日本食糧新聞社制定「第12回地域食品産業貢献賞」 功績たたえ7者選定

総合 ニュース 2024.07.29 12797号 01面

厳正な審査を重ねた選考委員

厳正な審査を重ねた選考委員

日本食糧新聞社制定「第12回地域食品産業貢献賞」の受賞企業が決定した。同賞は国内の各地域で優れた商品を生産・提供する企業をはじめ、さまざまな地域密着型の活動(地域社会貢献活動および食育活動等)を推進する企業を顕彰するもので、今回は全国からノミネートされた多くの企業から戸田久(岩手県二戸郡)、一般社団法人高機能玄米協会(神奈川県横浜市)、九重味淋(愛知県碧南市)、杉本食肉産業(愛知県名古屋市)、日東食品工業(広島県広島市)、吉原食糧(香川県坂出市)、さぬきシセイ(香川県高松市)の7者が選ばれた。表彰式は9月12日、東京・新橋の第一ホテル東京で開催する。(西川昌彦)

【表】地域食品産業貢献賞(五十音順)

●9月12日に表彰式開催

同賞は本紙創刊70周年を記念して制定したもので、(1)地域活性化貢献(2)技術革新貢献(3)産業復興貢献(4)社会貢献(5)ブランド商品信頼貢献(6)伝統ロングセラー貢献(7)地元の誇り–の7項目を審査基準として、その業績・功績をたたえ表彰するもの。日本食糧新聞社が全国で展開する9支社局(北海道支局、東北支局、新潟支局、長野支局、静岡支局、中部支社、関西支社、中国支局、九州支局)および本社から推薦された多数の企業のうち、極めて地域への貢献度が高いと評された企業(団体)を日本食糧新聞社の役員が選考委員となり、厳正なる検討を重ね選出した。

今回受賞した企業は、独自製法で冷麺を中心に麺類を製造・販売する岩手県を代表する製麺企業「戸田久」。加工方法や品種で機能を付与した玄米食の普及を、家庭用から業務用まで多方面にわたり取り組む「一般社団法人高機能玄米協会」。創業252年の三河みりん発祥の蔵元として伝統と昔ながらの製法を守り続ける「九重味醂」。尾張名古屋の老舗精肉店として食肉一筋生産から加工、卸、小売、外食と幅広く展開する「杉本食肉産業」。“ニットーリレー”ブランドで全国的に知名度の高い昆布茶メーカー「日東食品工業」。明治35年創業で香川県の食文化に立脚する製粉企業の「吉原食糧」。安全と品質を第一に「讃岐うどん」の魅力を発信し続ける乾麺製造の「さぬきシセイ」となった。

現在、円安基調が続く中で原材料・飼料・資材などで価格が高騰。さらにエネルギーコストや輸送コスト、人件費・システム導入費用などすべてにおいて値上がりしている。食品業界においてもさまざまなコストアップで経営を圧迫しており、各企業とも今後のかじ取りが極めて難しい状況にある。さらに首都圏の一極集中で地方が疲弊している現状下において、地方企業は生き残りをかけて独自の商品提供はもとより、地域食文化の啓蒙や食育活動、また防災訓練などを通じて地域の食品産業を維持・盛り上げを図っていこうと取り組む企業も少なくない。

また、今年1月1日に発生した能登半島沖地震から半年を過ぎたが、いまだ約2000人が避難生活を余儀なくされている。地震大国であるわが国では「いつ・どこで・また」大きな地震が発生するのか分からない中で、大手企業を中心に将来起こり得る地震対策も兼ね地方への機能移転・リスクヘッジも行われ始めている。そういった意味では地方の役割も今後大きく変化していくと予想される。

このような社会環境の変化を背景にしながら、地域のライフラインを担いつつ、しっかりと各地方の食文化を下支えする企業にスポットを当て、その功績をたたえる同表彰事業は大きな意味合いがある。

◆第12回地域食品産業貢献賞 受賞企業

受賞企業(本社所在地) 主な貢献内容

高機能玄米協会(神奈川県横浜市) 高機能玄米を戦略的資源にコメ消費の拡大 原料米金のいぶき生産振興で農家所得向上

九重味淋(愛知県碧南市) 三河みりん発祥の蔵元として250年余 直営の飲食店など新たなみりんの価値創造

さぬきシセイ(香川県高松市) 無添加のこだわり讃岐乾麺を全国に 海外に「讃岐うどん」ブランドを拡販

杉本食肉産業(愛知県名古屋市) 地元食肉産業活性化に尽力 フードロス削減及び資源循環型の社会システム標榜

戸田久(岩手県二戸郡) 弾力、コシ、滑らかな麺は蒸練製法で 盛岡の冷麺を全国に、バラエティ化も

日東食品工業(広島県広島市) 創業87年老舗昆布茶メーカー 健康で豊かな食生活をリレーする

吉原食糧(香川県坂出市) 県産小麦・大麦の高付加価値化に寄与 地域連携でさぬきうどん振興に貢献

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