまでの経験を活かし、フリージャーナリストとしても活動。池上彰氏と「池上彰と考える『死』とはなんだろう」(KADOKAWA)も上梓した。趣味は、「食べること」。仕事や取材で行った土地の料理と、“温泉”を必ず楽しむのがモットー。