新型コロナ:SM2月販売、大幅増も感染警戒 危機管理問われる

小売 ニュース 2020.03.13 12025号 01面
2月の売上げは大幅に前年を上回ったものの、感染への緊張が続く食品スーパー

2月の売上げは大幅に前年を上回ったものの、感染への緊張が続く食品スーパー

新型コロナウイルス関連の特需で、2月の食品スーパー(SM)の販売動向は前年同月と比べて2桁以上の伸びを示した企業もあった。うるう年で営業日が去年より1日多かったほか、新型コロナウイルスの影響で内食需要が伸びたため。3月に入って前年を上回って推移しているものの、従業員などの感染で休業する店も出ており、警戒感をにじませる。感染予防対策だけでなく、感染した場合の情報開示のあり方、対応を含め危機管理能力も問われる。(山本仁)

SMの2月度の既存店売上高は有力企業を中心に前年を大きく上回った。サミットは前年同月比で12.1%増、ヤオコーも11.0%増、ライフコーポレーションも首都圏が10.8%増、ベルクも9.6%増と2桁に近い伸び率だった。今年の2月はうるう年で1日多いほか、天皇誕生日の振替休日に加え、新型コロナウイルスの影響で即席麺など加工食品や冷凍食品、コメなどの動きが良かった。

3月に入って臨時休校で内食需要がさらに高まり、売上げもプラスで推移しているというものの、2週目に入って食品の動きは比較的に落ち着きを見せているという。足元の販売状況よりも「店舗の従業員に感染が発生した場合、休業だけでなく利用客の不安を招きかねない」(広報担当者)と懸念の声が多い。

サミットは今月8日に従業員の感染が判明した東中野店(東京・中野区)で休業を決めた。同社は店内消毒や感染者の触ったおそれのある商品や原料、資材の廃棄を済ませ、感染者の行動歴と濃厚接触の可能性のある従業員の調査と特定、その従業員の最終接触から2週間の自宅待機と健康観察を指示し、12日時点でも休業を続けている。利用客や従業員だけでなく取引先の安全を最優先で考えたためだ。店の売上げの減少は避けられないが、企業として社会的信用にかかわると経営判断したという。それらの情報はホームページのトップ画面やアプリなどを通して、予防対策だけでなく、従業員の行動履歴や店の具体的な対応など具体的に、迅速に提供している。

西友は新長田店(神戸市)で8日に従業員の家族に感染が分かったため、10日まで休業して11日から営業再開した。そのほか、従業員の感染が判明後、店内の消毒と清掃を行い保健所の確認を得て、早く営業を再開した店もあり、企業や店によって対応や情報開示の仕方も異なる。

SMだけでなく、セブンイレブン、ダイソーなど他の小売、マクドナルドやスシローなど外食チェーンなどでも店舗従業員に感染者の判明が出ている。企業にとっては情報や店舗、人員などの管理、広報・渉外対応など危機管理体制と経営者のリーダーシップも問われそうだ。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら