菓子卸、「攻め」のオリジナル商品 コロナ禍で存在感
菓子卸のオリジナル商品が存在価値を増している。コロナ禍の影響で生活者が冒険を避け、購買経験のある商品を選択する傾向が高まり、大手菓子メーカーの商品開発は、ロングセラーブランド強化の流れが顕著となっている。こうした中、菓子卸は、おいしさを前提に、菓子が持つもう一の価値である楽しさや驚きを提供する「攻めの商品」を相次いで発売している。4月27日に大手CVSで先行発売されたクリートの「おたべ監修 生八つ橋グミ」は、おいしさ、楽しさ、驚きが評価され順調に売上げを伸ばし、SNSでも話題となり、11月から全国・全チャネルでの販売が決まった。
クリートは、大手菓子卸であるコンフェックスのグループ会社で菓子商品企画・開発・輸入販売を行う。コンフェックスの昆靖CEOは「クリートは、当社グループ中で重要な役割を持ち、成長を担っている」とした上で、「女性社員を中心に自らの感性やクリエイティビティーを磨き、新しいアイデアを生み出す取組みを積極的に行っている」と自信を示す。同品の担当で「タピオカグミ」をヒットさせ、社内で「グミの女王」との異名を持つクリート商品開発部の櫻井里奈さんに開発経緯を聞いた。
●生八つ橋をグミで再現
20年12月ごろに、コロナ禍で旅行を自粛せざるを得ない状況下、土産の銘品をグミで再現できないかということから開発がスタートした。土産として人気がある生八つ橋とグミの食感が近いという気づきがあり、試作に着手した。開発当初は、一粒のグミの中に、あんこのジュレを閉じ込める方法で進めていたが、皮を軟らかい食感にするとジュレが漏れ出すなどの問題点が出てきた。
課題解決のための方法として、皮とあんこの部分を分け、最後の包む作業をお客さまにしていただくということを思いついた。結果的に見た目も「生八つ橋」に近づいた。この段階の完成度の高さに「欲が出て(笑)」「おたべさん」とコラボレーションがしたいと思い、製造販売会社の美十さまに連絡したところ、コラボを快諾してもらった。うれしいことに美十さまからも商品に対し高い評価をいただいた。
●想定上回る反響
4月の発売以降は、想定を上回る大きな反響をいただき、SNSでも多く取り上げてもらった。さらに、当社営業社員に小売業さまから取り扱いたいとの声が多く寄せられた。正直、希望小売価格が税込み238円とグミの中では高価格帯となっていたので、消費者の皆さまに受け入れてもらえるか不安だったが、店頭でも高い回転率を示すなど好調に推移している。ヒットの要因は「生八つ橋の再現性」と「自分で包む、楽しいひと手間」にあると考えている。SNSでも「ほぼ生八つ橋」「もはや生八つ橋」などうれしい声をいただいた。
また、渋谷ロフトで8月27日から9月12日まで開催された「グミウィーク」で行われた、デザイン人気投票でエントリー全14社17種類のグミの中で1位を獲得できた。さらに、TBSの情報番組「ラヴィット!」の「グミ好きが選ぶグミ」で1位となり、多くの反響をいただいた。全国の皆さまに届けるために、11月15日に全国発売した。「グミの女王」の自信作をぜひ召し上がってほしい。(青柳英明)