世界のアマニから6 エジプト篇「なんでもお任せ!の万能スパイス」【PR】
わさびに山椒、くちなしの実に、けしの実…。
これらは<和のスパイス>と呼ばれ、日本の食文化に欠かせない〝名引き立て役〟です。
山椒と聞いて思い出すのは、何代にもわたって京都に住む友人。
“何にでも”かけます。
お鍋にも、丼ものにも、カレーうどんにも、はたまた焼き鳥にも!
街中のお店でも「山椒ちりめん」や「山椒もち」も売られています。
かつて京都の山間部で山椒が多く育ち、
佃煮にしたり、煮炊きものに使われたりしたことが
京都の<山椒文化>を育んだとも言われ、
友人いわく「京都人に欠かせないスパイス!」と言い切ります。
この〝ご当地スパイス〟で世界に目を向けると、
エジプトに「デュカ」があります。
エジプト人の友人も「何にでもかけるよ!」と笑います。
デュカとは、「つき砕く」を意味するアラビア語に由来したもの。
何を「つき砕く」のかといえば、
スパイスとナッツの混合物を炒って乾燥させたものです。
これを粉状でも、ペースト状でもなく、
粗く「つき砕いた」状態にするため、デュカと呼ばれるそうです。
友人によると、
デュカは、クミン・コリアンダー・ナッツ・塩の4種類が基本なんだそうですが、
これはあくまで「基本」。
貧血気味の女性には補血効果のあるクコの実を入れたり、
少し体調が気になる時は、
からだの調子を整える「オメガ3脂肪酸」がたっぷり入った
アマニ粒を入れるなど、様々なパターンがあるそうです。
とりわけ、このアマニに関しては、
紀元前5000年代にエジプトで栽培されていた記録が残るほど、
エジプト人に実になじみが深いもの。
かつては、「滋養源」としても重宝されていたことから、
アマニへの信頼は極めて高いそうです。
そもそもこのデュカが生まれた背景は、
エジプトという土地柄が関係しているそうです。
エジプトといえば、
5月から10月までの暑い夏、
内陸部では40度を超える日が続きます。
デュカのようなスパイスは体温を上げて汗を出し、
汗とともに体の熱を外に出すことで体温を下げてくれます
また、食品にかけることで、傷みにくくする効果も期待できます。
そんなデュカを楽しむのは、
サラダにかけて、
ピタパンに塗って、
パスタにまぶして……
とまさに自由自在の万能スパイス!
ちなみに、エジプトの友人は暑い夏になると、
なんとアマニ粒入りのデュカを
バニラアイスにかけて食べるそうです。
「アマニの香ばしさと、
デュカに入っている塩味が
バニラアイスの甘さを引き立ててくれ、
夏バテした時、食欲のない時はこれに限る。
アマニには栄養もたっぷり入ってるしね」と友人。
確かに………おいしそう!
夏の楽しみが1つ、増えました。
平岡直也(ひらおか・なおや)
新聞記者、出版社、放送局を経て、2020年4月「株式会社hasso.」を立ち上げる。企業や大学、地方自治体に「はっ、そう!」と思ってもらえるPR戦略を立案するほか、これまでの経験を活かし、フリージャーナリストとしても活動。池上彰氏と「池上彰と考える『死』とはなんだろう」(KADOKAWA)も上梓した。趣味は、「食べること」。仕事や取材で行った土地の料理と、“温泉”を必ず楽しむのがモットー。