2020年はビールが主役 五輪・減税など追い風に大手メーカーも最注力

アサヒは東京五輪のテーマカラーをデザインした「スーパードライ 大会ルックデザインラベル」を本日投入

アサヒは東京五輪のテーマカラーをデザインした「スーパードライ 大会ルックデザインラベル」を本日投入

ビールが主役の2020年が幕を開ける。最強のコト消費イベントといわれる東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(東京2020大会)が夏に開催されるほか、10月には酒税一本化に向け第1弾となるビール減税がスタートする。絶好の機会を得て大手メーカー4社はビール分野への最注力で足並みを揃える。

各社各様の戦略でビールの魅力伝達に挑むかまえだ。税率改正というかつてなく強い追い風を受け、宿願であるビール復権へ業界全体が大きく動く1年となる。4社のトップが8、9日に東京都内で会見し、2020年戦略を明らかにした。

いよいよ今夏に迫った東京2020大会。公式ビールの「スーパードライ」には「辛口」「キレ」という日本のビールならではの魅力を海外に発信し、グローバルブランドとしての存在感を示す格好の舞台となる。ビールのトップブランドが前年プラスに転じれば、酒類市場に与える好影響は計り知れない。

アサヒは東京五輪のテーマカラーをデザインした「スーパードライ 大会ルックデザインラベル」を本日投入

競技会場以外では自宅でのTV観戦による「家飲み」増加が見込まれる。夏の最盛期だけに「スーパードライ」以外のブランドにも伸びが期待できよう。ラグビーワールドカップのように会場周辺の小売店舗で販売増も予想される。消費増税後、厳しさが続く外食業態でもインバウンド需要の取り込みなど、仕掛け次第では復調への起爆剤となり得る。

国内の需要喚起には“泡”をビールの魅力として訴求する取組みが進む。サントリー「ザ・プレミアム・モルツ」の「神泡」提案に加え、サッポロ「黒ラベル」の「パーフェクトチェンジャー」導入などで一層浸透しそうだ。

多様な味わいへのニーズにはクラフトビールが対応する。日本各地に点在するブルワリーのビールを提供するキリンの「タップマルシェ」は世界の人にも好意的に受け入れられよう。減税が待つ10月を前にビールの飲用体験を残せるか。各社の手腕が試される。

“泡”の魅力発信が進む(サッポロの「パーフェクトチェンジャー」)

10月に実施されるビール類の税率改正第1弾。減税対象のビールに追い風となるのは確実だが、大手メーカートップは「10月以降の市場動向を注視する必要がある」と口を揃える。

これまでビール類の伸長をけん引してきた新ジャンルが増税となる上、急成長を維持するRTD(レディ・ツー・ドリンク)は最終の2026年まで税率が増税前の新ジャンルと同じ(350ml当たり28円)のまま据え置かれる。新ジャンルのブランド間生き残り競争が激しくなるだけでなく、ビールの復調が成功しなければRTD一人勝ちの構図が盤石化する。

今年、どこまでビール飲用を盛り上げ、消費マインドを変えられるか。2026年以降を占う意味でも、第4四半期の酒類市場に要注目だ。

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