日本アクセス、次世代ビジネス戦略「情報卸」を始動 攻めの柱へ強化
日本アクセスは次世代ビジネス戦略として「情報卸」を掲げ、製・販のIT化を支援する情報サービスプラットフォームを今年から本格始動する。電子レシートやアプリ、需要予測など別々の便利なサービスを取りまとめ1本化し、小売業のシステム開発費や時間を大幅に圧縮。台頭するEC企業に負けない小売業の情報武装を支えることで、消費者をリアル店舗に囲い込み、結果的に本業の卸事業を拡大する。第7次中計の攻めの柱の一つとして強化していく方針だ。=関連記事2面(山本大介)
食品業界を取り巻く外部環境変化の一つに、ECビジネスの市場拡大が挙げられる。リアル店舗とECの競争は激化。消費者のスマホ普及が進み、ITを駆使した購買行動も盛んだ。一方で、リアルの小売業はこの流れに遅れがちで、どう対応していくか模索している。
同社は食品卸として従来、メーカーと小売業を「商品」と「物流」でつないできたが、これに「IT施策」を加えた“情報卸”構想を打ち出した。リアル店舗がECに席巻されるのを防ぎ、新時代の食品流通業界の成長を支えていく。
小売業にとっては、ITを駆使したさまざまなサービスを一つの口座で完結でき、コストや時間が大幅に削減できる。One to Oneマーケティングによるロイヤルユーザーの育成や、データ分析に基づいた最適な売場の実現が可能だ。
メーカーにとっても、小売側が了承したデータの分析を小売業とともに行い、商品のトライアル・リピート率の把握から新しいニーズをつかんだ品揃えで、売上げを拡大できる。
実働部隊は、日本アクセスの100%子会社D&S SOLUTIONS。1月から情報卸機能を本格的にスタートした。小売業のデータを活用して分析し、課題を発見。PB提案や商品改良、新商品開発など売上げ直結型の商品提案を推進する。別会社が情報を管理することで、安全性を担保している。
「情報卸で収益を上げるのが目的ではなく、卸本来の提案サービスをしていくことが目的」(中村洋幸取締役常務執行役員商品統括・マーケティング管掌)として、あくまでIT武装した小売業のリアル店舗誘客で、卸事業強化につなげたい考えだ。