テラドローン、ドローンで食用油タンク点検提案 検査費用・時間を大幅削減
各産業向けにドローンを生かした事業支援を行うテラドローンでは今春、超音波探傷検査(UT)機能搭載のドローン(UTドローン)を用いたオイルタンク点検事業を、国内食用油業界向けに提案する。足場設置や人員確保など食用油タンク点検に必要な多額の費用や時間を大幅にカットできるほか、タンク表面でミリ単位での凹凸を探査することが可能。第三者認証機関提示の検査基準も満たす正確性も備え、未曽有の環境悪化にある食用油業界を支援する考えだ。
同社は国内に加え、欧州・東南アジアを中心に海外でも事業展開する、世界最大の産業用ドローンソリューションプロバイダー。国内では大手ゼネコン・建設コンサルなどを中心に実績を重ねており、世界でもトップクラスとなる1500件以上のドローン測量・点検実績を国内外で持つ。今春、国内で提案する食用油タンク点検は、海外ではすでに世界4大穀物メジャーの一つでもある米・ブンゲ社(オランダ拠点)ですでに実施済みで、高い評価を得た。
タンク検査には超音波探傷機能を搭載したUTドローンが使用されるが、同社のUTドローンはタンク表面の凹凸をミリ単位で探査することが可能。表面の摩耗を正確に測定するほか、磨き用ブラシを搭載するモデルも保有する。また、食用油の貯蔵タンクに用いられるステンレススチールの検査にも対応しており、複雑に入り組むタンク内部上層部でも正確な点検が可能。国際的な第三者認証機関であるEEMUAの提示検査基準も満たすなど、品質は折り紙付き。
気になるコストカットだが、タンクの種類や大きさにより異なるが、足場設置によるタンク点検が主流の欧州の場合、実に数百万円~数千万円のコストカットと40時間以上の時間短縮が実現されているという。
タンク点検を人手で行う場合、足場設置とロープアクセスの二つの方法があるが、平均気温の低い欧州のタンクには外側に断熱材が塗装されているため、内部からしか点検が行えない。また、食用油タンクにはロープアクセス用の天井梁が無いため、足場設置が主流の点検方法となっている。食用油タンクにドローンを導入することでコストカットとスピード化がともに実現されることから、欧州ではドローンでのタンク点検は主流となりつつあるという。
底堅い需要とは裏腹に、国内食用油業界は未曽有の原料価格の急騰や国際的な需給ひっ迫に直面し、かつてないレベルでコスト環境は悪化している。大半の参入メーカーではすでに、今春から価格改定に着手することを発表しているが、先行き不透明な中、今回の値上げ幅でカバーできる保証はない。
ドローンは食品業界で現在、高い注目を集める最先端ツールだが、AI化の流れ同様、短期間で今後浸透していく可能性が高い。世界最大の産業用プロバイダーの取組みに要注目だ。(村岡直樹)