弁当FC最前線・エリアフランチャイズ制の問題点を探る:FC組織・運営論

2002.06.17 254号 2面

FCの特徴として、急速な店舗数拡大が可能ということがあげられる。この店舗数を増やしてスケールメリットを生かすということを可能にした仕組みとして、エリアフランチャイズというシステムがある。近年では、このエリアフランチャイズシステムをチェーン構築の早い段階から取り入れるFCチェーン本部も多いが、エリアフランチャイズシステムには重大な欠陥もある。今回は、エリアフランチャイズシステムの影の部分にスポットを当てよう。

((有)マネジメントプロセス代表取締役・中小企業診断士 三浦紀章)

◆3000店舗を超えるFC組織・運営論

ビジネスシステムとしてとらえると、FCシステムには優れた点が非常に多い。しかし、しょせんは別企業同士がFC契約書という契約に基づき同一ビジネスを行うので、何かと問題点も出てくる。

店舗数という規模から見た一般的なチェーン運営論では、五店舗を超えたあたりからチェック体制が行き届かなくなりミスが急増しはじめてくる。その後、一〇店舗という壁を超えるためには、店長を始めとした人材育成システムと管理を計数で行う仕組みが重要になってくる。

三〇店舗を超えると本部の仕組みを変革させる必要性があり、五〇店舗を超えるにはコスト急増に耐えうるべく一気に一〇〇店舗を超えるようなチェーンにするための組織体制準備が要求される。

FCチェーンにおいて上記の原則を実行するためには、当初のチェーン設計と加盟店指導システムが大事になる。しかし、一説ではFCにおける店舗数は二〇〇店が限界という説もある。FCチェーンにおいて、二〇〇店を突破するとSV人件費の本部負担の割合が非常に重く、本部利益を圧迫するということは否めない。また、加盟店が複数店舗展開するにあたり営業テリトリーの問題(いわゆる縄張り争い)が起こってきやすい。

FC業界においては、この営業テリトリーの問題は意外に根深い。チェーン全体からすると、ある一定エリアで強力に複数店舗を展開し、エリア内No.1ブランドという地位を確立して当該エリアのシェアを確実に確保していくことが競争者に負けないマーケティング手法ではある。

しかし、一定エリア内で複数店舗を展開していくと、各店舗はそれぞれ競合関係に陥るので、結果的に両店の売上高は下がりやすい。まして、別企業同士のFC加盟店であれば、訴訟問題にまで発展しかねない。このような歴史を経て、現在では営業テリトリーはシッカリと確立され、同一エリア内では単一の加盟店オーナーが複数店舗を展開し、個店ベースの売上高ではなく、エリアベースの売上高を重視するという傾向にある。

特に、二〇〇店舗規模のFCになると加盟店の力も大きくなりやすくチェーン全体の統制が乱れやすいので、このエリアの問題は非常にシビアな課題となっているが、このような状態になると、日本を複数のエリアに区切り、そのエリアごとにチェーン運営を一つの加盟店に任せるという手法が有効ではある。この仕組みをエリアフランチャイズシステムと呼ぶ。

現在のエリアフランチャイズシステムは、当該エリアを任された加盟店がエリアフランチャイザーとなり、FC店舗を運営するだけではなく、当該エリアの加盟店開発も行う傾向にある。

この場合、FCチェーン本部はエリアフランチャイザーとFC契約を交わしつつエリアフランチャイザー契約も交わしてエリアのFC運営を任せる。そして、エリアフランチャイザーはエリア内の加盟店希望者とFC契約を結ぶという形態になる。

一〇〇〇店舗以上の大規模なFCを構築しようとするとこのエリアフランチャイズシステムは非常に有効で、現に多くの大規模FCがこの手法をとっている。ほとんどのチェーンが店舗数一〇〇〇店以上であるコンビニFC業界や約一八〇〇店舗の養老乃瀧(居酒屋FC)、約三三〇〇店舗のほっかほっか亭(持ち帰り弁当)など。

エリアフランチャイズシステムは、店舗数三〇〇〇店を超える大規模FCのための究極の運営論とも思える。

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