新手の繁盛店・異色の宅配チェーン「上海エクスプレス」=中華料理

1998.09.07 160号 18面

宅配ニーズの高まりに呼応して、新手の宅配業種がさまざま生まれている。宅配ニーズの高まる背景には、(1)共働き世代の台頭(2)高齢化社会の到来(3)ビデオやTVゲームなど娯楽の家庭内志向化(4)単身世帯の増加など、ライフスタイルの変化がある。食の外部依存と家庭内志向の高まりが、宅配市場活性の追い風になっているのだ。宅配ビジネスに先べんをつけた宅配ピザチェーンのトップに宅配業態の展望を聞くと「まだ始まったばかりで可能性は計り知れない」と口をそろえる。各チェーンとも次に運ぶ“モノ”を模索している。市場性は未知数の宅配業態。今後のヒントになりそうな新手の繁盛店舗を紹介する。

「上海エクスプレス」は中華料理専門の宅配チェーン。平成8年2月の一号店オープンを皮切りに、現在、東京を拠点に一八店舗を展開している。宅配商圏半径約二キロメートル(八万世帯)・車両五台というパッケージで、平均月商は七〇〇~八〇〇万円と、宅配ピザの全盛期に匹敵する繁盛ぶりだ。

従来の宅配チェーンにない新たな試みとして注目すべきは、本部によるオーダー受注の一元管理である。オーダー(電話回線)はすべて本部で受け付け、オーダー概要は電子メールで各店に知らされる仕組みだ。現場(各店)の作業負担を軽減すると同時に正確な係数管理がなされるシステムとして、本部主導展開の原動力となっている。

「他の宅配業種はアルバイト主体の調理オペレーションが可能だが、中華料理は無理。よって、オーナーか店舗責任者が調理技術を収得して直接鍋を振るうわけですが、それに集中してもらうための環境づくりとして、調理以外の作業や情報管理については本部が全面的にサポートしています」

「また、生鮮野菜を多用する業種なので、オーダーの一元管理は在庫管理と仕入発注の効率化において欠かせないシステムです」

メニューは三〇〇gを基調とする一品料理一六アイテム、五〇〇gを基調とする麺飯類一六アイテム、前菜、デザートが四アイテムずつ、季節料理六アイテム、それにギョウザ、春巻き、ライスで構成する。売れ筋などは別表通りだ。

生鮮食材は、直営店のバックヤードで一次加工と個別パッケージが施され、生鮮物流業者とのタイアップにより日配される。調味料類はPB。調理担当者が、油切りと火加減、それに片栗粉を入れるタイミングさえつかめば出店可能とし、調理人育成のための研修期間は直営店勤務一~三ヵ月と設定している。

今後の多店舗化については、他地域での本部設立やエリアフランチャイジー制度の導入によるドミナント出店を視野に入れている。

売れ筋ベスト5

●一品料理

〈1位〉エビのチリソースがけ(一二〇〇円、構成比一一・五%)

〈2位〉五目うま煮(一二〇〇円、構成比一一%)

〈3位〉ピーマンと牛肉の細切り炒め(一二〇〇円、構成比一〇・五%)

〈4位〉キャベツと豚肉の味噌炒め(九〇〇円、構成比八%)

〈5位〉酢豚(九〇〇円、構成比七・八%)

●麺飯類

〈1位〉五目うま煮麺(九五〇円、構成比一四%)

〈2位〉チャーハン(八五〇円、構成比一三%)

〈3位〉海鮮タンメン(九五〇円、構成比一一%)

〈4位〉五目あんかけ焼きそば(八五〇円、構成比一一%)

〈5位〉ジャージャー麺(八五〇円、構成比八%)

●上海エクスプレス

企業名=(株)上海エクスプレス/本部所在地=東京都中野区弥生町六‐一〇‐一一、Tel03・3381・0600/創業=平成8年2月/店舗数一八店舗(直営九・FC九)/店舗初期投資=一七〇〇~一八〇〇万円/商圏=半径二キロメートル・八万世帯/車両台数=五~六台/営業時間=午前11時~午後11時、無休/客単価=三二〇〇円/月商七〇〇~八〇〇万円/月間ポスティング枚数=五~七万枚

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