売れるメニューのヒント:弁当編(3)
◇意外に珍しいチョイス方式
◆天ぷら定食(414g/600円)
●丸本(東京都墨田区江東橋3-14-5 テルミナ内)
エビ天、レンコン天、野菜かき揚げ天、つゆ、紅ショウガ、白飯。
あらかじめ容器に盛り付けられているのはエビ天2本と天つゆだけ。これに10種類の野菜天の中から好みの2個を選び、そば、ご飯のいずれかを選ぶ。早い話、チョイス式の天ぷら定食と天ざるなのだが、テークアウト市場では天丼や天ぷらそばが主流なので、とても目新しい。天ぷらと麺飯類が隔離されているので、後々の使い勝手も良さそうだ。ミニ天丼&ミニ天ぷらそばセットにまで発展すれば、さらに売れるかもしれない。
実用性 ★★★
生産性 ★★
経済性 ★★
オシャレ ★★
容器適正 ★★
ユニーク ★★
◇時間帯に合わせて変幻自在
◆ソース焼そば唐揚入り(340g/380円)
●昇竜園(東京都町田市原町田6-1-11 ルミネ町田店内)
焼きそば麺、キャベツ、ニンジン、玉ネギ、鶏唐揚げ、紅ショウガ、青海苔。
いくらおいしい焼きそばでも、添えものが紅ショウガだけでは、昼飯としては物足りない。この焼きそばは、鶏唐揚げを2個添えることによって、見事な「昼飯焼きそば」にバージョンアップしている。これなら味的にもボリューム的にもお客は大満足だ。しかもランチタイムに売れ残ったら、鶏唐揚げを外して「3時のおやつ焼きそば」としても売れるので、実はお店も大満足なのだ。
実用性 ★★
生産性 ★★
経済性 ★★
オシャレ ★★
容器適正 ★★
ユニーク ★★
◇フードカップで清潔感演出
◆お好み弁当(505g/525円)
●一品楼(東京都墨田区江東橋3-14-5 テルミナ内)
かに玉、白身魚の甘酢あんかけ、ヒジキ煮、ミニトマト、漬け物、白飯。
フードカップに中華料理を盛り付けた弁当。炒め合わせや汁気の多い中華料理を容器に盛り付ける場合、具がこぼれたり、つゆが垂れたりして、容器がベトベトになってしまうことがある。だがこの弁当の中華料理は、すべてフードカップに入っているため、盛り付ける際に汚れない。しかもピンク色なので彩りもアップ。弁当はまず目で楽しむもの。選べることより清潔感があることの方が大切なのだ。
実用性 ★★
生産性 ★★
経済性 ★★
オシャレ ★★★
容器適正 ★★
ユニーク ★★
◇ナポリタン復権の切り札に
◆焼きナポリタン(320g/298円)
●スーパーアルプス日野店(東京都日野市日野390-4)
スパゲティナポリタン(ウインナー、玉ネギ、ピーマンなど)。
この「焼きナポリタン」は、スパゲティだけをケチャップで炒め、具材を後のせする方式を採用している。従来の混ぜ込み方式から、時代に合ったスタイルにアレンジした柔軟性が素晴らしい。また、巷にあふれる「ゆであげ」というキャッチに対抗して「焼き」という冠を付けた信念も立派。かつてはスパゲティの代名詞だったナポリタン。昨今は新興勢力に押され、凋落の一途。この「焼きナポリタン」で、返り咲いてほしいもの。
実用性 ★★
生産性 ★★
経済性 ★★
オシャレ ★★
容器適正 ★★
ユニーク ★★
◇どっちも食べられるセット
◆オリジナル弁当(476g/498円)
●華家名彩錦糸町店(東京都墨田区江東橋3-14-5 テルミナ内)
カツ丼、天丼、卵焼き、桜漬け。
「天丼」と「カツ丼」。丼の双璧がタッグを組んだ夢の丼セット。ありそうでなかった意外に目新しい組み合わせでもある。双方人気、実力ともに互角。TVの「どっちの料理ショー」のように悩んでしまうところだが、これなら迷う必要はない。しかもワンコインを切る低価格がうれしい。天丼とカツ丼の組み合わせに限らず、「どっちの料理ショー」の料理をどっちも入れた弁当は、結構売れそうだ。「どっちも食べられる料理ショー」としてシリーズ化してほしい。
実用性 ★★★
生産性 ★★★
経済性 ★★
オシャレ ★
容器適正 ★★★
ユニーク ★★
◇主役にも勝る活躍のバラン
◆牛めし弁当(375g/498円)
●三和旭ヶ丘店(東京都日野市旭ヶ丘6-7-5)
牛肉しぐれ煮、牛肉そぼろ、卵焼き、紅ショウガ、白飯。
「牛肉しぐれ煮」と「牛肉そぼろ」。主役は似たような2種類の牛肉料理である。両品が混ざると区別がつかなくなってしまうため、両品を完全に仕切るバランの役割は非常に重要だ。しかも、両品とも同じ色で暗いため、黄色い卵焼き、赤い紅ショウガとともに、鮮やかなビタミンカラーを形成する緑のバランの役割は非常に重要だ。さらに、牛肉に厚みを持たせるためにも、表面のスペースを埋めるバランの役割は非常に重要なのだ。
実用性 ★★
生産性 ★★
経済性 ★★
オシャレ ★★
容器適正 ★★
ユニーク ★★★
◇伝統を伝えるヘルシー弁当
◆根菜煮物弁当(416g/500円)
●LINCOSリバーシティ店(東京都中央区佃1-11-8 リバーシティ21ピアウエスト内)
煮物(椎茸、大根、コンニャク、里芋、ニンジン、インゲン、カボチャ、レンコン、がんもどき、きんちゃく)、金時豆、青菜おひたし、梅干し、玄米ご飯。
日本を長寿大国に育んだのは、まぎれもなく和食だ。中でも煮物の貢献度は高い。だが昨今はグルメと称する不健康な料理が世界中から入ってきて、煮物は弁当の片隅に追いやられている。この弁当は久々に煮物が大活躍し、和食の良さを堪能させてくれる一品だ。この「根菜煮物弁当」を食べていれば、十分に健康と体型の維持ができるのだ。
実用性 ★★
生産性 ★★
経済性 ★★
オシャレ ★★
容器適正 ★★
ユニーク ★★
◇詰め方を工夫し精悍さ出す
◆紅鮭のり弁当(ミニ)(280g/298円)
●さえき四季歳時記(東京都立川市上砂町5-60-10)
ベニザケ塩焼き、ウインナー、かにかま天ぷら、インゲン天ぷら、桜漬け、海苔、白飯。
内容は平凡な「海苔弁当」。だが普通の海苔弁当より精悍な感じがする。長方形の容器に詰めると、少し間延びしてしまうが、正方形のミニ容器にコンパクトに詰めると、精密機械のように見える。同じ中身なら賢そうに見えたほうが有利。だが、賢く見せるために詰め込みすぎて、おかずに味移りが生じたら本末転倒。この弁当のように、肉団子をカップに入れて分離するといった心配りは不可欠なのだ。
実用性 ★★
生産性 ★★
経済性 ★★
オシャレ ★★★
容器適正 ★★
ユニーク ★★
(調査執筆・06年2月1日~4月30日)