大手企業形成期に入った宅配ピザ業界 生き残り賭け揺れる(1)
「宅配ピザ」ビジネスは極めて若い。まだ一〇年そこそこの歴史しか重ねていない。そういうこともあって、市場規模も一〇〇〇億円を少し出たレベルにようやく達したところだ。ただし、若いだけに成長性は抜群だ。過去五年間の平均成長率は二六%をマークしていたのである。バブル経済崩壊後の長期不況期に、これだけの成長率を誇っていた業種はほかには見あたらない。
このように急成長を続けてきた宅配ピザ業界だが、その短い歴史のなかで大きな山をいくつか乗り越えてきた。ドミノ・ピザが日本で初めて宅配ピザを始めた(一九八五年9月)直後から、われもわれもとこのビジネスに参入してきた“第一次戦争”(八六年~八八年)。この時代はシステム構築戦争ともいえる性格であった。そして、第一次戦争で生き残った企業が出合ったのが、出店戦争といわれた“第二次戦争”(八八年~九一年)である。その後バブル経済の崩壊でてんやわんやしているうちに巻き込まれたのが“第三次戦争”(九二年~)だ。この時代は低価格志向に代表されるように、価格戦争という性格のものであった。