玉乃光酒造が屋久杉の香りのコメ焼酎を開発

酒類 2000.04.12 8674号 4面

玉乃光酒造(株)(京都市伏見区、075・611・5000)は、「玉乃光・米焼酎(屋久杉)二五度長期貯蔵熟成」を発売している。「縄文時代から生き続けている杉の精気(香り)を頂いたコメ焼酎」(宇治田宏常務取締役)で、同社独自の技術で香りの付与に成功した商品。開発の着眼点は「発想の問題」と宇治田氏は差別化商品であることをアピールする。同社では「蒸留酒はエージング(貯蔵)」(宇治田常務)との基本的考えがあり、同商品もその一つとして開発した。容量七二〇ミリリットル、希望小売価格・税別一〇五〇円、荷姿一ケース六本入り。初年度販売数量約一万三〇〇〇ケースを狙う。展開チャネルは飲食店を中心に、百貨店や小売店に拡大中だ。

屋久杉は杉の中でも一〇〇〇年以上の歴史があり、長寿の木として有名。比較的やさしい香りで、「実際に醸造すると、その香りがきれいにのる」(保田玲二製造管理部長)ことが特徴だ。

数年の研究の結果、「貯蔵の最終段階で、ある程度の時間をかけて」(宇治田常務)同社独自の香気調整方法を開発。元もろみの発酵過程から吟醸粕を一部取り込んだ製造方法で、単一焼酎を三年間、タンク貯蔵した長期貯蔵酒。屋久杉の穏やかな香気と風味豊かな品質を実現した。

屋久杉は九三年に世界遺産に登録され、勝手な伐採や民間業者から譲り受けることは不可能。同社ではその材を、「一部民間に放出しているところから入手している」(同)という。

昨今、デフレ不況の中で焼酎が売れている。これは単に安さだけでなく、多面的な評価・支持がある証拠。特に、長期貯蔵酒として原酒を三年以上寝かせた商品が人気を得ており、今回の商品も、同社がその市場動向に対応して開発したもの。

現在、本格焼酎の中心マーケットを形成するアルコール分二五度を投入することで、同社既存品の三〇度、二〇度と合わせて、二三年の歴史を持つ玉乃光の本格焼酎を強化する方針だ。

同社は三六年の歴史を持つ純米酒で著名な蔵だが、すでに相当量のエージング中の焼酎原酒も持つ。これは今後、どのような貯蔵方法を開発するかで商品開発の大きな武器となることは間違いない。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら