刺激的な食品にはもう飽きた?令和元年秋の食品トレンドワードは「やさしい」

ミルキー <やさしいミルクのど飴> (不二家)

ミルキー <やさしいミルクのど飴> (不二家)

現在の日本の食品は、濃い味・刺激的・ボリュームたっぷりといった特徴になりがちだ。酒類でも、高アルコール度数の“ストロング系”チューハイが好調な販売を維持するなど、リッチな方が好まれている。しかし令和元年の秋は「やさしい」と商品名やパッケージデザインに明記された食品が続々と登場している。

濃い味は明確でわかりやすく、おいしいと感じるセンサーも早い。またフレーバーの強さがプラス要素の価値として認めやすく、無意識のうちに“お得”と感じるといった要因もある。実際、ストロング系のアルコール飲料は酔いに対する経済性をもって人気な部分が否めない。

さらに外食分野でも焼肉やステーキの店が増えている昨今、“がっつり肉を食べる”風潮も、濃い味やリッチな味わいへの後押しとなっているだろう。

しかし、こうした激しい味の攻勢に少々疲れを感じ始めている消費者も出始めている。すべての人たちが刺激に耐性があるわけではなく、また体調によってはマイルドな味を欲する場合もある。つまり刺激や濃い味を求めたいと思う一方で、癒やされたいと思う気持ちも消費者に生まれ始めている可能性がある。

また日差しの激しい夏とは異なり、これから冬に向け、ほっこりと落ち着いた“食”を求めたいという季節的要因も大きい。

さらに「やさしい」味わいは、時には子どもから大人までを包括できる特徴にもなる。年齢を問わず、家族全員がそのおいしさを共有できるというポイントが新たな価値の提案にもなる。

濃い味や刺激性の高い食品は、はまればクセになりうる半面、話題性に頼る部分が大きく、現実的には飽きられるのも早い。一方やさしい味の場合、流行に左右されにくく、安心感を備えているケースが多い。そうした理由で継続購入が期待できると考えれば、やさしい味というのは、商品定番化を目指す必要条件のひとつにもなりうる。

以下、「やさしい」食品をさまざまなカテゴリーから紹介する。なおデータは、日本食糧新聞社が運営する食品業界向け会員サイト「食@新製品」から使用した。

ミルキー <やさしいミルクのど飴> (不二家)

北海道産生クリームを厳選使用した、ほんのりミント風味のミルクのど飴。のどにやさしいカリンエキスとセラミドを配合。10月8日に全国の食品スーパー・コンビニで発売。

ねりうめ <ゆずはちみつ味> (なとり)

山田養蜂場のはちみつの上品な甘さと、ウメの酸味がよくマッチした、のどにやさしいねりうめ。ユズ果汁使用。11月4日に全国のコンビニ・量販店、11月18日全国その他チャネルで発売。

GREEN DA・KA・RAやさしいゼリー <ぶどう&プルーン><ピーチ&トマト><オレンジ&キャロット> (サントリー食品インターナショナル)

野菜や果物でつくられ、保存料・人工甘味料不使用のゼリー飲料。子どもから大人までが手軽に栄養サポートができる。 9月24日に全国で発売。


明治オリゴスマート やさしいバニラ (明治)

バニラ香る、なめらかな食感のバニラアイス。糖分の一部をフラクトオリゴ糖に置き換え、糖分の取りすぎを気にせずに食べられる。9月9日に全国発売。

アーモンド・ブリーズ <やさしい甘さのアーモンドミルク> (ポッカサッポロフード&ビバレッジ)

ホットでもコールドでも楽しめる仕様。 アーモンドの香ばしい風味とやさしい甘さでホッと一息できる味。1日分のビタミンE配合。カルシウム入り。9月2日に全国で発売。

サントネージュ 酸化防止剤無添加のやさしいワイン <濃い赤> (アサヒビール)

ビール醸造で培った技術を活用し、製造工程中の酸素接触を最小限にすることで製造時の酸化をできるだけ抑え、飲みやすいフルーティーな味を実現。アルコール分9%。 8月27日に全国で発売。

米だけの酒 <糀2倍の純米酒> (沢の鶴)

麹を通常の2倍以上使用。うまみの凝縮された、やさしい甘みと酸味のある日本酒。アルコール分を10.5度にして飲みやすさと純米酒のおいしさを両立。 9月16日に全国で発売。

忠勇 発酵食品で食べる鍋 <甘酒と味噌の鍋つゆ> (盛田)

昆布やカツオのだしに、コメ味噌と甘酒を合わせた、やさしい甘さとコクが特徴の鍋つゆ。アクセントとしてショウガを加えた。8月26日に全国の量販店で発売。

薩摩 芋の蜜プリン(協同乳業)

江戸時代から鹿児島県薩摩半島で作られ始めたという芋みつを使用。化学肥料を使わず栽培した安納芋だけを使い、芋みつの風味を生かしたやさしい味わい。 10月14日に全国の食品スーパー・コンビニで発売。

やさしいデカフェ紅茶 <ベリーミックス> (日本緑茶センター)

数種のベリーの香りをミックスし、華やかな甘い香りが広がるカフェイン0.00gの紅茶。カフェインが苦手な人、カフェインを控えたい女性や子どもに好適。8月30日に全国の量販店・輸入食料品店他で発売。

餅屋が作った <栗と黒豆のおこわ> (たいまつ食品) 

新潟県産こがねもち米100%使用。やさしい甘みのある栗と北海道産の黒豆を加え、昆布エキスで味を調えた、風味豊かな仕上げ。8月19日に全国で発売。

ハウス 1歳からのやさしい野菜カレー (ハウス食品)

1日分の緑黄色野菜が溶け込んでいるレトルトカレー。子どもに食べさせたい緑黄色野菜を30g(生換算)使用。 8月12日に全国で発売。

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