この一品が客を呼ぶ中華料理編・大阪:「焼賣太樓桜橋店」焼売

2004.07.05 287号 11面

五四年間、ファンを増やし続けている「燒賣太樓」のシュウマイ。こだわりの食材と、歴史に培われた門外不出の製法から生み出されるのは、シンプルでありながら奥深く、食べ飽きない味だ。この夏は、カニ爪や甘エビを使った変わり種も、期間限定で登場。さらに秋には、初のテークアウト専門店をオープンするなど、新たな展開も予定されている。

五〇年以上の歴史を持つ燒賣太樓は、この店のほか梅田にもう一件、岸和田に一件と合計三店舗を展開している。看板メニューはなんといってもシュウマイ。通常より大きめサイズのこのシュウマイは、一見オーソドックスながら、滋味あふれる味わいだ。

その特徴は、素材へのこだわりだ。まず豚肉は鹿児島産のもち豚を使っている。「もちもちとした弾力とうまみがあります」と工場長兼統括料理長の前原健人さん。これに牛肉を加えることで、コクと味わいがプラスされるという。

隠し味として欠かせないのは、日本海で捕れた紅ズワイガニ。身はひとつひとつ手作業で取り出して水洗いの工程を減らし、カニの香りやうまみを損なわないようにしている。

玉ネギは淡路産のものを使用。ほかと比べ、甘みが強く、えぐみが少ないという。収穫期には本社スタッフも生産地に赴き、作業を手伝っているそうだ。「それぞれの食材には、生産者の方々の魂がこめられている。それをすべて持って帰りたいという気持ちです」と前原さん。

軟らかく薄い皮も特徴的だ。その秘密はタピオカでんぷん。薄く伸ばしても破れず、舌触りも良くなるのだとか。

厳選食材で作られたシュウマイは、一日に四〇〇〇~五〇〇〇個の売上げ(三店舗合計)。桜橋店では、界隈のサラリーマンが中心客層で、昼はランチセットで、夜は単品がよく出る。おみやげとして、テークアウトで、一度にたくさん買う客も多いそうだ。

◆燒賣太樓桜橋店(大阪市北区梅田二‐一‐一六、電話06・6341・7061)営業時間=午前11時30分~午後11時30分(平日)、無休/席数=六五席/一日食数=四〇〇〇~五〇〇〇個(三店舗合計)

◆食材の決め手 (有)エフ・エヌ・エス(沖縄県那覇市)「福寿塩」

調味料にもこだわりを持つ。そのひとつが塩だ。愛用しているのは沖縄の「福寿塩」。塩化ナトリウムが七〇%と、まろやかな味わいを持った塩で、ミネラルを豊富に含んでいるのがその特徴。

「沖縄の海水で洗った塩です。塩自体に甘みがあるため、かくし味として糖分を加えなくても、塩だけでコクのある仕上がりになります」と前原さん。やわらかな味わいのこの店のシュウマイになくてはならない、味のポイントとなっている。

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