だし給食、2020年に2万校めざす 和食文化を継承へ食育で連携

東京都新宿区津久戸小学校での「だしで味わう給食」。同地出身という農水省食料産業局の塩川白良局長も児童と食べた(右手前中央)

東京都新宿区津久戸小学校での「だしで味わう給食」。同地出身という農水省食料産業局の塩川白良局長も児童と食べた(右手前中央)

国連教育科学文化機関(ユネスコ)に遺産登録された和食の継承策が、学校給食で深まっている。11月の「だしで味わう給食の日」の浸透、「和食給食応援団」と栄養職員の連携、献立開発が今年も進んだ。首都圏で定着して今後は全国、海外への展開も望めそうだ。

和食は2013年12月にユネスコの無形文化遺産に登録され、多様で新鮮な食材といった価値が認められた。絶滅の恐れとの認定でもあり、保護・継承が国民に求められている。

家計のパン支出額は2018年まで5年連続でコメを上回って推移。給食は全国3万校近い小中学校で実施率95%を超え、ここでのご飯食が残り少ない牙城となる。米飯給食は実際に2016年比0.1回増の週3.5回と堅調。食育基本法・推進基本計画を徹底する一端が表れている。

東京都新宿区津久戸小学校での「だしで味わう給食」。同地出身という農水省食料産業局の塩川白良局長も児童と食べた(右手前中央)

和食の保護運動を担う和食文化国民会議は、11月24日を「和食の日」に制定。同月に全国の小中学校、保育施設の給食で、だしが感じられる汁物の提供を呼び掛けている。2015年から始めて参加は約2000校。2019年は9500校まで広げた。農水省はもちろん、市区町村や給食センター、文科省からの後援を得て拡大してきた。

だし給食は特に中部地区で2800校を超えて、関東も2000校。ほかのエリアが少数なのが今後の伸びしろになる。健康価値を伝えて後ろ盾を増やす。横並び意識も弾みにして2020年の実施2万校に挑戦する。

応援団は2011年から始め、2014年に農水省の普及活動に認定されて予算化。プロの料理人が栄養教諭、職員、調理員と一緒に給食の献立を作り、食育授業や調理実演を行う。ピーク時は100地域以上を訪れ、参加する料理人と協賛企業はそれぞれ70に上った。

事業予算は3年更新が常だが、特筆されるのが認定を終えてからの2017年以後。協力する料理人と企業数を保ち、漸増しながら、有力な地域と学校に絞って毎年60~70地区を訪問してきた。

今年も継続して首都圏での取組みを強化。米飯給食が週4回と平均以上の東京都渋谷区で7~8月、栄養士の研究会で講習会を2回開いた。共同開発した「秋鮭の幽庵焼」といった献立を11月、全26校で8回提供した。今後は再度、全国へ水平展開。海外団体の訪問、見学も得て、東京2020大会を契機にした世界普及を望む。

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