お店招待席:異国情緒のテーマパークレストラン「オークワールド」東京・新宿
一言で「食事を楽しむ」といっても、楽しみ方は人それぞれ、いろいろな楽しみ方がある。
昨年10月末にオープンした「オークワールド」は、「意表をつく楽しさ」をコンセプトに構想一〇年、総工費三〇億円をかけた、これまでにないテーマパークレストラン。二台のバーチャルマシンと店内の至る所にさまざまな仕掛けを施し、食と遊びの空間を実現している。
このレストランに一歩足を入れると、食事だけ、アトラクションだけ、食事とアトラクションといった八つのプランから自分の目的に合うプランを選び、パスポートを手にする。約三〇〇坪の敷地は、イタリアン、中華、和食の三つのグルメゾーンに区切られ、(ここでは入店とはいわず)入場時に何料理を食べるかも選ぶ仕組み。
バーチャルマシン以外のエンターテインメントも用意されている。和食ゾーンは江戸時代の下町を「料亭」や「茶室」といった部屋をつくることによって再現。堀こたつ式の和室には着物を着たウエートレスが石だたみの廊下を歩いてくるという徹底ぶり。
各部屋のイメージにあったBGMも興味深い。中華ゾーンは一時間に一本のショーがあり、自然の大スペクタクルを音と光で表現する。岩肌をつたい落ちる水音や稲光、雷雲のとどろき、豪雨と風、そして漢民族の楽曲が鳴り響き、テーブルが音に合わせて震える。ショーの時間以外は、水晶の輝く鍾乳洞の中で水滴や水音を聞きながら食事を楽しむことができる。
イタリアンゾーンでは運河沿いのレストランをイメージし、水上タクシーのエンジン音やゴンドラ漕ぎが歌うカンツォーネや、魚市場の賑やかな声も響く、オープンなスペース。ある時間になると教会の鐘があちこちから鳴りだしたり、稲妻が走ったり、と趣向を凝らしている。イタリアから呼び寄せたシェフやスタッフたちのイタリア語の会話もここでは雰囲気の一部になっている。
気分はすっかりアミューズメントパークといったところだが、ここはレストランである。当然“食”にも力を入れていて、メニューの数は約四〇〇種類。
料理長は、和食がつきぢ田村で修業を積んだ西野晃氏、中華は日本中国調理師会の顧問・陳伯銘氏、イタリアンはイタリアの有名店で修業をしてきたフランチェスコ・カンツォニエーレ氏。それぞれの道を極めた料理人たちがお互いに刺激し合いながら、同じ店の中で腕を振るう。
安心感と親近感を客に与えるようにと、三つとも全てオープンキッチンとなっている。もちろん食材や酒の仕入れも料理長が納得したものばかりを使用。特にイタリアンゾーンではイタリア人スタッフの人脈を生かし、イタリア直輸入の素材やワインも多く扱っている。
本場の料理、きめ細かいサービス、賑やかなおしゃべりや演出がすべてそろったぜいたくなレストラン。「リーズナブルで本格的」と人気も上々でリピーターたちが足を運ぶ。新宿・歌舞伎町の新しいスポットになるだろう。
テーマパークレストラン「オークワールド」
<創業>平成9年10月28日
<所在地>東京都新宿区歌舞伎町一-二一-一、第2東亜会館ビル2F、電話03・5272・2670
<営業時間>午後5時~午前5時
<店舗面積/席数>三〇七坪/四〇〇席
<従業員数>八〇~一〇〇人(うちアルバイトが半数以上)
<客単価>三五〇〇~四〇〇〇円
<一日来店客数>八〇〇人
<客層>二〇代前半のカップルまたは女性。子供連れもある。
<月商>八〇〇〇~九〇〇〇万円